最新更新日:2024/12/19
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2024年度のセミナーを募集しております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。2025年1月の学習講座の申し込みができます。右「行事予定」のバナーからGoogleフォームで申し込みをお願いします。

10月28日(土)9:30より中島淑子先生によるセミナーを実施しました。

 10月28日(土)午前 9:30〜11:30に、201教室において実施しました。
講師に学び合う学び研究所長 中島淑子先生をお迎えして(身近な問題からはじめる教育実践論文の書き方)をテーマに行いました。

 今回の継続講座は、少人数で和気藹々な雰囲気の中、質疑を交わしながら実施できました。

第1部 わが人生の論文との出会い
□ 現職教員17年間のふりかえり
□ 教育実践論文の地位向上をめざして
  ― 休 憩 ―
第2部 個人研究と学校研究における大切なこと
□ 個人実践論文
□ 学校研究に想うこと

第1部 わが人生の論文との出会い 
□ 現職教員17年間のふりかえり
 私は教育実習での担当教諭から群馬県佐波郡島小学校の記録と出会いました。「実践を文章にまとめることが教師としての成長になる」このことが、論文人生の始まり。
 25歳:特別支援学級の実践を知多地区の論文応募に参加してみました。
 30歳:2年理科 ひまわり成長の跡についてまとめ応募。 
 39歳:5年理科 子どもたちの感想記録についてまとめました。この論文で、はじめて校内のある先生から指導(成果の検証が甘い)を受け、地区論文審査で特選を取りました。
 それまでは、教育実践論文は指導がされてきませんでした。
 また、学校研究・紀要についても、どこかの研究をまねて、積み重なってきたように感じるものが多いと感じ来ました。やはり、検証が甘いように感じます。
 大学に勤めるようになり、教育実践論文と学術論文の間に隔たりがあること感じてきました。
□ 教育実践論文の地位向上をめざして
 学術論文では、検証に数値を用いる論文が多い。
 教育方法学では、エピソード記述が中心となります。
 深い学びにおける検証はどうあるべきか?あまり研究されていません。
 例えば、子どもたちが授業で使用する主要語の出現率を分析して論文にまとめるケースもあります。
 
休 憩

第2部 個人研究と学校研究で大切なこと 〇:参加者の質問 ●:中島先生のコメント
□ 個人実践論文
〇中島先生は、どうして論文を書こうと思ったのですか。●最初に、特別支援学級で行っていた、ある子どもの1年間の成長について具体的な記録が残っていました。1年間に一つは創造的な仕事をしようと決め、それから論文を毎年書いてきました。
●実践をまとめて書く経験はありますか?
〇今、会社で毎週A4一枚の文章を書き社内ホームページに掲載し、80枚になりました。
●書くことで、振り返り、成長する。過去を覚えている。ということになりますね。
●哲学者が行っています。学術論文は検証できるものが多い。実践論文について言えば、例えば「金型を製作する工場では0.01ミリの違いを職人が極め、製品化している」こうした経験値が大切で、そうした部分はなかなか論文になっていない。
〇現場の先生は学術論文と実践論文のどちらを信じるのかな。
□ 学校研究に想うこと
●まず、テーマが大切で、具体的なもの(漢字が書ける子を)がいいですね。そして、テーマと検証がリンクしていることが大切です。論文の流れは、目的・方法・結果・考察となるが、目的には、目的0(個人の思いや願い)目的1(すべての生徒が意欲的に)目的2(今までどのように研究されてきたか)があり、特に、目的0を持つ必要があります。しかし、実際の論文には書きません。
●教育実践の向上をめざして、学べる集団になってほしい。
 教育方法学研究室は1950年代 重松先生が、教育の発展は、教育の科学化をめざすことであり、子どもの事実を語り、授業を検証する科学化を重視すべきと述べられました。
学校の授業研究会が一部の職員だけでなく、全職員の授業研究になるため、エビデンス(子どもの姿)をもとに語る授業検証の科学化が大切ということで締めくくられました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、書くことは振り返ることであり、成長につながるということです。
「人が何かのものを書くのはそのものを見るためだ」とロビン・G・コリングウッドは語っている。見ることは書くことの中で経験として成長してゆく。見ている事物がどんなものであるかは、それを描いてしまうまでわからないと英国の哲学者は言う。教育現場で起きている事実を書きとめ、空間的に立体的に展開している子どもたちの事実を立ち止まって見つめることで、価値の認識がはじまる。今日の講座では、成果の検証が中心的なテーマとして語られた。教室で起きている貴重な実践を後世に残すためには、教育の科学化を目指す必要を強く感じました。ありがとうございました。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、「文章でまとめる」こと。日々の実践・気づきをそのままにしないで、文章として記録するということです。
講師の先生の論文にまつわる経験を聴きながら、教育における論文の位置づけを知ることができました。教育の特殊性が論文にも表れていると感じました。教育の向上を目指すために、日々の経験や気づきを文章にまとめていくことからはじめ、そこにテーマ性を見出し、目的、方法、結果、考察とまとめ上げていくことが重要なことだと思いました。教育は、なかなか科学的に数値的表現が難しいが、教育の科学化を目指すことは忘れてはならないことだと思いました。
日頃、学校現場で感じているモヤモヤを文章に起こし、少しでも科学的に分析をしながら、記録していき、これからの教育のために少しでも役立つように取り組んでいきたいものです。また、会の中で、いろいろと話し合うことができ、とても有意義な時間となりました。受動的でなく、論議に参加していくことの重要性、楽しさも経験することができました。ありがとうございました。

