最新更新日:2024/04/25 | |
本日:1
昨日:3 総数:9012 |
3月9日(土)13:30より中川行弘先生による継続講座2回目を実施しました。
3月9日(土)13:30〜15:30に、201教室において継続講座2回目を実施しました。
講師は先月に続き中川行弘先生です。「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」をテーマに行いました。 今回のセミナーには、4名の方の申し込みがあり参加者の本音が聴き合える和気藹々とした雰囲気の中で進みました。セミナーのスケジュールは以下の通りです。 第1部 前回のビデオについて(コンセプトなど) 〇資料をもとに対話 協 議:「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」 〇本日の授業ビデオについて ― 休 憩 ― 第2部 ビデオ視聴、対話、協同探究 第1部 前回のビデオについて(コンセプトなど) 2月の講座で視聴したビデオ(6月)と同じ教室(2月)の国語「初雪がふる日」の授業ビデオを視聴しました。 中川先生は初任者指導を担当されています。ビデオ教室の担任の先生を含めた複数の初任者と共有された授業づくり、学級づくりのコンセプト、環境構成、授業デザインについて説明を受けました。 ○コンセプト 学ぶのも、準備も、読むのも子どもがすすめる。あえて、子どもたちからの要請を待つ。子どもたちにとっては、初めての○歳であり、○年生である。出会いを大切にする。わからなさを大切にし、誰もが有能な学び手であることを前提とする。 ○だれもが学びやすい環境構成 ペア・グループ、学びの作法、(物質的にも・心にも)壁をつくらない、魔法の紙(思考や学びのまとめを考えるときに一枚の紙を与えたところ、子どもたちは絵や表など考えの断片を書きはじめた)、ICT、教師が手本、おせっかいしない(先回りしない) ○だれもが学びやすい授業デザイン 刻まない(ショートステップですすめると待つ子どもを育てることになる)、振り返りが軸、いきなり、珠玉の数分(振り返りを軸にいきなり学びへ誘う)、ざっくり、シンプル、活動的、協同的、表現的な学び、単元で学習○/○(子どもたちが学習の見通しを持てるように)、着想(早食い<早く解ければいい>?大食い<多くの問題を解く>?早飯<先取り学習>?) 〇資料をもとに対話 協 議:「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」 中川先生◆ 参加者● ●先ほど見せてもらった授業ビデオの中で、グループによる音読の仕方が子どもたちに任されていました。子どもたちが選ぶことが、特別の支援が必要な子どもにとっても必要で、とてもいい学び方だとおもいました。中川先生のおっしゃった「着想」とは学び方を学ぶということでしょうか。みなさん、どうですか。 ●私の学校では「探究」では、ある程度知識を伝達しないと調べ学習が進んでいかないですね。 ●先生の担当教科は英語ですよね。英語の授業で生徒が学びのプランを発見する学びは難しいと感じていますがいかがでしょうか。 ●英語は、大学の学生に模擬授業を考えさせるとき授業プランには、単語指導からはじまって教科書の英文を訳す授業になってしまい、ほかに方法が見つかりません。 ●自分たちが受けてきた英語学習が文法訳文式の授業だったので、コミュニケーション力を身につける授業法は難しい、なかなか語学では難しいと感じています。 ●私が以前見た東大附属中学校3年の英語では、A4両面に書かれた「環境問題」の英文を短時間に読み合い討論していました。課題解決的な授業でしたね。 ●私も中学校の英語を担当していますが、最近単元学習のなかで、「学んだ文法を使ってプレゼンしよう」という課題をゴールに設定すると生徒は意欲的になります。ゴールの設定が難しいのですが、単元で身につけたスキルを使えるようなプランを考えています。最後にどのようにアウトプットできるかという授業計画を年間計画で考える見通しを持ちたいですね。 ●僕の授業では、なかなかアウトプットする授業になっていません。はじめからグループにして20〜30分取り組んでいます。だいぶ横道にそれましたね、中川先生お願いします。 ◆いいですよ、すてきな聴き合いで授業みたいでたのしいです。ある小学校の1年生の「たぬきの糸車」の授業を拝見しましたが、子どもたちはよく音読をして物語をすべて覚えているんですよ。中には教科書の違うページを開いている子どもが何人もいました。先生は足を運んでていねいに読んでいるページを開き、読んでいる本文を指し示していました。