最新更新日:2024/12/19 | |
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8月17日(土)13:30より第4回 月例 授業研究セミナーを実施しました。
8月17日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
授業者に小牧市立米野小学校 須賀康平先生、コメンテーターに当研究所の副島 孝先生を迎え、「小学校社会科を考える」をテーマに行いました。 今回は、対面で20名の申し込みをいただき、授業者も含め22名の方により、正解のない問いを自分ごとにする授業づくりの工夫について学び合いを深めることができました。スケジュールは以下の通りです。 第1部 授業実践から学ぶ 〇 今日の授業について 〇 逐語記録の読み合い(参加者全員による) 〇 テーブルでのリフレクション − 休 憩 − 第2部 リフレクション 〇 ビデオ視聴 〇 全体で学びを共有する 〇 コメンテーターからのリフレクション 第1部 授業実践から学ぶ 〇 須賀先生から、今日の授業について 私は数年前に、子どもから「社会は好きだけど、何を考えていいのかわからない」という子どもの声を聴いていました。そこで、学期末にアンケートを実施したところ「資料が配られ、何に気づきますか。と問われるが、何に気づけばいいのかがわからない」という記述に出会いました。子どもたちは見方が分からないのかと気づきました。 それからは、学び方に注目しています。「日常生活とのズレ」「自分の感覚とのズレ」「驚き・違和感」「そこから見つける疑問」など、資料を見せるとき、見せたいところをあえて隠して「ここになりがあると思う」と質問して見せると、子どもたちから驚きの声をよく聞くようになりました。自ずと、子どもたちから疑問が生まれてきて、そこを話し合わせることで、社会の資料の扱い方のきっかけを掴めた気がしています。 子どもたちが自分の考えに自信が持てるような予備の資料を準備したり、子どもの反応を予測して資料を準備したりと、子どもたちが資料を読み取る授業を目指していきたい。 今回取り上げた政治単元について、子どもたちが政治について自分ごとになっていないと感じていたので、子どもたちが、身近に感じること、知ることで、意識や行動を変えていければいいなと実施しました。実際の選挙のシミュレーション、模擬選挙を取り入れ、若者の投票率の低さについて自分ごととして考えられるようにねらいました。 〇 副島先生から、逐語記録の読み合いを取り入れた経緯とお品書き 実は、ビデオ撮影の失敗から、逐語記録を読み合う学びを取り入れようと考えました。逐語記録をきちんと読む体験を通して、どんなことを考えたのかという授業研究の方式を取り入れました。 ・実際の逐語記録を読む ・社会科の「真正の学び」の視点から、読み取った感想や疑問を共有する ・ビデオ記録を見る ・社会科の「真正の学び」を考える ・リフレクション 〇 逐語記録という授業研究の方法 ・かつては主流の授業研究方法だった ・全発言を文字化して、授業を再現して分析する ・経験して初めてわかる得られるものの大きさ ・欠点もある。△時間がかかる △情報が文字だけで、授業の再現性には想像力が必要 ・現場では、実際の授業を見て感想を交流することが授業研究になっている 〇 社会科の「真正の学び」とは 様々な解釈が語られている。・現実生活に即した学び・当該する学問の方法に即した学び・学びのプロセスがリアルである学び・学習者が実感するリアリティのある学び、と語られてているが、概念の成立と展開から考えると、どの解釈も間違っていない。佐藤 学はそれらすべてを包括した概念が「真正の学び」であると言っている。社会科の真正の学びには「課題」と「資料」が決定的に重要であり、資料とデータによる思考であり、正解はないと特徴づけている。 〇 逐語記録を読み合う 参加者が一人一人の発言を音読しながら読みつないでいく。(8分) 〇 読み取りを振り返りながら、各テーブルで学びを共有する(15分) 〇 テーブルでの学びを全体で共有しよう。 < ◎ ファシリテーター副島先生 ● 須賀先生 □ 参加者 > ◎ グループでこんな指摘が出ました。こんな発言が気になりました。など、全体で共有しましょう。 □ 56番の「なんでもいいですか」の発言が言えるのがいい。他の子どもからも「なんで?」という、分からなさや疑問の発言が多い。これが、みんなで話し合うきっかけになっている。 □ Bさんの発言がこの一時間の中で、77番で「義務でいいんじゃない」96番で「縛られているみたい」125番で「選挙のやり方を変えないと」の発言になっている。142番で「自分たち政治をもっと詳しく知りたい」となるところがすごいなと思いました。 □ 逐語記録をよむことの難しさを感じました。子どもたちは、選挙の仕方が分からないと言っています。私は高等学校ですが、主権者教育を行っています。今回の授業を読み合い「誰に投票したらいいのかがわからない」というところが学びのポイントになると感じました。 □ 56番のPさんの発言で「意外な国が高かった」とあるが、この意外な国という発言の裏に、別の思いや考えが隠れていたのではないか。子どもたち批判的に資料を見ています。 □ Pさんの発言で、143番で「政治の勉強をもう少ししたかった」は大きな変貌ではないか。 □ 一番わからなかったのが、本時の「課題、めあて」です。選挙にどうかかわっていくか。43番までの話で、若者の投票率の低さではないか。と想像しておりました。Pさんが気になりました。数字を使って考えられる素敵な子どもです。投票へ行っていない理由は、やり方が分からないからと取り上げている。 ◎ めあては、何だったですかね。 ● めあては、「これからの政治とのかかわりで、自分たちに必要なことを考えよう」です。 − 休 憩 − 第2部 リフレクション 〇 ビデオ視聴(8分) ◎ Pさんはフィリピンにルーツをもつ子どもです。ところが、グループでのかかわりができ、発言もできます。外国籍だからお客さんとはならないのが、学校の教育力ですね。クラスはこんな感じです。 ◎ コメンテーターからのリフレクション この授業は、おもしろいし、難しいところがありますね。 <社会科の難しさ、面白さ> 1. 学力とは、学習によって獲得された能力 2. 従来の学力観では、知識や技能に焦点を当て、あらかじめ用意された問題の成果に達することに価値を置いてきた。 3. PISA型学力では、実生活で直面する多様な課題に対して、知識や技能がどの程度活用できるか(コンピテンシー)が評価されるようになってきた。 4. さて、社会科の求める学力とは?授業で狙うものとは?なんだろうか。特に、正解が明らかではない教科としての社会科にとっては。 <逐語記録を読む> 1. 授業者も、参観者も逐語記録を読むことで、新たな気づきが生まれる。子どもたちは、委ねられたことにより。 ➡ メタ認知(「自分は何がわかっていないのか」を自覚する) 2. グループ活動は6回あったが、いずれも短時間だった。 3. 自分の考えが揺らいだ子どもがいたか。 4. 他人事でない自分ごととは、本時で何だろうか。 5. 投票率100%の選挙は、身近にあるのでは。 <須賀先生の授業から学び> 1. 政治の問題を真正面から取り上げている。 2. これまでの身につけた学び方の成果から成立した授業。 3. 本時の資料について <メタ認知について> <フランス人記者、日本の学校に驚く> <オーストラリアの選挙方法(の変化)について調べてみた> オーストラリアの選挙制度の紹介があり、日本との違いに驚かされる。紹介されたような選挙制度について子どもたちが探究できらた、違う考え方が生まれただろう。 〇須賀先生のリフレクション Pさんの「意外な国が高かった」という発言を聴き、自分としては「あっ、オーストラリアが出てきた」と飛びついてしまった。あそこで、「なんで意外なのか」に立ち止まり、子どもの考えを知ることの大切さを学びました。 2学期は歴史の授業内容が続きます。歴史的事象の背景を探っていくような授業をやっていきたいと考えています。本日、皆さんの協議をお聞きして、これからの授業において、よりいっそう子どもたちが疑問をもち歴史が自分ごとになるような授業を続けていこうと思いました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆本日のセミナーで学んだ中で重要だと思ったことは、メタ認知です。 連日の猛暑の中、とても深い学びができた事に感謝いたします。正解のない問いを自分事にするとはとても授業力が必要になることを実感しました。授業をデザインすることは、課題と資料が決定的に重要だと思いました。9月からの授業で、いかに子ども達が探究していける資料を探していきたいと思いました。 毎回、とても勉強になります。今後ともよろしくお願いします。 9月セミナーのご案内です。
講師招聘セミナーを開催します。
9月セミナー 日 時 2024年9月21日(土) 13:00〜15:30 会 場 愛知文教大学 201教室 テーマ 「子どもが自らの価値観を語る道徳授業」 授業者 蒲郡市立蒲郡東部小学校 大浦 彩 先生 講 師 愛知東邦大学 丹下 悠史先生 本セミナーでは、「子どもが自らの価値観を語る道徳授業」をテーマに、参加者と学び合いたいと思います。 物語資料を用いた道徳の授業において、子どもが「ひと事ならず考える(=自我関与する)学び」をどのように実現するか、その学びをどう見取るかを、小学校6年道徳「手品師」の実践をもとに考えます。皆さんの参加をお待ちしております。 申込は学び合う学び研究所ホームページ行事予定9月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 7月20日(土)13:30より第3回 月例 授業研究セミナーを実施しました。
7月20日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
授業者に小牧市立味岡中学校 塚田有貴先生、コメンテーターに当研究所の林 文通先生を迎え、「子どもに委ねる授業」をテーマに行いました。 今回は、on-lineで1名、対面で21名の申し込みをいただき、授業者も含め23名の方により、子どもに委ねる授業づくりの工夫について学び合いを深めることができました。スケジュールは以下の通りです。 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 今日の授業について 〇 ビデオ視聴 〇 テーブルでのリフレクション − 休 憩 − 第2部 リフレクション 〇 全体で学びを共有する 〇 コメンテーターからのリフレクション 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 林先生から、今日の授業について 本日の授業は昨年度の12月の3年生理科の授業です。授業者は、課題として「この写真は何時に撮ったのでしょうか」と一枚の写真を見せることから授業を始めました。 〇 授業者が語る授業のゴールイメージとして、参加者へ以下の説明がありました。 今日の授業は、太陽と地球と月の関係性を、モデルを使いながら言葉で説明することをゴールとしていること、そして、生徒が、各グループで使用した天体モデルを示しながら課題を追究していることが授業者から告げられたあと、参加者全員で授業ビデオを視聴しました。 視聴後、各テーブルで学びを共有する(15分) − 休 憩 − 第2部 リフレクション < 〇 ファシリテーター林先生 ● 塚田先生 □ 参加者 > 〇 休憩中も夢中になってグループでお話しいただきありがとうございました。それでは、テーブルで共有された学びや個人的な思いでも結構ですので全体で交流しましょう。では、どなたかお話ししていただけますか。 □ 自分の中学校時代は、天体が全くダメで、理科は覚えていました。ところが今日の授業は、教師がファシリテーターとして振る舞っていることがとても素敵だと感じました。このテーブルでの交流では、この授業は生徒にメタ認知させたかった授業ではないかという意見が出ました。自分の中学校時代はメタ認知できていなかったと感じています。 〇 キーワードは「メタ認知」ですね。 □ すごく興味深く拝見しました。生徒がすごいなと感心しました。教師は何も説明していない。学びを委ねている。学び方、学ぶ先も委ねられている。だから探究的な学びになっていた。グループでの学びには、まったく追究に参加していない生徒もいたように見えました。個別の分からなさ(課題)がもてることが大切ではないか。 〇 授業の後に振り返りの書き込みには、個別の分からなさは出てきましたか。 ● はい、振り返りの用紙には、めあて・フィードバック、「授業をダイジェストに書きなさい」と言っています。何をしたかの事実を書く。学んだこと(の欄)には、めあてに対してわかったこと。フィードフォワード(の欄)では、次こうしたい、知りたい、調べたいと思ったことを書きます。次の時間は、フィードフォワードの共有から始めます。最終的には、モデルで説明できる場面へ行きます。 〇 個々の生徒(の振り返り)には、具体的に「何がわからない、知りたい」が書かれているんですね。 □ 課題が絶妙だなと感じました。一切教えていない。生徒がそれぞれ教科書を開き進めている。生徒が自分で獲得したくなるような課題が大切だなと感じました。たとえば、この生徒はなかなか関われなかったが、なんとか学び続けていました。 〇 やはり、課題は大事ですよね。 □ 自分も、この課題が素晴らしいなと思いました。その中で、生徒の発言や教師の発問のタイミングなど、子どもの発言に対するほかの生徒の対応が実にシステマティックになっていました。 〇 あのような授業スタイルはいつから(挑戦しているの)ですか。 ● 3年前からですね。