最新更新日:2024/10/30 | |
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6月22日(土) 13:30〜16:30、国際交流会館2階においてシンポジウムを実施しました。
6月22日(土) 13:30〜16:30、国際交流会館2階においてシンポジウムを実施しました。
シニアフェローの的場正美氏のコーディネートにより、「地域と組織と教育実践から考える 学び合う学び −小牧市の試みを通して−」のテーマによるシンポジウムを開催しました。 シンポジウムの登壇者として、シニアフェローの副島孝氏、宮城教育大学の金田裕子氏、小牧市立桃陵中学校の丹羽浩一氏を迎えました。 中部教育学会の学会員を始め、近隣市町村の方、合計57名の方にご参加いただきました。スケジュールは以下の通りです。 1. 開会セレモニー 主催者あいさつ 実行委員長 富田健弘 来賓あいさつ 小牧市教育長 中川宜芳氏 2. 趣旨説明(司会) 3. 登壇者の発表 (各20分) 休 憩 4. 問題点整理と質疑応答 5. 会場参加者からの意見交流 6. コメンテーターからの総括 7. 閉会セレモニー 1.開会セレモニー 主催者あいさつ 実行委員長 富田健弘氏 来賓あいさつ 小牧市教育長 中川宜芳氏 2.趣旨説明(司会:永井勝彦) 「主体的・対話的で深い学び」の先取りとして、小牧市が地域の特色ある教育実践として取り組まれてきた 「学び合う学び」を取り上げ、 地域、組織、教育実践の観点から、これまでの成果と課題を振り返る。 参加者による活発な議論により、一人ひとりの学びを大切にする理念を継承しつつ、未来の教育にむけた実践と研究を展望する機会となることを期待している。 3.登壇者の発表 (各20分) <副島 孝氏> ●学びを支える地域と組織 自己紹介とともに、教育活動を振り返る 学び合う学びの3段階 〇始めるときに考えておくこと 教育長として感じた市内の学校の実態 2004年朝日新聞本社でのシンポジウムへの参加 「やれそう」「進め方の目処」から方向性が決まる パイロットスクールの成功、問題行動・不登校の減少、学力向上、地域からの信頼回復 〇広める、他の学校へのひろがり 市教委からの発信は3年目、基本方針は指導主事が作成 本当に広がったのは、次の行政職出身の教育長になってから 「トップダウン」と「ボトムアップ」、「属人的」と「システム的」 〇続けることが最も難しい 「形だけになっていないか」「深まりがない」などの不安や不満が聴こえる 授業改革・学校改革に終わりはない <丹羽浩一氏> ●協同体としての学校の学び 〇出会い 西春日井郡の教員として勤務する中で、応時中学校の研究発表会で授業実践に出会い衝撃をうける。その後、一人で実践に取り組む。 〇みんなで共に 小牧市へ転勤。学校の授業実践に違和感をもつ。そこで、以下の3点に取り組む。 1.自分自身の授業を積極的に公開 2.ミニ授業通信(学びの共有) 3.授業について語り合う会を開催し、授業研修の通信(先生方の良さの共有)を発行し、 同僚性を高めるように工夫した。 〇これから 誰も独りにしない。生徒も教師も独りにしない。 学び合う学びの理念の継承と発展 <金田裕子氏> ●教育実践研究からみる学び 〇教室のコミュニケーションの構造と教師の専門性の解明 「学び合う学び」を追求する教室のコミュニケーションと教師の役割を探る 〇「学び合う学び」に挑戦する先生たちの教室から得た学び 教室の参加構造:多様な聞き手を含む参加者たちの関係を捉える :多元的・多層的(グループでも、個と集団が行ったり来たりする) 会話フロアーの階層性の転換 空間:場をつくる・ポジショニング 時間:時を保障する・「旬」をつかむ コミュニケーション:聴く・つなぐ・戻す 〇学校づくり・授業づくりにおける学校と研究者 教室の豊かさと難しさを味わう人でありたい 教師が自律性と創造性を取り戻す。発揮する「余地」や「縁(よすが)」を共に創りたい。 〇現在に生きる学び 現場で作動している壁を捉える:そろえる(規律)はかる(学力と評価) ●それでは、お近くの方と感想交流をしてください。聴き合いにより生まれた問いを、質問用紙に記入してください。 休憩10分 4.問題点整理と質疑応答 ●<的場氏>現在、質問紙をいただきました。整理します。 □参加の仕方について質問がありました。これは、同僚性に関係します。チーム学校ともつながります。ここは要ですね。 □システムを変えるときのキーパーソンはどういう人がなるのか。どういう支援が行政からあったのか。 □評価の壁とは、教育のための評価ではなく、選抜のために評価について □学び合う学びの深まり、どうしていったらいいのか。子どもの変化は? □働き方改革の中で、職員がどう時間をつくったのか。 □授業研究は個人の研究なのか、学校の研究なのか。 ●<的場氏>登壇者が他の登壇者へ聴きたいことを出してください。 <副島>➡丹羽氏へ、休職の経験から、他者へのリスペクト、授業づくりを楽しむ、という気持ちはいつごろから?☚ 教師にとっていい授業じゃなくて、子どもにとっていい授業がいいな。そんな先生をリスペクトしました。 ➡ 金田氏は、授業構造のレイヤーの存在について、授業中に計画にないグループ活動を咄嗟にリデザインすることがあるが、授業構造の研究の立場からはどうですか?☚ 即興的という発言に対して、ルールがあるようで決まっているものでもない、いわゆるジャズのような応答性がある。四人グループにおいても、一人の時間もあり、複数の時間も存在している。そうしたレイヤーが自由に存在し、対話的になっている。 <丹羽氏>➡副島氏へ、地域からの批判に対して、どんなサポートをされたのか?☚ 地域への支援は、当時は応時フォーラムをはじめた。