文字が先と思ってしまいますが、幼児などは文字があとです。英語の授業でも、三単現のSについても、指導していない国もあることを聴きました。 〇本日の授業ビデオについて ◆本日二つ目の授業に入りましょう。中学3年生の社会の授業ビデオを見ていただきますが、事前に子どもたちの様子をお話しします。クラスの生徒は非常にまじめです。私の授業は生徒が「え?」といろいろ引っかかって、わからなさを大切にして、「何を言ってもいい」という雰囲気でグループ中心に進めます。授業は徐々に生徒自身ですすめていけるようになってきました。ある教室の9月の授業「国民全体のための政治」と12月の授業「ヤップ島の石貨はお金なの?」を見比べていただきたいと思います。その中で、なかなか授業内容に入っていけない特別の支援が必要な生徒が4名います。その生徒にどんな変化があったかを皆さんと共有したいと思います。 ― 休 憩 ― 第2部 ビデオ視聴 ◆生徒Aは小学校では通級に通っていました。生徒Bは母語も日本語も概念が築けていない。生徒Cは学習性無力感に陥っている。生徒Dは姿勢はいいが同じく学習性無力感に陥っている。12月の授業では、グループ活動の中で変化しています。ご覧ください。 ◆これは経済分野の授業です。生徒Cがこの授業から前向きに参加するようになりました。 〇ビデオからの学びを対話・協同探究する 中川先生◆ 参加者● ◆学力が違う生徒が、その学力差を感じさせないほどに自由に違う発言をしはじめました。やはり探究の授業はいいなと思いました。三か月経過すると何かが変わると感じています。まずは、お隣とお話しください。 ●「三か月の変化」というキーワードは何だろうね。グループの仲間からの話を聞いていると、友だちからの問いや支援に対して生徒が断れないのではないか。教師と友達が同じ問いを投げたときに、きっと友達からの問いが断れないのではないですかね。 ●女の子から例えば厳しく言われても関係性が崩れませんよね。なぜか、支援をしてくれる子は女の子が多いようですね。 ◆このグループの構成は、担任の先生の配慮です。日頃から見ている関係性への配慮だと感じます。 ●この教室の生徒は、一人ひとりの発言のセンテンスが長いですよね。これは驚きです。 ●知識があるから話せるし、素晴らしい生徒たちだと思います。 ●先週、拝見した国語の授業において、ある生徒がテキストとは関係ない発言をしてしまいました。それは教科言語が理解できていないのが原因でしょうか、彼は生活言語で友だちの気を引こうとしていたように感じました。 ◆この場面を見ると、「グループの仲間の状況を見て子どもたち自身の考えで始めた音読」が鍵だと思います。社会科においてもグループで教科書や資料集を音読して理解しようとしていることが分かります。社会科の教科書を日常的に大切にしてきた「音読」で読み描き、自身の経験や資料集・ニュースなどを媒介に、社会につながったのだと思います。 ●私の経験ですが、漢字が書けない小学校6年生の子どもが、9月になって漢字を練習して満点を取ることがありました。その子どもの変化について紹介され、子どもの「わからなさ」には多様な背景があることを学びました。 ●生徒Cの生徒が学びに向かうようになった背景には、中川先生から配布された資料の「つまずきの背景を踏まえたアプローチ」にある(学習性無力感に対する自己有用感)(エネルギーが生まれない生徒に対する安全基地)がグループに見られたと感じています。中川先生が意識して進められたのかを訊いてみたい。 ◆学校全体が同じビジョンを持って進めています。私も同じ思いで進めているところですかね。 ●うまく学ぶことができない生徒に焦点を当てて研究協議をする機会は初めてでした。私にとっては、初めての経験で参加して価値がありました。 ◆今日は参加していただきありがとうございました。ぜひ、リフレクションをお願いします。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、特別支援教育を標準装備にということです。本日はありがとうございました。 中川先生と初任者の先生方との対話からのコンセプト、環境構成、授業デザインから、教員としてもっておきたいエキスをたくさん教えていただきました。 特別な支援が必要な子どもはたくさんいますが、その子に特化するのではなく、誰にでも同じように指導していくことが大切だと思いました。また、その環境を教室全体で作っていくことも大切だと思いました。全ての子どもが安心して学べる環境を作ることを大切にしていきたいと思いました。 |
|