この教室の生徒が1年生の時から学び合いをやってきたのですが、本気で授業を変えたいと思ったのはこの生徒たちが2年生の時です。学年教師集団の意識が高く、(学級における)学び合いの基礎ができていたのですが、いざ、授業で生徒に「はい、意見ください?」とか「手を挙げてください」と言っても出てこなかった。「どうしようかな?」と悩んでいたのがスタートでした。 □ 私が学生の頃、天球の座標が全く分からなかった。外から見ていた地球を、自分が天球の中心になったことで見方が変わってしまい、(天体の位置関係が)まったく理解できませんでした。 〇 (事象を)自分ごとにする過程で、分からなくなっている生徒がいましたね。そこのテーブルではどんな話をしていましたか。伺ってもいいですか。 □ 中学3年生でこの課題をやっているのかと驚いている。西に満月が出ているということは、朝に決まっている。それがわからない生徒たちなのか。金星の満ち欠けがわからない。月の満ち欠けも生徒にはわからないということ(生徒の実態)がわかりました。そういう意味で面白い課題ですね。月の満ち欠けは天動説ですね。生徒の混乱が次時でどうなるのか興味がありますね。 〇 授業の良し悪しではなく、子どもの姿を語りましょうといいましたが、この授業を見ていると色々と引っ掛かる部分もありますよね。 □ 子どもたちの姿を見ていると、意外にも学び方を知らないということが分かった。生徒たちが情報を集めてくることを学んでいる。それを認識させられる授業でした。 〇 せっかく塚田先生に来てもらっていますので、授業者に質問をしてみたいと思います。 1.学び合う学びの魅力について 2.なぜ「子どもにゆだねる授業」をはじめたのか? 3.挑戦していて悩んでいることは? 4.挑戦していて楽しいことは? ● 一番難しい課題でした。学び合う学びに魅力は感じているのですが、言葉にすることは難しいと感じています。 1.学び合う学びの魅力について 子どもたちが課題に向き合っている姿をみるのが幸せということです。そういう姿を見たいから、自己研鑽しています。得意・苦手な生徒たちが学び合いをすることで、生徒たちが対等に学んでいる姿がいいなと思っています。 2.なぜ「子どもに委ねる授業」をはじめたのか? <きっかけは?> 四人グループから全体共有にするタイミングに悩んでいました。生徒から「もっと時間が欲しかった」という声をもらい、「それなら子どもに時間を委ねてみよう」とはじめました。 <委ねる授業が成立にはどんな環境が必要か?> 授業中の子どもたちが対等な関係との評価をもらい、「仲間の意見を大切にしている」との声が(子どもの中から)出てきた。そうした子どもたちの姿を、日ごろから賞賛したり価値づけしたりしています。 3.挑戦していて悩んでいることは? (今担当している)1年生では「委ねる」というと、「何をするの?」という声が返ってくる。生徒からは「どのタイミングで話せばいいんですか?」という声も聞かれるようになり、私自身が(かつて)悩んでいたことに、生徒たちも直面します。正解のない「タイミング」について(生徒とともに)考えながら、我慢しながらやっています。 4.挑戦していて楽しいことは? 以前は、(日常の会話の中で)生徒とは行事について話すことが多かったのですが、最近は「今日の授業は〇〇さんの言葉がキーだったよね」など、まるで教師同士が同僚と授業の話をするように、生徒たちとも授業の話ができるようになりました。生徒議会での各学級の「頑張っていること」を報告する場面では、うちの学級の生徒が「授業頑張っています」と報告していて、その姿を(私自身が)聴いて、幸せと感じました。 〇 子どもが(自分たちの)授業のことを(教師とともに)語り合うということは、できそうでできないことです。参加された方も、ぜひ、やってみてください。 〇 コメンテーターからのリフレクション 1. 課題に対して「答えがわかればよいのではなく、説明できることが大切」 2. そのためには、様々な視点で現象をとらえ、深い理解が必要となる。 3. 子どもたちは、委ねられたことにより「自分は何がわかっていないのか」を自覚する。 ➡ メタ認知(「主体的・対話的で深い学び」と深い関わり) 4. 自分の分からなさを、周囲の力を借りながら、自分の力で乗り越えようとしている。 ・具体的な場面1(月の方角) 友達の考え「だぶん、西だと思う」をきき、2班では、その言葉を検証するためグーグルアースを使い調べはじめ、本当にそうなのか葛藤しながら自力で解決しました。7分後に「わかった」との声が聞こえてきます。 ・具体的な場面2(なぜ満月が見えるのか?) 途中、ある女子生徒が、「月と地球と太陽が一直性に並ぶと皆既月食になると(資料集に)書いてある。では、なぜ満月が見えるのか」という疑問を全体の場でみんなに問いました。この生徒にとっては、この問いを解決しなければ、本時の課題と向き合うことができなかったことが分かります。 以上の場面からわかるように、教師の都合やタイミングで教えるのではなく、一人ひとりの子どもが直面する疑問を解決するために、子ども自身の都合やタイミングで学べるようにする。これが「個別最適な学び」の一つの姿ではないかと理解しています。 個別最適な学びと協働的な学びは、相補的で相互促進的な関係にあると考えています。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、 本日のセミナーで学んだ中で重要だと思ったことは、子どもに委ねる勇気です。 自分の学校から撮った写真を提示して、子どもの課題への関心をぐっと引きつけていてすごいなと思いました。 「何時に撮ったのか」という、言葉では簡単な発問ですが、月の公転と地球の自転を俯瞰して考えるとても難しい内容でした。教科書、インターネット、教具などいろいろなものを使って、導き出そうとしている子どもの姿がとてもすてきだと思いました。子ども同士の対等なつながりを基盤に、課題を設定し、子どもに委ねる授業を目指したいなと思いました。とりあえず、2学期初めの単元を頑張りたいと思います。 8月セミナーのご案内です。
第4回セミナーを開催します。
8月セミナー 2024年8月17日(土) 13:30〜15:30 会 場 愛知文教大学 201教室 テーマ 「社会科授業」 実 践 者 小牧市立米野小学校 須賀康平先生 コメンテーター 学び合う学び研究所シニアフェロー副島 孝先生 第4回の授業づくり8月のセミナーは、「社会科授業」をテーマに、正解のない学びにおける、協同的な学びでの子どもの姿を、逐語授業記録を読みながら参加者の皆さんで確認したいと思います。 学ばせていただく授業は、須賀康平先生が米野小学校で実施した6年社会科「国の政治のしくみと選挙」の授業です。子どもたちの学びがどう広がるのか。その時教師は何をしていたのか。皆さんがとらえた子どもの学びと教師の姿を語り合いたいと思います。皆さんの参加をお待ちしております。 申込は学び合う学び研究所ホームページ行事予定8月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 6月22日(土) 13:30〜16:30、国際交流会館2階においてシンポジウムを実施しました。
