最新更新日:2024/08/26
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2024年度のセミナーを募集しております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。2024年9月のセミナーの申し込みができます。右「行事予定」のバナーからGoogleフォームで申し込みをお願いします。

7月20日(土)13:30より第3回 月例 授業研究セミナーを実施しました。

 7月20日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
 授業者に小牧市立味岡中学校 塚田有貴先生、コメンテーターに当研究所の林 文通先生を迎え、「子どもに委ねる授業」をテーマに行いました。

 今回は、on-lineで1名、対面で21名の申し込みをいただき、授業者も含め23名の方により、子どもに委ねる授業づくりの工夫について学び合いを深めることができました。スケジュールは以下の通りです。

第1部 授業ビデオから学ぶ
〇 今日の授業について
〇 ビデオ視聴
〇 テーブルでのリフレクション
− 休 憩 − 
第2部 リフレクション
〇 全体で学びを共有する
〇 コメンテーターからのリフレクション

第1部 授業ビデオから学ぶ
〇 林先生から、今日の授業について
 本日の授業は昨年度の12月の3年生理科の授業です。授業者は、課題として「この写真は何時に撮ったのでしょうか」と一枚の写真を見せることから授業を始めました。
〇 授業者が語る授業のゴールイメージとして、参加者へ以下の説明がありました。
 今日の授業は、太陽と地球と月の関係性を、モデルを使いながら言葉で説明することをゴールとしていること、そして、生徒が、各グループで使用した天体モデルを示しながら課題を追究していることが授業者から告げられたあと、参加者全員で授業ビデオを視聴しました。

 視聴後、各テーブルで学びを共有する(15分)

− 休 憩 − 

第2部 リフレクション
< 〇 ファシリテーター林先生   ● 塚田先生   □ 参加者 >
〇 休憩中も夢中になってグループでお話しいただきありがとうございました。それでは、テーブルで共有された学びや個人的な思いでも結構ですので全体で交流しましょう。では、どなたかお話ししていただけますか。
□ 自分の中学校時代は、天体が全くダメで、理科は覚えていました。ところが今日の授業は、教師がファシリテーターとして振る舞っていることがとても素敵だと感じました。このテーブルでの交流では、この授業は生徒にメタ認知させたかった授業ではないかという意見が出ました。自分の中学校時代はメタ認知できていなかったと感じています。
〇 キーワードは「メタ認知」ですね。
□ すごく興味深く拝見しました。生徒がすごいなと感心しました。教師は何も説明していない。学びを委ねている。学び方、学ぶ先も委ねられている。だから探究的な学びになっていた。グループでの学びには、まったく追究に参加していない生徒もいたように見えました。個別の分からなさ(課題)がもてることが大切ではないか。
〇 授業の後に振り返りの書き込みには、個別の分からなさは出てきましたか。
● はい、振り返りの用紙には、めあて・フィードバック、「授業をダイジェストに書きなさい」と言っています。何をしたかの事実を書く。学んだこと(の欄)には、めあてに対してわかったこと。フィードフォワード(の欄)では、次こうしたい、知りたい、調べたいと思ったことを書きます。次の時間は、フィードフォワードの共有から始めます。最終的には、モデルで説明できる場面へ行きます。
〇 個々の生徒(の振り返り)には、具体的に「何がわからない、知りたい」が書かれているんですね。
□ 課題が絶妙だなと感じました。一切教えていない。生徒がそれぞれ教科書を開き進めている。生徒が自分で獲得したくなるような課題が大切だなと感じました。たとえば、この生徒はなかなか関われなかったが、なんとか学び続けていました。
〇 やはり、課題は大事ですよね。
□ 自分も、この課題が素晴らしいなと思いました。その中で、生徒の発言や教師の発問のタイミングなど、子どもの発言に対するほかの生徒の対応が実にシステマティックになっていました。
〇 あのような授業スタイルはいつから(挑戦しているの)ですか。
● 3年前からですね。この教室の生徒が1年生の時から学び合いをやってきたのですが、本気で授業を変えたいと思ったのはこの生徒たちが2年生の時です。学年教師集団の意識が高く、(学級における)学び合いの基礎ができていたのですが、いざ、授業で生徒に「はい、意見ください?」とか「手を挙げてください」と言っても出てこなかった。「どうしようかな?」と悩んでいたのがスタートでした。
□ 私が学生の頃、天球の座標が全く分からなかった。外から見ていた地球を、自分が天球の中心になったことで見方が変わってしまい、(天体の位置関係が)まったく理解できませんでした。
〇 (事象を)自分ごとにする過程で、分からなくなっている生徒がいましたね。そこのテーブルではどんな話をしていましたか。伺ってもいいですか。
□ 中学3年生でこの課題をやっているのかと驚いている。西に満月が出ているということは、朝に決まっている。それがわからない生徒たちなのか。金星の満ち欠けがわからない。月の満ち欠けも生徒にはわからないということ(生徒の実態)がわかりました。そういう意味で面白い課題ですね。月の満ち欠けは天動説ですね。生徒の混乱が次時でどうなるのか興味がありますね。
〇 授業の良し悪しではなく、子どもの姿を語りましょうといいましたが、この授業を見ていると色々と引っ掛かる部分もありますよね。
□ 子どもたちの姿を見ていると、意外にも学び方を知らないということが分かった。生徒たちが情報を集めてくることを学んでいる。それを認識させられる授業でした。

〇 せっかく塚田先生に来てもらっていますので、授業者に質問をしてみたいと思います。
1.学び合う学びの魅力について
2.なぜ「子どもにゆだねる授業」をはじめたのか?
3.挑戦していて悩んでいることは?
4.挑戦していて楽しいことは?