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第6回セミナー 中 止 のお知らせ

 9月9日(土) 13:30〜15:30に予定をしておりました
第6回セミナー
「道徳授業における子どもの学びを捉える」につきまして、

 講師の先生のご都合により中止とさせていただきます。

 参加申し込みいただきました多数の方々、楽しみにしてみえたことと存じますが、
残念ながら中止の判断をいたしました。

 次回、以降のセミナーへのご参加をお待ちしております。

第9回 12月セミナーのご案内

2023年12月9日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 教科書の中の平安文化を捉え直す―古文・絵巻・装束―
講 師 愛知文教大学 准教授  畠山大二郎先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定12月予定GOOGLE フォームより

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第8回 11月セミナーのご案内

2023年11月18日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室  
テーマ ”主体的・対話的で深い学び”の実現に向けての第一歩を 〜学びの作法と教材研究の体験を通して一緒に考えましょう〜」
講 師 学び合う学び研究所フェロー 栗木 智美先生 
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定11月予定GOOGLE フォームより

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第3回 継続講座3を開催します。

 第3回 継続講座3を開催します。年間計画では、2回の実施計画をしておりましたが、講師都合により10月14日(土)を中止させていただきます。

2023年10月28日(土) 9:30〜11:30 午前中 1回実施
 講座参加者との話し合いで、継続日時を調整します。
会 場  愛知文教大学 201教室 
テーマ 身近な問題からはじめる教育実践論文の書き方
講 師 学び合う学び研究所長 中島 淑子 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定10月予定GOOGLE フォームよりお願いします。

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8月20日(日)13:30より的場正美先生 シニアフェロー就任記念 シンポジウムを実施しました。

 8月20日(日) 13:30〜15:30に、ウインクあいち 小会議室において実施しました。司会・報告にシニアフェロー 的場 正美先生、対談者に名古屋大学大学院講師 草薙佳奈子先生、コメンテーター 名古屋大学教授 Sarkar Arani Mohammad Reza 先生をお招きし、(世界から見た日本の教育)をテーマに行いました。

 今回のシンポジウムには、小中高の先生方、研究者(ドイツ・中国からの留学生も含)、出版社、学生と多様な立場の方が39名集い実施できました。

第1部 提案と対談
□提案の趣旨 的場先生より
□フロアーのグループで学び合い
□草薙先生より(インドネシアのレッスンスタディ)
□対 談(的場先生×草薙先生)
  ― 休 憩 ―
第2部 フロアーからの質問とモハメッド・アラニ先生よりのコメント
□7グループからの質問
□アラニ先生からのコメント

第1部 
□ スピーカーのご紹介
□ 的場先生より
〇提案の趣旨
・日本の授業研究には理論がないのか?
 日本やアジアの授業研究は実践優位、欧米の授業研究は理論優位といわれる
・戦前の教師は授業研究をどのように考えていたのか? 現在に通じるのか?
・学び合う経験の意味とは?
 世界の授業研究に詳しい研究者との対談と本日参加されている授業実践者からも学び合いたい。