6月22日(土) 13:30〜16:30、国際交流会館2階においてシンポジウムを実施しました。
シニアフェローの的場正美氏のコーディネートにより、「地域と組織と教育実践から考える 学び合う学び −小牧市の試みを通して−」のテーマによるシンポジウムを開催しました。 シンポジウムの登壇者として、シニアフェローの副島孝氏、宮城教育大学の金田裕子氏、小牧市立桃陵中学校の丹羽浩一氏を迎えました。 中部教育学会の学会員を始め、近隣市町村の方、合計57名の方にご参加いただきました。スケジュールは以下の通りです。 1. 開会セレモニー 主催者あいさつ 実行委員長 富田健弘 来賓あいさつ 小牧市教育長 中川宜芳氏 2. 趣旨説明(司会) 3. 登壇者の発表 (各20分) 休 憩 4. 問題点整理と質疑応答 5. 会場参加者からの意見交流 6. コメンテーターからの総括 7. 閉会セレモニー 1.開会セレモニー 主催者あいさつ 実行委員長 富田健弘氏 来賓あいさつ 小牧市教育長 中川宜芳氏 2.趣旨説明(司会:永井勝彦) 「主体的・対話的で深い学び」の先取りとして、小牧市が地域の特色ある教育実践として取り組まれてきた 「学び合う学び」を取り上げ、 地域、組織、教育実践の観点から、これまでの成果と課題を振り返る。 参加者による活発な議論により、一人ひとりの学びを大切にする理念を継承しつつ、未来の教育にむけた実践と研究を展望する機会となることを期待している。 3.登壇者の発表 (各20分) <副島 孝氏> ●学びを支える地域と組織 自己紹介とともに、教育活動を振り返る 学び合う学びの3段階 〇始めるときに考えておくこと 教育長として感じた市内の学校の実態 2004年朝日新聞本社でのシンポジウムへの参加 「やれそう」「進め方の目処」から方向性が決まる パイロットスクールの成功、問題行動・不登校の減少、学力向上、地域からの信頼回復 〇広める、他の学校へのひろがり 市教委からの発信は3年目、基本方針は指導主事が作成 本当に広がったのは、次の行政職出身の教育長になってから 「トップダウン」と「ボトムアップ」、「属人的」と「システム的」 〇続けることが最も難しい 「形だけになっていないか」「深まりがない」などの不安や不満が聴こえる 授業改革・学校改革に終わりはない <丹羽浩一氏> ●協同体としての学校の学び 〇出会い 西春日井郡の教員として勤務する中で、応時中学校の研究発表会で授業実践に出会い衝撃をうける。その後、一人で実践に取り組む。 〇みんなで共に 小牧市へ転勤。学校の授業実践に違和感をもつ。そこで、以下の3点に取り組む。 1.自分自身の授業を積極的に公開 2.ミニ授業通信(学びの共有) 3.授業について語り合う会を開催し、授業研修の通信(先生方の良さの共有)を発行し、 同僚性を高めるように工夫した。 〇これから 誰も独りにしない。生徒も教師も独りにしない。 学び合う学びの理念の継承と発展 <金田裕子氏> ●教育実践研究からみる学び 〇教室のコミュニケーションの構造と教師の専門性の解明 「学び合う学び」を追求する教室のコミュニケーションと教師の役割を探る 〇「学び合う学び」に挑戦する先生たちの教室から得た学び 教室の参加構造:多様な聞き手を含む参加者たちの関係を捉える :多元的・多層的(グループでも、個と集団が行ったり来たりする) 会話フロアーの階層性の転換 空間:場をつくる・ポジショニング 時間:時を保障する・「旬」をつかむ コミュニケーション:聴く・つなぐ・戻す 〇学校づくり・授業づくりにおける学校と研究者 教室の豊かさと難しさを味わう人でありたい 教師が自律性と創造性を取り戻す。発揮する「余地」や「縁(よすが)」を共に創りたい。 〇現在に生きる学び 現場で作動している壁を捉える:そろえる(規律)はかる(学力と評価) ●それでは、お近くの方と感想交流をしてください。聴き合いにより生まれた問いを、質問用紙に記入してください。 休憩10分 4.問題点整理と質疑応答 ●<的場氏>現在、質問紙をいただきました。整理します。 □参加の仕方について質問がありました。これは、同僚性に関係します。チーム学校ともつながります。ここは要ですね。 □システムを変えるときのキーパーソンはどういう人がなるのか。どういう支援が行政からあったのか。 □評価の壁とは、教育のための評価ではなく、選抜のために評価について □学び合う学びの深まり、どうしていったらいいのか。子どもの変化は? □働き方改革の中で、職員がどう時間をつくったのか。 □授業研究は個人の研究なのか、学校の研究なのか。 ●<的場氏>登壇者が他の登壇者へ聴きたいことを出してください。 <副島>➡丹羽氏へ、休職の経験から、他者へのリスペクト、授業づくりを楽しむ、という気持ちはいつごろから?☚ 教師にとっていい授業じゃなくて、子どもにとっていい授業がいいな。そんな先生をリスペクトしました。 ➡ 金田氏は、授業構造のレイヤーの存在について、授業中に計画にないグループ活動を咄嗟にリデザインすることがあるが、授業構造の研究の立場からはどうですか?☚ 即興的という発言に対して、ルールがあるようで決まっているものでもない、いわゆるジャズのような応答性がある。四人グループにおいても、一人の時間もあり、複数の時間も存在している。そうしたレイヤーが自由に存在し、対話的になっている。 <丹羽氏>➡副島氏へ、地域からの批判に対して、どんなサポートをされたのか?☚ 地域への支援は、当時は応時フォーラムをはじめた。学校の様々なステークホルダーを集めて、2〜3日がかりで100名弱の参加者により実施をした。やはり、生徒の表情がよい方向にかわると地域の協力は格段に変化する。 ➡ 金田氏へ、参加構造が難しい。空間は理解できるが、時間の認識について教えていただきたい。☚ 時間のデザインについは、子どもたちには時間が動き出す。ペアやグループになると教師以外との時間が生まれ、かかわりや対話が動き出し学びが保障される。 <金田氏>➡副島氏へ、続ける難しさを感じている。最も困難な学校を選択してどのように支援をしたのか。☚ パイロットスクールとして選んだ時に、校長も考えました。校長に人を得ないと難しい。1校を変えるときは、人を選ぶ。属人的ですね。しかし、複数の学校になると難しくなってくる。だから、システムといった発想が生まれる。 ➡ 丹羽氏へ、授業者の教え方ではなく、子どもたちの学びを見ること。この大転換をどう実現したのか?☚ 子どもの学びを見るのは難しい。見えないですよ。教師は子どもの発言から、子どもがどう考えて発言したのかを想像していくことを研究協議の中心テーマにしようとなりました。また、そうした協議をファシリテートする人を育てる必要があります。研究協議をビデオに撮りファシリテーターがどのようにつなぎ、戻すかの様子(授業と同じ)に学びました。 <的場氏>参加構造が少し見えてきた気がしますが、こんな忙しい折によく時間が取れましたね。という声があります。授業の構造化が変わった学校とそうでない学校があると思います。そんな質問・発言を出していただいた方、フロアーから発言してください。 5.会場参加者からの意見交流 <参加者>実は3月まで中学の教員をしていました。本来教育は、授業中グループの中でどう学んだのかの評価であります。一方、入試選別のために点数化する評価があり、別物として位置付ける必要があると考えます。偽物のやる気であったり、偽物のがんばりだったりを評価せざるを得ない。生徒にとって授業中すべてが評価の対象とされる。それを意識した生徒は失敗が許されない。失敗すること自体がよくない。こうしたことが、学びの姿勢を変えている。得点化する評価と、次の学びにつながる個人内評価をどう扱うのかをお聞きしたい。 <的場氏>➡ まずは副島氏におききします。☚ 評価の問題は難しいことです。学力の高い子どもが分かり、学力の低い子どもが分からないという従来の現実を、どのように変えたらいいかという視点から離れます。ジャンプ課題では、学力の低い子どもの少し違う角度からの発想により、学力の高い子どもが解決策に気づくようなことが起きます。こうした学び方がおきるジャンプ課題を準備します。これには、発想の違うような見方ができる教師の下でしか起きない学びです。 ☚ 丹羽氏から 評価は難しい問題です。点数化する評価はしていかなくてはいけません。学びに向かう姿勢の評価をどうするかという問題を、学校全体で考え共有した時期がありましたが、楽しい時間でした。 <的場氏>➡ 最後に、各先生から言っておきたいことをお願いします。☚ 金田先生 参加行動とは何かとの質問がありましたので、お答えします。参加行動の魅力とは、現象的な参加です。私たちは授業をする前の参加について考える必要があります。 ☚ 丹羽先生 先生たちが救われるのが、学び合う学びの良さかなと考えます。学び合いがなかったら、私はこの場にいなかったと思います。 ☚ 副島先生 先生方の忙しさはよくわかります。授業研究に招かれて訪問する機会があります。以前は17:00までにコメントをと言われていましたが、今では16:00に終わりです。非常に短い時間の中で何を学んだのか、と思います。今までのように、みんなに強要するのは難しい。だけど、時間を忘れて研究したいと思う人を増やしていく必要があるように思います。 6.コメンテーターからの総括 <的場氏>次期学習指導要領の構想が生まれてきています。GIGAスクール構想の中心的な方の下で進めていかれると聞いています。こうした授業をしたいという思いから進められています。授業研究の視野として、「広さ」と「深さ」があります。誰と出会うか=選び取るか。副島先生からの学びとして、公的な研修に止まらず、内なる学びの場として、小牧市までの広がりがおもしろいです。 丹羽先生の取り組みは、具体的な発信(通信・授業公開)があり、誰も独りにしないとの理念を共有でき、お互いに共感できたことが大事なことだった。 金田先生は、深まりの構造がみえてきた。場のデザイン、民主的公共圏への参加について見えてきました。早稲田大学、広島大学、名古屋大学、中央大学もやっています。 次の授業研究のプラットフォームをどこで作っていくのか。今の学習指導要領の授業研究の検証なしに次期に移っていく問題をどう扱っていくか。この研究所の存在にも意味があります。以上、多くを学びました。ありがとうございました。 7.閉会行事 <柴田会長> 皆さんのおかげで、新しい企画も含めよいシンポジウムになったと思います。研究は分からないからする。本日あった提案について、地域に根差した形で進めていけるよう頑張りたいと思います。本日は、小牧市の協力で行うことができ感謝しております。みなさん、本日はありがとうございました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、 公開シンポジウム、大変勉強になりました。「学びあう学び」を、三者三様のとらえ方で語ることで様々な切り口が見られて興味深く感じました。 「学びあう学び」の一番の良い所は「子どもの姿」を見ることが、授業研究の視点になったことです。だれのための授業なのか、やはり、子どものための授業を目指したいとあらためて思いました。 7月セミナーのご案内です。
第3回セミナーを開催します。
7月セミナー 2024年7月20日(土) 13:30〜15:30 会 場 愛知文教大学 201教室 テーマ 「子どもに委ねる授業」 授業者 小牧市立味岡中学校 塚田 有貴先生 コメンテーター 学び合う学び研究所フェロー 林 文通先生 第3回の授業づくり7月のセミナーは、「子どもに委ねる授業」をテーマに、協同的な学びにおける子どもの姿を参加者の皆さんで確認したいと思います。 学ばせていただく授業は、塚田有貴先生が味岡中学校で昨年実施した3年理科「地球と宇宙」の授業です。一枚の月が写った写真から、子どもたちの学びがどう広がるのか。その時教師は何をしていたのか。皆さんがとらえた子どもの学びと教師の姿を語り合いたいと思います。皆さんの参加をお待ちしております。 申込は学び合う学び研究所ホームページ行事予定7月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 6月22日シンポジウムのご案内
シンポジウムを実施します。
令和6年6月22日(土) 13:30〜16:30 会 場 愛知文教大学 国際交流会館2階 後 援 小牧市教育委員会 テーマ 「地域と組織と教育実践から考える 学び合う学び −小牧市の試みを通して−」 コメンテーター 学び合う学び研究所シニアフェロー 的場 正美 氏 登壇者 学び合う学び研究所シニアフェロー 副島 孝 氏 登壇者 宮城教育大学 金田 裕子 氏 登壇者 小牧市立桃陵中学校 丹羽 浩一 氏 申 込 学び合う学び研究所ホームページ行事予定6月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 5月18日(土)10:00より論文講座 第2回目を実施しました。
第2回目の講座には、2名の方が出席してくださいました。
自分が一番研究したいことを、テーマにすることが一番大切であるということを、3名で話し合いました。中島は、研究テーマへの個人の思いれが一番大事であると思います。児童生徒の分かる喜びにあふれた顔を思い浮かべて、研究に進むことが一番だと思います。 願いをもった研究テーマであっても、ねらいを達成したかどうかを検証できることが大切だという話をしました。研究テーマ自体が、大きすぎて検証の方法が見つからない場合は、小さな課題に分割して、一つ一つ検証する方法があります。もちろん、その研究テーマの検証のために、色々な検証方法を探し続ける方法もありますが、検証方法が見つからない場合は、テーマの変更もありうると思います。 論文講座担当の中島も、小学校教員時代に、教職実践論文の執筆の際には、有効な検証方法が見つかりませんでした。有効性を実証しようとする中島の思惑が入っているのではないか、公正ではない結果なのではないかと、いつも危惧しておりました。迷いながら、最善と思う方法をとって検証を行いました。年月を経て、研究者になった現在においても、公正な検証の方法を探すことは、変わらず大きな課題です。 今後、論文講座を、月に1回程度開催していきますが、一人一人の方が課題を設定し、それに対する検証方法を考える支援をしていきたいと考えております。 5月18日(土)13:30より第2回 月例 授業研究セミナーを実施しました。