● 一番難しい課題でした。学び合う学びに魅力は感じているのですが、言葉にすることは難しいと感じています。
1.学び合う学びの魅力について
 子どもたちが課題に向き合っている姿をみるのが幸せということです。そういう姿を見たいから、自己研鑽しています。得意・苦手な生徒たちが学び合いをすることで、生徒たちが対等に学んでいる姿がいいなと思っています。
2.なぜ「子どもに委ねる授業」をはじめたのか?
<きっかけは?>
 四人グループから全体共有にするタイミングに悩んでいました。生徒から「もっと時間が欲しかった」という声をもらい、「それなら子どもに時間を委ねてみよう」とはじめました。
<委ねる授業が成立にはどんな環境が必要か?>
 授業中の子どもたちが対等な関係との評価をもらい、「仲間の意見を大切にしている」との声が(子どもの中から)出てきた。そうした子どもたちの姿を、日ごろから賞賛したり価値づけしたりしています。
3.挑戦していて悩んでいることは?
 (今担当している)1年生では「委ねる」というと、「何をするの?」という声が返ってくる。生徒からは「どのタイミングで話せばいいんですか?」という声も聞かれるようになり、私自身が(かつて)悩んでいたことに、生徒たちも直面します。正解のない「タイミング」について(生徒とともに)考えながら、我慢しながらやっています。
4.挑戦していて楽しいことは?
 以前は、(日常の会話の中で)生徒とは行事について話すことが多かったのですが、最近は「今日の授業は〇〇さんの言葉がキーだったよね」など、まるで教師同士が同僚と授業の話をするように、生徒たちとも授業の話ができるようになりました。生徒議会での各学級の「頑張っていること」を報告する場面では、うちの学級の生徒が「授業頑張っています」と報告していて、その姿を(私自身が)聴いて、幸せと感じました。

〇 子どもが(自分たちの)授業のことを(教師とともに)語り合うということは、できそうでできないことです。参加された方も、ぜひ、やってみてください。

〇 コメンテーターからのリフレクション
1. 課題に対して「答えがわかればよいのではなく、説明できることが大切」
2. そのためには、様々な視点で現象をとらえ、深い理解が必要となる。
3. 子どもたちは、委ねられたことにより「自分は何がわかっていないのか」を自覚する。
➡ メタ認知(「主体的・対話的で深い学び」と深い関わり)
4. 自分の分からなさを、周囲の力を借りながら、自分の力で乗り越えようとしている。
・具体的な場面1(月の方角)
 友達の考え「だぶん、西だと思う」をきき、2班では、その言葉を検証するためグーグルアースを使い調べはじめ、本当にそうなのか葛藤しながら自力で解決しました。7分後に「わかった」との声が聞こえてきます。
・具体的な場面2(なぜ満月が見えるのか?)
 途中、ある女子生徒が、「月と地球と太陽が一直性に並ぶと皆既月食になると(資料集に)書いてある。では、なぜ満月が見えるのか」という疑問を全体の場でみんなに問いました。この生徒にとっては、この問いを解決しなければ、本時の課題と向き合うことができなかったことが分かります。
 以上の場面からわかるように、教師の都合やタイミングで教えるのではなく、一人ひとりの子どもが直面する疑問を解決するために、子ども自身の都合やタイミングで学べるようにする。これが「個別最適な学び」の一つの姿ではないかと理解しています。
 個別最適な学びと協働的な学びは、相補的で相互促進的な関係にあると考えています。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、
 本日のセミナーで学んだ中で重要だと思ったことは、子どもに委ねる勇気です。
 自分の学校から撮った写真を提示して、子どもの課題への関心をぐっと引きつけていてすごいなと思いました。
 「何時に撮ったのか」という、言葉では簡単な発問ですが、月の公転と地球の自転を俯瞰して考えるとても難しい内容でした。教科書、インターネット、教具などいろいろなものを使って、導き出そうとしている子どもの姿がとてもすてきだと思いました。子ども同士の対等なつながりを基盤に、課題を設定し、子どもに委ねる授業を目指したいなと思いました。とりあえず、2学期初めの単元を頑張りたいと思います。

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8月セミナーのご案内です。

第4回セミナーを開催します。
8月セミナー
2024年8月17日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室
テーマ 「社会科授業」
実 践 者   小牧市立米野小学校       須賀康平先生 
コメンテーター 学び合う学び研究所シニアフェロー副島 孝先生
 第4回の授業づくり8月のセミナーは、「社会科授業」をテーマに、正解のない学びにおける、協同的な学びでの子どもの姿を、逐語授業記録を読みながら参加者の皆さんで確認したいと思います。
 学ばせていただく授業は、須賀康平先生が米野小学校で実施した6年社会科「国の政治のしくみと選挙」の授業です。子どもたちの学びがどう広がるのか。その時教師は何をしていたのか。皆さんがとらえた子どもの学びと教師の姿を語り合いたいと思います。皆さんの参加をお待ちしております。
 申込は学び合う学び研究所ホームページ行事予定8月予定GOOGLE フォームよりお願いします。
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愛知文教大学 学び合う学び研究所
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