●参加者への(問い1)「あなたが最初に出会った授業研究は、いつ?どこで?ですか」
 グループごとに交流を行いました。(6分)自己紹介・問いについての各自の考え・意見交流

〇歴史から学ぶ 授業研究の精神
・東京師範学校 校則改正1875年・東京府師範学校「授業批判会」1885年
・大正期の授業研究 理科教育研究会1922年
・明治20年代の授業批評界の特徴 批評の基準・批判会の開催・批評内容 の事例を紹介
・1960年以降➡1980年代 授業研究の衰退(校内暴力・不登校・教師の多忙化)➡1990年代 新しい学問領域(認知心理学・エスノグラフィー)➡授業研究の再発見(Lesson study・校内研修による学校づくり)➡WALSの設立(授業研究の世界への広がり)
・他者から学ぶ(Learning from Each Other)同僚から、子どもから、ベテランから、専門家から、助言者から、校長から、保護者から、学ぶ ➡ 日本の授業研究では、子どもの集団における学びや態度を丁寧に見つけている。

 ドイツ・中国での授業研究の紹介
●参加者への(問い2)「あなたは後輩に授業研究の何を伝えたいですか? 一つ挙げてください」
 グループごとに交流を行いました。(7分)シンキングタイム・問いについての各自の考え・意見交流
●グループで共有されたことを全体共有
・高等学校ではあまり授業研究が行われていないが、子どもの認知科学レベルまで踏み込みながら子どもの学びをとらえていくような授業研究を進めていきたい。
・グループでは多様な立場や視点の話し合いが生まれた。学生からは先輩の授業の良かった点を取り入れ改善点をいかしたい。授業者としては、子どもがどのように分かっていくのか。を協議することが有効になる。他の国の視点として、研究者の視点は先入観がないので重要である。授業研究は、教師のためになるが、最終的には子どもがどのように分かっていくのかを追求することである。
・グループの交流では、授業研究の印象は「あまりやりたくない」ネガティブなものが多かった。それは、先生への授業評価からくるものではないか。授業研究は最終的に子供の成長につながっていくものでなくてはいけない。授業研究について、教師が楽しいと思える視点とプログラムが必要ではないか。

〇的場先生から 宮崎小学校での授業研究実習(授業記録の分析の具体的な事例)の紹介
〇授業研究とは、様々な(解釈)共同体(意味を保持・生成)する営み
 言葉➡現象を切り取る➡意味 概念の揺らぎ➡分節された事実に新しい気づきが生まれる。

□ 草薙先生より(インドネシアのレッスンスタディ)
〇今回のシンポジウム(現場の先生、研究者、学生が学ぶ場)は世界でも珍しいものです。
 私が授業研究で一番大切にしていることは、「先生が楽しく学び合っていること。いいことでも押し付けにならないようにしたい」わざわざ週末に学び合いたいことは何かを研究テーマです。日本から発信された授業研究がインドネシアでどのように再文脈化されたかを探るため、昨日までインドネシアにおりました。
・授業研究の目的 教育の質の向上
・社会文化背景の違い 異なる前提(通学の様子・学校の様子・授業研究の様子)
・どのように授業が始まるのか?
・授業デザインと教授法(ワークシートの例)
・授業の様子をビデオで視聴
・授業研究の文化はどのように作るのか
 インドネシアでは、校長の力が大きく、授業研究は簡単に始まる。それが、果たして教師にとっていいことなのか?
 内側から授業・学校改革することの難しさを感じている。

■対 談 (的場先生×草薙先生)