5月18日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
授業者に小牧市立味岡中学校 垣内望花先生、コメンテーターに当研究所の後藤孝文先生を迎え、「深い学びにむけた授業づくり・学級づくり」をテーマに行いました。 今回は、on-lineで1名、対面で19名の申し込みをいただき、授業者も含め21名の方により授業づくり・学級づくりの工夫について学び合いを深めることができました。スケジュールは以下の通りです。 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 授業者の思い 〇 ビデオ視聴 〇 テーブルでのリフレクション − 休 憩 − 第2部 リフレクション 〇 全体で学びを共有する 〇 コメンテーターからのリフレクション 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 授業者の思い 私が授業づくりで大切にしてきたことは、以下の3点です。 1. 子ども同士のつなぎをどうつくるのか。そのための教師の出所をどうするか。 2. 前時とのつなぎ方をどうするか。 3. 音読だけでは上手くいかないので、動作化を加えるようにしたが。 〇 授業ビデオの視聴後、テーブルで学びを共有する(10分) − 休 憩 − 第2部 リフレクション <〇 ファシリテーター後藤先生 ● 垣内先生 □ 参加者> 〇 それでは、テーブルで共有された学びや感じられた思いを全体で交流しましょう。では、そこのグループからお話しください。 □ クラスの雰囲気、つながりのよさは素晴らしいと感じました。垣内先生が多くの手立てを工夫されていることを感じました。私が悩んだことは、この学級での指導が行き届いているがゆえに子どもの活動があまりに揃っている。授業は発言の違いに学びたいと考えており、不自然にそろっていることが気になりました。 □ クラスの温かさ、音読の多様性に深く感心しました。子どもの発言に対して周りの子どもの反応が素敵でした。 □ こんな1年生になれたらいいなと感じました。低学年の子どもはなかなか集中できませんが、よくここまで集中し続けていると感心しました。先生が“C6さんどうですか”と発問し、C17とC6の発言がつながっていくことに驚きました。C23の子どもはほかの子どもの発言に対して、“そういうことじゃないよ”と発言しています。こうした発言は、物語に入り込んでいないとできないことで驚きました。 □ 1年生のクラスの子どもたちは、垣内先生が大好きだと感じました。ある場面で、先生は一度出した指示に、別の指示を追加しました。子どもたちは、二つの指示に対して話しはじめ、混在する場面がありました。しかし、C27とC23の子どもが、“先生の聴いているのはそういうことじゃないよ”と話しています。この姿に感心しました。垣内先生の職人技のような対応に感心させられていました。 □ ペアでつながっている関係性がしっとり温かい。たぬきの表情の話から、おかみさんの視点から見た話に移っていく発言に潜む学びの秘密に興味深く学ぶことができました。 □ 低学年の関わりに驚いた。動作化がいいなと感じた。子どもたちの活動の丁寧さから、今までの垣内先生の指導してこられた様々なことが感じられた。 〇 めあてとしては、おかみさんだったのですが、子どもたちの学びには揺れがあったと感じましたが、いかがでしょうか。 ● おかみさんの見たタヌキで読んでいきたいと思い授業をしました。ただ、タヌキの様子が見えない子どもにとっては難しいなと思いました。 〇 子どもの視点と教師の思いの両面から進めて見えたということになりますね。 □ この授業以前の子どもたちの様子をよく知っていますが、本時では、魔法をかけられたように成長していました。子どもたちは、友だちにも教師にも聴いてもらえる嬉しさを感じていたように思いました。先生の言葉が多いなと感じていましたが、1年生だから、学びの作法を丁寧に指導していると感じています。 〇 最初に、垣内先生が示された3点について、もう一度思い出していただき、ご覧いただいた子どもの姿について、各テーブルでお話しください。どうぞ。 − テーブル協議 − 〇 それでは、どうですか。 □ 子どもの“つなぎ”がどうしてこのように豊かになったのかを話していました。低学年の語彙力からすると、こうした教師のつなぎが必要だと感じました。 □ 私自身、小学校経験の大半が低学年でしたが、低学年でもできることだと感じます。子どもたちの反応の良さが素晴らしいが、教師の発問に、どんな・なぜ、という言葉が多いなと感じました。高学年の子どもにはいいが、1年生では難しいなと感じました。 □ 1年の間に、あそこまで成長させることはすごいなと感じます。ペアの対話の中に、“○〇さんどう“ということが多く出てきたが、先生が、”あなたはどう“という言葉をかけていくことが、高学年の四人グループに生きてくると思います。 □ この授業で、先生が何を大切にしてきたのかが、よく伝わってくる気がします。子ども同士が、安心して学べている。つながりには、子ども同士と同時に、テキストとつながっていかなければいけない。子どもたちの発言からテキストの読みが確かに感じられました。しかし、ある子どもが何かを発言すると、同じ方向に流れてしまう傾向があります。これは、音読のスピードがみんな同じで一斉になっていることにも、原因があると感じます。さらに、“なぜ、どうして”と教師が発問したことにあると感じました。 □ C3の子どもが、毎晩毎晩おかみさんの様子を見てと発言していますが、45分の発言にもつながっています。この子ども自身が読み描いている状況であり、1年生もこんな発言が出てくることが素晴らしい。教師がつなごうと意識しすぎなくても、こうした子どもを紹介することで、子ども同士がつながっていくことになると思います。 〇 コメンテーターから 1. よく身についている学びの作法:読む(音読) 2. よく身についている学びの作法:話す 3. よく身についている学びの作法:聴く ● 垣内先生自身が取り組んできた、よく身についている学びの作法の紹介 1年間意識した指導:子どもたちに横糸を張る 具体的な取り組み例:つながる手立て、方法、例えば、ある子の“なるほど”の発言の次にどんな言葉をつなげるかを教える 4. 