学校の様々なステークホルダーを集めて、2〜3日がかりで100名弱の参加者により実施をした。やはり、生徒の表情がよい方向にかわると地域の協力は格段に変化する。 ➡ 金田氏へ、参加構造が難しい。空間は理解できるが、時間の認識について教えていただきたい。☚ 時間のデザインについは、子どもたちには時間が動き出す。ペアやグループになると教師以外との時間が生まれ、かかわりや対話が動き出し学びが保障される。 <金田氏>➡副島氏へ、続ける難しさを感じている。最も困難な学校を選択してどのように支援をしたのか。☚ パイロットスクールとして選んだ時に、校長も考えました。校長に人を得ないと難しい。1校を変えるときは、人を選ぶ。属人的ですね。しかし、複数の学校になると難しくなってくる。だから、システムといった発想が生まれる。 ➡ 丹羽氏へ、授業者の教え方ではなく、子どもたちの学びを見ること。この大転換をどう実現したのか?☚ 子どもの学びを見るのは難しい。見えないですよ。教師は子どもの発言から、子どもがどう考えて発言したのかを想像していくことを研究協議の中心テーマにしようとなりました。また、そうした協議をファシリテートする人を育てる必要があります。研究協議をビデオに撮りファシリテーターがどのようにつなぎ、戻すかの様子(授業と同じ)に学びました。 <的場氏>参加構造が少し見えてきた気がしますが、こんな忙しい折によく時間が取れましたね。という声があります。授業の構造化が変わった学校とそうでない学校があると思います。そんな質問・発言を出していただいた方、フロアーから発言してください。 5.会場参加者からの意見交流 <参加者>実は3月まで中学の教員をしていました。本来教育は、授業中グループの中でどう学んだのかの評価であります。一方、入試選別のために点数化する評価があり、別物として位置付ける必要があると考えます。偽物のやる気であったり、偽物のがんばりだったりを評価せざるを得ない。生徒にとって授業中すべてが評価の対象とされる。それを意識した生徒は失敗が許されない。失敗すること自体がよくない。こうしたことが、学びの姿勢を変えている。得点化する評価と、次の学びにつながる個人内評価をどう扱うのかをお聞きしたい。 <的場氏>➡ まずは副島氏におききします。☚ 評価の問題は難しいことです。学力の高い子どもが分かり、学力の低い子どもが分からないという従来の現実を、どのように変えたらいいかという視点から離れます。ジャンプ課題では、学力の低い子どもの少し違う角度からの発想により、学力の高い子どもが解決策に気づくようなことが起きます。こうした学び方がおきるジャンプ課題を準備します。これには、発想の違うような見方ができる教師の下でしか起きない学びです。 ☚ 丹羽氏から 評価は難しい問題です。点数化する評価はしていかなくてはいけません。学びに向かう姿勢の評価をどうするかという問題を、学校全体で考え共有した時期がありましたが、楽しい時間でした。 <的場氏>➡ 最後に、各先生から言っておきたいことをお願いします。☚ 金田先生 参加行動とは何かとの質問がありましたので、お答えします。参加行動の魅力とは、現象的な参加です。私たちは授業をする前の参加について考える必要があります。 ☚ 丹羽先生 先生たちが救われるのが、学び合う学びの良さかなと考えます。学び合いがなかったら、私はこの場にいなかったと思います。 ☚ 副島先生 先生方の忙しさはよくわかります。授業研究に招かれて訪問する機会があります。以前は17:00までにコメントをと言われていましたが、今では16:00に終わりです。非常に短い時間の中で何を学んだのか、と思います。今までのように、みんなに強要するのは難しい。だけど、時間を忘れて研究したいと思う人を増やしていく必要があるように思います。 6.コメンテーターからの総括 <的場氏>次期学習指導要領の構想が生まれてきています。GIGAスクール構想の中心的な方の下で進めていかれると聞いています。こうした授業をしたいという思いから進められています。授業研究の視野として、「広さ」と「深さ」があります。誰と出会うか=選び取るか。副島先生からの学びとして、公的な研修に止まらず、内なる学びの場として、小牧市までの広がりがおもしろいです。 丹羽先生の取り組みは、具体的な発信(通信・授業公開)があり、誰も独りにしないとの理念を共有でき、お互いに共感できたことが大事なことだった。 金田先生は、深まりの構造がみえてきた。場のデザイン、民主的公共圏への参加について見えてきました。早稲田大学、広島大学、名古屋大学、中央大学もやっています。 次の授業研究のプラットフォームをどこで作っていくのか。今の学習指導要領の授業研究の検証なしに次期に移っていく問題をどう扱っていくか。この研究所の存在にも意味があります。以上、多くを学びました。ありがとうございました。 7.閉会行事 <柴田会長> 皆さんのおかげで、新しい企画も含めよいシンポジウムになったと思います。研究は分からないからする。本日あった提案について、地域に根差した形で進めていけるよう頑張りたいと思います。本日は、小牧市の協力で行うことができ感謝しております。みなさん、本日はありがとうございました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、 公開シンポジウム、大変勉強になりました。「学びあう学び」を、三者三様のとらえ方で語ることで様々な切り口が見られて興味深く感じました。 「学びあう学び」の一番の良い所は「子どもの姿」を見ることが、授業研究の視点になったことです。だれのための授業なのか、やはり、子どものための授業を目指したいとあらためて思いました。 |
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