的場先生:ドイツでは、授業研究をすることが、教師にとっては、自身のステップアップのために道具になっています。
草薙先生:インドネスアの場合は、LS(レッスンスタディー)を取り組む理由は、学校が授業研究をしていますよといったアッピールの材料にされています。
的場先生:アフリカでは、LSはやっていられない。現実は教室がなく、子どもは100人を超えていて、授業研究以前の問題です。アラニ先生は、アフリカへ行っていますので後ほど語ってください。日本は、授業研究をやっていない学校はない。何のためにやっているのか?考えていきたいです。
草薙先生:世界では、やはり、放っておくと、先生間や子供の競争になりがちで、ベストスクールを目指すことになる。こうした学び合いは、どのようなことだと思われますか?
的場先生:韓国でも授業改善点に注目している。アメリカでも評価される。いわゆる俎板の鯉にされている。日本でも授業案を書くと研究主任から直される。しかし、授業研究をすると楽しいと言っている先生には、何が起きているのか。楽しいとは「平和」につながっていくのではないか。子どもが楽しいときは、平和のことを考える時間になっており、どうなると楽しいになるのか。もう少し、地に足の着いた授業研究ができないだろうか。
草薙先生:授業研究はいろんな側面がありますが、的場先生にとって一番大切にしていることは何ですか?
的場先生:メチャブリですね(笑い)私は研究者です。研究者が授業実践にどうかかわるかと共通する問題です。研究者は授業記録の解釈に壁を作って示します。果たして、日本の授業研究はそうなんだろうか?佐藤学先生の「教授学が優位なのはおかしい」との批判から急激に変化した。お互いの学びの意味を考えている。私の悩みは、研究者としての立場と授業を一緒に考える伴走者として立場があります。自分の考え方がひっくり返り、新しい考えが生まれる。
草薙先生:授業研究の中で、子どもの様子を語る先生を増やしていきたい。インドネシアでは、職員室では世間話をよくするが、子どもの話を始めると競争意識が働いてしまいます。ここえ超えていうことが難しいです。
的場先生:対談は、どこまでも続きますね。ここで休憩をはさみます。その間、対談を聴いて感じたこと、グループで質問を考えてください。
アラニ先生:今の日本は、先生方のエネルギーが足りないと感じます。学校を訪問すると、「短時間で振り返る方法はありませんか?」と訊かれる。難しいことですが、どうですか
的場先生:難しいことでもないです。たとえば、校長が授業ビデオを撮り、授業後に職員室で再生します。すると、自由に話が始まる学校があります。わざわざ集まってはじめなくても実現しています。子どもたちが、自分たちで授業を撮って子どもたちが授業研究を始める。これは感心しました。「忙しい時に研究ができるかよ。」との声はありますね。
草薙先生:ワークバランスで早く帰るからできないとの声がありますが、学び合う会に参加する意味は個人の学びたい思いとネットワークの力だと思います。いろんな困難がありますが、的場先生がネットワークの重要性を話されましたように、インドネシアでは、LSを中心となり推進される先生がみえ、さらに研究者がオンラインで助言するというシステムがあります。

休 憩

第2部 フロアーからの質問とモハメッド・アラニ先生よりのコメント

□ グループからの質問
・私の学校では、授業を見合う週間があります。授業を見に行っていいですかと尋ねると、おびえられます。いわずに行くと固まります。どうしたらいいでしょうか。
・モチベーションが大切との考えに同感です。みんなが横並び主義で、先生たちがなかなか挑戦しません。
・世界のLSを見せていただき、日本のLSは理論にもとづかないと言われました。世界は理論的です。それにもかかわらず、なぜ、広がったのか?やはり、型なのか?日本のようなLSに挑戦している国はありますか?
・インドネシアは女性の先生が多いと感じたが実情は?
・ドイツの留学生と話し、その前向きさに感心しました。やはり、日本も昼から子どもを返した方がいいのでしょうか。質問です。どうしても、授業は教師が指導する場という意識はぬぐえない。本来、子どもが主導という授業に変わる日はいつなのか。
・授業研究をする時間がない。やれない。やりたくない。そういう状況で、こんなアイデアはどうでしょうか。1年に一回でいいので、みんなのアイデアをねって楽しくできる授業研究をする。
・愛知文教大学の学生の姿を見て、どうしてこう育つのか?

□ アラニ先生からのコメント
 たくさんの質問をしていただき、ありがとうございました。
〇授業研究には、もっと教師に責任を渡していく必要があります。モチベーションだけでは、教師の専門性を高度化できません。教材研究だけではなく、カリキュラム開発など教師アイデンティテーをもつことが、教師を主体的にすることができます。
〇文化かイデオロギーかです。世界的に話題になっていますが、子どもを早く返すか、教師が早く帰るか。こうして、子どもたちは空いた時間で自発的な力をつけるかもしれません。
〇我々には三つの言葉が必要です。現場の言葉(実践の言語)、行政との対話、研究者の言語、テクニカル、プラクティカル、これからどうするか、という三つの言葉が必要です。
〇海外は、抽象からはじまります。日本は、具体からはじまります。日本は、具体的な実践から考えています。出発点が違います。経験から学ぶか、振り返りの場をとおして学ぶか。やはり、振り返りから学ぶものです。我々は鏡を持っています。さまざまな文化・国・システム・制度があります。他者の鏡をとおして、自分を見て問題を明確にしていく。これからは、それが目的になります。現場と研究者のアプローチが大切です。現場を尊重しなければいけません。