学びを深めるために:ペア 5. 学びを深めるために:音読(音読の実際=時間と読みの変化を表で提示) 6. 学びを深めるために:本時の課題にさらに迫るために 7. 学びを深めるために:学びの深化に向けて学んだこと 〇 授業者よりの振り返り 授業をする前には、難しいなと思うことが多くありましたが、授業後に、“つながる”ことがいいなと思っている子どもの姿を見ることができた。これからも、言葉にこだわって授業を進めていきたいと感じました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆本日のセミナーで学んだ中で重要だと思ったことは、教材へ戻る大切さです。 4人グループや全体共有をしていると、生徒児童がわからなくなってしまうことがあります。そんなときに、自分の感想や自分の想像を全体で話して混乱してしまうことがあります。今回のセミナーで音読の大切さを知りました。分からないとか困っているときにもう一度教材に戻すことの大切さを学びました。ありがとうございました。 5月セミナーのご案内です。
第2回セミナーを開催します。
5月セミナー 2024年5月18日(土) 13:30〜15:30 会 場 愛知文教大学 201教室 テーマ 「深い学びにむけた授業づくり・学校づくり」 授 業 者 小牧市立味岡中学校 垣内 望花先生 コメンテーター 学び合う学び研究所フェロー 後藤 孝文先生 第2回の授業づくりセミナーは、深い学びをうみだす授業づくり、学級づくりのために、教師が工夫する授業デザインや子どもへのまなざし、さらに支援の奮励について、参加者と学び合いたいと思います。 学ばせてもらう授業は、垣内望花先生が前任校で実践された1年国語「たぬきの糸車」です。子どもたちは音読を通して物語のおもしろさを楽しみながら、友だちの考えを聴き合い読みを深めていきます。 皆さんの参加をお待ちしております。 申 込 学び合う学び研究所ホームページ行事予定5月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 4月20日(土)13:30より第1回 月例 授業研究セミナーを実施しました。
4月20日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
授業者に小牧市立小牧小学校 城 沙侑璃先生、コメンテーターに当研究所の永井勝彦先生を迎え、「深い学びにむけた授業づくり・学級づくり」をテーマに行いました。 今回は年度初めの忙しい折に23名の申し込みをいただき、授業者も含め25名の方により授業づくり・学級づくりの工夫について学び合いを深めることができました。スケジュールは以下の通りです。 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 授業者の思い 〇 ビデオ視聴 〇 テーブルでのリフレクション − 休 憩 − 第2部 リフレクション 〇 全体で学びを共有する 〇 コメンテーターからのリフレクション 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 授業者の思い 授業づくりで大切にしていることは2点です。まず、子どもたちの言葉を大切に扱いたい。子どもたちの分からなさや気づきの言葉を丁寧に受け取りつなげてくことで深い読みの実現を目指しています。 もう一つは、聴くということです。まず、教師が子どもの言葉をよく聴き、つなげ、戻すように心がけています。授業後半の読みの行き詰まりをどうしていいのか皆さんに教えていただきたい。 〇 ビデオ視聴:小学校6年国語「海の命」45分視聴 〇 視聴後、テーブルで学びを共有する(10分) − 休 憩 − 第2部 リフレクション <〇 ファシリテーター永井先生 ● 城先生 □ 参加者> 〇 それでは、テーブルで共有された学びや今感じられた思いを全体で交流しましょう。どなたからでもお話しください。 □ とにかく、海の命の授業は難しいなと思っています。子どもから出された「こんな気持ちは初めてです」との問いは、大人でも難しいと感じました。 □ 自分の授業経験でも、大変難しいと思います。この教室の子どもたちはよく話し続けているなと感心しました。子どもたちが自由な気持ちを話せる授業で、どこがうまくいっていないのか不思議なくらいです。 □ それぞれの子どもが教材をよく読みこんでいると感じました。それぞれの気持ちを聴き合うことで収拾がつくのか心配する意見もあったが、私はいろんな思いがあっていいので、まとめる必要はないと感じています。 □ 私も城先生の授業にはいつも感心させられています。前時の授業と本時とはどんな違いがありましたか。 ● 前時の授業は、子どもの発言後に、聴いている子どもから「あっ・・・」とか「なるほど」と共感的な反応や空気観の広がりがあったのですが、今回はそうなりませんでした。 □ 前時はどこを読んだのですか。 ● 母の悲しみが語られるところです。 □ 今日、読んでいる場面は、太一の感情を描いている部分でしたが、子どもにとっては一番描きづらい場面だったと感じました。 □ 16さんと18さんの話し方には、言いよどみがあり、深い学びに向かっていったと感じます。授業者は村一番の漁師、本当の一人前の漁師に注目させていきましたが、子どもたちの思いが別の所にあったのかなと感じました。板書しながら子どもたちの発言に切り込んでいける教師の技に驚きました。 □ 子どもの言葉を拾いながら授業を作っていることに感動した。物語の中で、30:00頃の本当の一人前の漁師を話している場面に、もっとこだわっていけたらいいなと感じました。 □ 子どもの言葉に寄り添いすぎたのではないか。テキストの言葉に戻す必要があったのではないか。 □ 子どもの言葉を大切にしすぎていることが、テキストの言葉と子どもの思いから生まれた言葉が混在してくると、授業のめあてからずれていくのではない。 □ 私自身、海の命に何度も挑戦しましたが、今回の場面は、いろいろな矛盾をはらんでいて、なかなかうまくいきませんでした。しかし、子どもたちの言葉がよくつながっていた。いたるところで、音読を入れて学んでいた。読みが狭まってきたので重たい空気になった。音読の幅を広げていくことで変わってきたように思います。 □ 私は中学校勤務ですが、小学生が難解な物語を、物語に夢中になりこんなに豊かに読みを共有できている姿に驚きです。中学校へも持ち帰りたい。 □ 私もこの授業は苦手でしたが、今教材を読んでみて、海底の情景表現の美しさに今感動しています。こうした、静寂に満ちた美しい映像表現を味わうことが、太一の気持ちを読んでいくことになるのではないでしょうか。 □ 私のポリシーとして、文学の授業は、読み味わいをさせていくことだと思っています。じゃあ、勝手に読ませていけばいいのかというと、そうではなく、テキストの言葉に触れないと読み味わえない。ですから音読がポイントで、どこを読ませるのかが重要だと思います。 