最新更新日:2024/04/25
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2024年度のセミナーを募集しております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。2024年5月のセミナーへの申し込みができます。右「行事予定」のバナーからGoogleフォームで申し込みをお願いします。

3月16日(土)13:30より林 文通先生によるセミナーを実施しました。

 3月16日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
講師に学び合う学び研究所フェロー林 文通先生をお招きし、「学びを楽しむ授業づくり・学校づくり2」をテーマに行いました。

 今回16名の方の申し込みがありました。魅力的な実践と授業分析に対する学び合いが深まる会となり、本年度最後にふさわしいセミナーとなりました。スケジュールは以下の通りです。

第1部 授業ビデオから学ぶ
〇 自己紹介と協同の学びの協同とはなにか?を聴き合う
〇 中学校3年理科授業ビデオ(前半)の視聴と授業記録から学ぶ
  視聴後に学びを共有する
〇 中学校3年理科授業ビデオ(後半)の視聴と授業記録から学ぶ
  視聴後に学びを共有する

− 休 憩 − 

第2部 協同的な学びにおける「深い学び」の探究


 最初に、林先生が訪問されているある学校の先生から「協同的な学びの“協同”とは何ですか」という純粋な問いが出されたとの出来事が紹介されました。参加者が各テーブルで自己紹介をし、同時にこの問いに対する各自の考えを聴き合いました。
第1部 授業ビデオから学ぶ
〇 中学校3年理科授業ビデオ(前半)の視聴と授業記録から学ぶ
 単元:酸・アルカリとイオン
 本時の課題:中和反応を正しく伝えるためには、どのように表したらよいか(モデル化)
 ある四人グループの対話的学びに注目したビデオを11分視聴
 林先生からは視聴後の協議では感覚的な話ではなく、発言のどこから何を気づいたかを話し合ってほしいとの前置きがありました。
〇 視聴後にグループで学びを共有する(8分)

〇 林先生ファシリテートによる全体共有  ●林先生 □参加者
●感想交流しましょう。どうですか。
□Aさんが学習内容に詳しそうで発言が多い、周りの生徒も関わり考えがつながっている。
●四人とも学習内容が分かっているわけではないですよね。
□今、勤務校では「わからない」ことから授業をはじめようと研究していますが、Aさんの分からなさを聴いてBさんから「なるほどね」につながったことがすごいなと感じた。
□40番での反応、49番の発言では指差しがあった。93番では、モデルを書きはじめた。
●僕は一か月間このビデオを見続けた結果様々なことが分かってきましたが、参加者のみなさんは一瞬の視聴にもかかわらず多くの気づきがあったことに驚いています。
□Aさんの「わからん」発言が素直でいいと思った。一番思ったのは、なんでいつまでも四人グループでやっているのか疑問だった。今、目指す授業とはどうあるべきか考えています。
●授業者としてはどうですか。
□本当にギャグコントのように、会話がかみ合わず展開していた。ところが、ときどきパズルのピースがかみ合うように思考がハマっていく様子があったので感心している。授業をしている自分にはグループ内の会話が聴きとれていないので、こんな学びがあったと新鮮でした。
●授業者として、どうしてこんな長時間(11分間)グループ活動をしたのか。
□途中、生徒に「もう少し時間が必要か」と尋ね、必要との反応があった。できるかぎり生徒に学びを委ねたかったのでこうしました。
●この11分の間、グループの四人は教師から出された課題「モデル化をする」にたどりついていません。しかし、関係ないことを話し合っているわけではありません。今まで学んできた既習事項を学び直す大切な時間になっていたのです。この時間を通して子どもたちはやっとモデル化について考えるためのスタートラインに立つことができたのです。 

〇 中学校3年理科授業ビデオ(後半)の視聴と授業記録から学ぶ
 林先生からは、教室の子どもたちが考え出した2つの代表的なモデル図を示しながら、後半の映像が始まるまでの授業の様子が説明されました。グループ内に表出してきた四人の考え方の違い(ずれ)を確認したうえで、後半の学び映像を8分ほど視聴しました。
〇 視聴後にグループで学びを共有する(5分)

〇 林先生ファシリテートによる全体共有  ●林先生 □参加者
●ご覧になった四人グループの様子から、みなさんは何を感じられましたか。
□深い学びを進めるためには、分かっている生徒に投げかけ発言させることで、分からない生徒に考えがつながってゆき、自分の知識を再構成していくことになるのではないかと感じました。
□Cさんが話し合いから離れていったように見えましたが、実は一人で考えたかったのではないかと見ました。
□授業者は、「イオンがくっついているか、いないか」について気づかせるために、別の実験動画をヒントとして見せたことに感動しました。私にはこの発想がなく、素晴らしいリデザインです。
□この四人グループの生徒が、よくこんなに言葉を重ね続けることができることに感心しました。会話が絡み合っていますね。
□Cさんの話がありましたが、この生徒だけだが、テキストに戻り根拠を探そうと考えていることが素晴らしい姿でした。他の生徒は、ただ話し合っているだけに見えますが、Cさんの存在は大きいですね。
●107番で、電離について資料集から見つけてきます。Cさんは絶えず根拠を探しながら活動しています。
□Aさんがわからなさを出してくれるから、それを受けてCさんの探索がはじまるので貴重な関係性ですね。
●改めて、授業者としてどうですか。
□Cさんの役割について、自分は全く見ていませんでした。この動画をみて初めて気づきました。普段は黙っている生徒とだとの認識でしたが、改めにて生徒を見ることの難しさを感じています。

 林先生から、後半のビデオを観察していると、この四人のグループの考え方には、対話を通して変化が起きていると指摘されました。一人一人の考え方をまとめた表をみせながら、ここで起きている思考の流れを以下のように説明されました。
・他者の考えに触れることで、自分の考えがクリアになる。
 ➡ 他者の考えとの違いに気づく
 ➡ 自分の考えが再構築される
 ➡ 深い学びの扉をひらける
 『子どもの教室の事実から学ぶ』(佐藤雅彰、斎藤英介著)を引用しながら、ペアやグループ学習は、個の学びを確立させるための重要な活動であることを確認されました。

− 休 憩 − 

第2部 協同的な学びにおける「深い学び」の探究
 林先生が2年間にわたる研究の内容をぎゅっとコンパクトにしてお話しいただきました。
 まず、授業分析の視点と方法について確認し、分節分けと分節構造図が示されました。そのうえで、以下の3点について研究内容が説明されました。
 1「深い学び」をどうやってとらえるか?
 2「深い学び」を生み出す環境とは?
 3「深い学び」で表出する量的変化はあるか?

 林先生の学校現場における実践者、指導者としての視点に加え、科学的量的な分析研究の成果に触れることで、改めにて林先生の授業づくりへの真摯で崇高な姿勢に感動し、多くを学ぶことができました。ありがとうございました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、子どもたちの具体的な学びの姿や声に真摯に向き合うこと。改めてその大切さと面白さを学ぶことができました。学び直しです。
子どもたちの声をひろうのは本当に難しいですね。教科内容がよく理解できていないこともありますが。発言の記録を見せていただいたことや感想交流、林先生のお話が聞けてとても楽しい時間になりました。学びをあきらめない子どもたちを育ててみえる授業者の先生が素敵です。ありがとうございました。

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