□ 愛知文教大学 富田健弘学長あいさつ
□ 閉会の言葉

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、授業研究が授業者の評価にならず、参加者全員の学びの場になるためにはどうしたらいいのか、考えさせられました。
普段の授業研究でも、どうしても教師の動きや発問などに意識が向いてしまうが、子供の何気ない言葉やつぶやきなどを拾うことによってそこから学ぶ事が大切だと改めて感じました。大変勉強になりました。ありがとうございました。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、Lesson Study の意義です。
的場先生が日本の教育方法の分野で取り組んでこられた歴史を知ることを通して、私自身も、なぜこの分野に心を惹かれるのかを考える2時間でした。「後輩に授業研究の何を伝えたいのか?」と問われたとき、授業を通して子どもを知ることや仲間(教師)とつながることの大切さを、改めてかみしめました。すでに現役を退きましたが、様々な機会を通して、後輩たちに授業研究の意義を伝え続けたいと思いました。
草薙先生のインドネシアにおける協同的な学びの再文脈化は、何度聞いても考えさせられます。再文脈化は、日本の中でも起こっていますし、学校ごとでも起こりえる現象です。型ではなく、本質を受け継ぐことの重みを再認識しました。
アラニ先生は、いつも授業の中で、「教師に責任を持たせる」ことを強調されます。自分の意志で教育の一端を請け負っていくことの責任の重さは、裏を返せば「学ぶことを楽しむ」ことの原点でもあります。また、「他者の鏡で自らを見る」「他国のLSを見ることで、日本を見る」という言葉は、研究者としての大切なレンズを教えていただいたような気がしました。こういったお話を、研究者だけでなく、現場の教師や学生を交えて共有できることに本セミナーの価値を感じます。企画していただいた皆様、本当にありがとうございました。

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8月19日(土)13:30より第3回継続講座2を実施しました

 8月19日(土) 13:30〜15:30に、第3回継続講座2を愛知文教大学201教室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所永井勝彦先生をお招きし、「オリジナル鳥獣戯画に挑戦・絵具遊びから造形活動」をテーマに行いました。

 セミナーには、本学学生が4名参加し和気藹々とした雰囲気で実施できました。
第1部 教材開発の経緯について
〇鳥獣戯画とは、いかに不思議な絵巻物であるか
〇小学校6年生では、国語で「鳥獣戯画を読む」を学び、図工につなげることが多い
〇小学生が水墨画の技法の難しさを克服し、オマージュ作品に挑戦するために
  ― 休 憩 ―
第2部 実践応用編
〇絵巻物の背景にモダンアートの技法を用い、新しい表現に出会う
〇絵具の扱い方と色彩の基礎知識について
〇裏彩色の面白さを体験する

第1部 
〇 鳥獣戯画の何が不思議なのか?
 1.何のために描かれたの?
 2.いつ描かれたの?
 3.誰が描いたの?
 4.登場する動物はどうやって選ばれたの?
 5.色がついていないのは、どうして?
〇 水墨表現の何が難しいのか?
 描画の基本 
 調 墨     墨の濃さを調節する(3段階程度)
 線 描     による転写に挑戦
 にじみぼかし  などの表現による背景の描画に挑戦
 道具の工夫   道具は筆だけじゃない?・・・・
〇 それでは、鳥獣戯画のオマージュに挑戦しよう
北斎の弟子たちは北斎漫画を使い模写をして描画を学んでいた。本講座においても、小学生が水墨画に抱く難しさを克服するために、転写を活用して戯画に挑戦する。
講座参加者は、思い思いの場面を選択し、転写による描画をはじめました。鳥獣戯画のオリジナル作品の線描表現の伸びやかさや、軽やかさ、思わない表現の工夫に出会っていきます。参加者からは「おもしろい」の声があがりました。