子どもたちは、すごいところに気づいています。太一の心情を読ませるときに、気持ちをきいていくと、「なぜ」「どうして」という科学的なよみになり、少し前の場面で、太一が大魚と対峙している場面に戻す、点の音読ではなく、面の音読が必要でしょう。 □ 今の発言であったように、全体を読むことの大切さを感じました。板書を頻繁に行い、大切なポイントを示している、まとめようとしているが、あの場面でグループに戻すことがあったら、学びに変化があったように感じました。 □ 2番の子どもが気になりました。この子どもに寄り添いたいと感じました。 〇 コメンテーターのリフレクション 1 北里小学校の研究の歩みについて 2 聴き合う関係とは 3 城先生が日ごろから進めてきた学級づくりについて 4 ICTを学びに生かす方法 5 授業のスタートを、前時の学びの振り返りからはじめ、今日、子どもたちが物語のどこを読みたいかを選ばせる重要性 6 子どもたちの多様な読みにどう出会っていくか、そのために教師はどこで立ち止まるか。 7 読みが深まっていくために、どこに戻していくのか。 8 授業の最後は、一人ひとりの読みに戻すことの大切さ、教師の思いどおりの解釈を押しつけるものではない。 9 この教室から学んだこと ● 聴き合う安心感のある学級づくりの在り方 ● 「子どもの読みたい」が実現できる授業デザイン ● 一人の子どもも独りにしない 最後に、城先生よりご自身が学んだことと、学び合っていただいたことへの感謝が語られました。 以上、貴重な授業実践を提供していただいた北里小学校と城先生に感謝を申し上げます。また学年はじめの忙しい折にご参加いただいた参加者の皆さんとの有意義な学び合いにも感謝を申し上げます。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日のセミナーで学んだ中で重要だと思ったことは、聴く・つなぐ・もどす・立ち止まる、つっこむことです。 国語の授業があまりよくわからず、去年は城先生の国語の授業を何度も見させていただき学ばせてもらいました。今日のセミナーに参加して、音読を関係する一文ではなくもっと前の場面から面で読むということの大切さを知りました。どこを読ませたらより深まるのかを考え音読させることがとても難しいと感じました。また、まず分からないところから授業を進めていき、教師が聴く・つなぐ・もどす・立ち止まる、つっこむという働きをすることが改めて重要だと思いました。月曜日の授業からより意識して取り組んでいきたいです。 4月20日(土)10:00より論文講座を実施しました。
4月20日(土)10:00〜12:00に、201教室において論文講座を実施しました。
講師は当研究所の中島淑子先生です。「実践教育論文の書き方を学び、研究所の研究紀要に掲載」を目指います。本日からはじまり、毎月第3土曜日の連続講座になります。 今回の講座には、3名の方の申し込みがあり参加者お一人ひとりの研究テーマに合わせ、論文をそのように書き進めるのかを学んでいきます。 <論文を書くとは> 〇 中島先生の経験から、論文の書き方を知る 自己紹介:参加者がお互いに自己紹介をしました。 中島先生:小学校での勤務は28年間、25歳で担任をした子どもの指導について戸惑い、支援の過程において、評価を継続する大切さをまとめたものが始まりでした。1年間の活動を通して「子どもは、願いのかたまり」だということが分かった。 生きる =願いをもつこと よりよく生きる=願い+努力+達成+継続 自分の実践を文字に残しまとめることでメタ認知することになったと考えています 〇 各自が考えたいテーマを見つめる 現在、自分が考えている「今、課題にしたいこと」「解決したいこと」を一人ひとりの短冊に書きホワイトボードに貼り、共有する。 それぞれから示されたテーマについて質疑応答が続きました。 参加者からは、論文の記述の中で「検証の方法」の難しさ。研究授業は結論の誘導に近いのではとの疑問が出されました。 4月セミナーのご案内です。
第1回セミナーを開催します。
4月セミナー 日 時:2024年4月20日(土) 13:30〜15:30 会 場:愛知文教大学 201教室 テーマ 「深い学びにむけた授業づくり・学校づくり」 授 業 者 小牧市立小牧小学校 城 沙侑璃先生 コメンテーター 学び合う学び研究所事務長 永井 勝彦先生 第1回の授業づくりセミナーは、深い学びをうみだす授業づくり、学級づくりのために、教師が工夫する授業デザインや子どもへのまなざし、さらに支援の奮励について、参加者と学び合いたいと思います。 学ばせてもらう授業は、城 沙侑璃先生の教室です。前任校で実践された小学校6年生の国語「海の命」を読み味わう授業です。子どもたちは、物語をどう読んでいくか、友だちの考えを聴きながら読みを深めていきます。皆さんの参加をお待ちしております。 申 込 学び合う学び研究所ホームページ行事予定4月予定GOOGLE フォームよりお願いします。 実践論文講座のご案内
実践論文講座のご案内です。
継続して、論文の夏季からについて学びます。 開 催 日:2024年4月20日(土) 〜2月15日(土) 開催時間:10:00〜1:30 会 場:愛知文教大学 201教室 内 容:実践教育論文の書き方を学び、研究所の研究紀要に掲載を目指します。 担当責任者 学び合う学び研究所所長 中島 淑子先生 申 込 学び合う学び研究所ホームページ行事予定4月予定GOOGLE フォームより 参加費は何度参加されても1000円です。多くの方々の参加をお待ちしております。 2024年度セミナー予定です。多くの方々の参加をお待ちしております。
2024年度学び合う学び研究所セミナーの予定が決まりました。
小・中・高・大学、学生と共に学びましょう。 ● 4月〜12月の毎月土曜日に月例セミナーを13:30〜15:30に実施します。 ● 6月は中部教育学会を開催します。午後はシンポジウムを開催します。 ● 9月は講師を招聘し、道徳の授業づくりについて学び合います。 ● 2024年度より、月例セミナーの午前中に論文講座を複数回行います。 2025年1月・2月には、少経験者の実践的な研究会を新設しました。 複数回継続して、じっくり学び合います。 会場:愛知文教大学の教室を使用します。 ◆詳しくは、配布文章をご覧ください。 <参加申し込み> 学び合う学び研究所ホームページ: 行事予定 Googleフォームから。 4月から、申し込みが可能になります。 ■ 後 援 ■ 愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・小牧市教育委員会・春日井市教育委員会・岩倉市教育委員会・犬山市教育委員会・豊明市教育委員会・北名古屋市教育委員会・ 豊山町教育委員会・清須市教育委員会・江南市教育委員会・みよし市教育委員会・瀬戸市教育委員会 |
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