― 休 憩 ―

第2部(モダンテクニック・色の基礎知識と裏彩色)
〇技法のおもしろさから独自の背景表現に挑戦
 転写による鳥獣戯画の学びとは違い、筆による表現以外に、道具や濃淡などに歓声が揺さぶられる表現の工夫を体験することで自身の身体が解放されてくる。参加者は遊んでいる子どものような表情になります。小学生の子どもたちも、どこに面白さを感じるのか。どこで躓くのか?が体験できました。
〇小学生に絵具の使い方をどう指導するか。
 パレットの使い方、色水との出会い方、混色の楽しさ、子どもたちが表現活動に夢中になる導入はどうしたらいいのか?一つの方法を紹介。
〇裏彩色の魅力
 伊藤若冲・棟方志功は彩色を紙や絹本の裏から施していた。墨の線描が生かされ、表彩色に色の重なりが生まれるなど、古くから裏彩色は魅力的な技法として使用されてきた。
 鳥獣戯画オマージュに使用することで、表現の広がりが生まれる。そうした技法の紹介。

 2時間という短い時間の講座でしたが、参加者の作品には、それぞれ伸びやかな表現への挑戦があり、創造性が生まれていました。こうしなければという常識を疑い遊ぶように表現することができたと感じます。最後に、参加者が自分の作品について語り、お互いに評価する時間が持てました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、自ら墨画体験をすることで、その技法を学ばせる子どもの立場と取り組みの意識、指導者側の教材研究の視点などを学び得ることができた。ことです。
「オマージュ」が基本になっていた今日の講座だったので、墨画技法の拙さをカバーしてくれる安心感と完成させたい作画への自由な想像力が大きくなっていった時間になりました。企画と準備へのご苦労と永井先生のご指導に感謝します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、子供が用いる想像力や好奇心を授業に取り入れ、鳥獣戯画以外の作品を利用していく作画活動は難しすぎず、小学生等の教育にも適しているのかと感じた。歴史的な教材に対してもこうした簡略化された活動が、今後様々な教材を使用していくための私たちのための教材になったと感じました。
学びというものは座学がほとんどで、実践というのは5教科以外の実技教科にあたる教育であると考える。その中で、今回図工の授業としても利用できる鳥獣戯画を実際に描いて、体験型で学ぶことができた。大人のわたしたちでも楽しんで実行でき、自身の造像力を身につける時間にできたと感じる。

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第7回 10月セミナーのご案内

2023年10月28日(土) 13:30〜15:3030
会 場  愛知文教大学 201教室  
テーマ 夏目漱石(坊っちゃん)―明治の教育雑誌から読む〈学校〉―
講 師 愛知文教大学 准教授 佐藤 良太先生 
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定10月予定GOOGLE フォームより

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第6回 9月セミナーのご案内

2023年9月9日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 「道徳授業における子どもの学びを捉える」
講 師 愛知東邦大学 助教 丹下 悠史 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定9月予定GOOGLEフォームより

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8月継続講座2 8月5日の中止・変更のお知らせ

 8月5日(土)に予定をしておりました8月継続講座2 オリジナル鳥獣戯画に挑戦 を都合により中止とさせていただきます。参加申し込みをいただいた方には大変お迷惑をおかけします。
 予定しておりました内容は、8月19日(土)に実施をさせていただきます。
実施会場も404教室から1階食堂に変更します。
突然の変更について、お詫び申し上げお知らせいたします。
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7月8日(土)13:30より第4回セミナーを実施しました。

 7月8日(土) 13:30〜15:30に、愛知文教大学201教室・305教室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー神戸和敏先生をお招きし、「学び合う学び:学習指導要領:GIGAスクール構想」をテーマに行いました。

 セミナーには、15名の申し込みをいただき、以下の内容で進行しました。
第1部 理論編
〇参加者からの質問を聴く
〇ICT活用について残念な学校について、グループで聴き合い、意見交流
〇学習指導要領・学び合う学びに、GIGAスクール構想はどう活用され、必要か?
についてグループで共有、意見交流
  ― 休 憩 ―
第2部 実践演習
〇正六角形と正方形(数学)➡ 一人で解く
〇日本のご当地キャラを当てはめる(社会)➡ ペアによる活動、全員の情報共有
 〇朝食は、ご飯派、パン派?(家庭) 理由も含めて記入 ➡ みんなで書き込む

第1部 201教室
□ 神戸先生からの自己紹介
□ 参加者からの質問を訊く
〇授業において一人一台端末を協働的な学びの深まりのためにどのように活用するか、さらなる方策や考え方を教えてください。
〇生成AIのガイドラインがだされましたが、新しい技術が出て、学校現場で何を学ばせていけばいいのか。
〇情報の取捨選択をどのように学ばせていけばいいのか。情報の信頼性は。
□ 堀田達也先生の“「残念な学校、先生」が広げるICT活用格差の行方。教育・校務のDXは意思決定を行うトップ次第”の中では、次の指摘が示されている。
ものすごくICT活用が進んでいる学校 1割
かなりいいところまで来ている学校   4割
残念な学校              5割

■上記の指摘について、グループで聴き合う(5分)その後、全体で意見交流
〇子どもも教師もPC画面を見つめていることにより、教師が子どもを見ることができていない。ICTを活用する授業そのものを見直していかないといけない。
〇授業でICTをどう活用しようと考える時点で、子どもの学びは受動的になる。との指摘に納得し、新しい授業スタイルの中でどう活用するのかが難しい。
〇残念な学校が5割とは、授業の中で子どもが活用する方法を誰も教えられない。活用が子どものレベルにあっていない。地域によっては、ネット環境の未整備からおきる残念。

□ 学習指導要領の確認
生きる力のその先へ  
子どもたち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を
GIGAスクール構想の実現に向けた一人一台端末整備基本モデル例1〜3
令和の日本型学校教育 個別最適な学び 協働的な学び 探究的な学び
学び合う学び  学びの成立要件 教師の役割
モニタリング・スキャフォールディング

■ 学習指導要領・学び合う学びに、GIGAスクール構想はどう活用される、必要か?
についてグループで共有(5分)

□ 超スマート社会  第4次産業革命
□ 第4期教育振興基本計画(令和5年〜9年) 教育デジタルトランスフォーメーション
□ 子どもの特性を重視した学びの「時間」と「空間」の多様化
□ 教育データ利活用の目指す姿 子ども主体の利活用としてとらえているか?
□ 学習eポータル・MEXCBT 子どもが、自分の学習履歴をみるシステムになるか?
□ 教育DXのイメージ3段階 第1電子化 ➡ 第2最適化 ➡ 第3新たな価値
□ SAMRモデル  代替 増強(1対多の一斉授業) ➡ 変容 再定義(協働的・創造的な授業へ)
□ 教師と生徒のやり取りする場面でICT機器を使用している学校の割合 実態は?
□ 生徒同士のやり取りする場面でICT機器を使用している学校の割合 実態は?
□ 関西大学 高槻ミューズキャンパスの授業風景

― 休 憩 ―

第2部(PC実習体験) 305教室
□ 正六角形と正方形(数学の問題)を一人一人のPCで解いていく
ここでは、生徒の苦しみをじっくり味わってください。
子どもたちは、一人一台のタブレットを使い、できない生徒がどんな気持ちになっているのか。教師としかつながっていない子どもたちはどうすればいいのか。
□ ご当地キャラ(社会)日本地図にキャラクターを当てはめる。ペアで活動する
教室が対話であふれはじめ、協働がうまれてきた。
他のペアの情報は自由にみられる。やってみて、安心感があった。課題としてのキャラクターに名前がついていないので、見つける活動が探究的になっていた。
□ 朝食は、ご飯派、パン派?(家庭)理由も含めて記入
入力している様子が、すべて見えている。全員の入力を見ながら自分が書き進める。
先ほどとは、雰囲気が違います。自分が記入しながら、他者の記述を読んでいる。
これは、自分の活動をしながら他者をモニタリングすることができる。
今回の使用ソフトはドキュメントであり、いつでも、他者をモニタリングできる。
教師は、どういう意図で、学びを作るのか?子ども同士が共有できることが重要であり、こうした考えから、コーディネートする必要がある。
教師とつながる ➡ ペアがつながる ➡ みんながつながる という段階の体験から、誰とつながるか?何を共有するか?共有=モニタリング・スキャフォールディング ➡ 学びにつながる

□ 冒頭の質問に対して、授業の中で生徒の思考過程図を示しながら解説がありました。
〇一人一台端末を協働的な学びの深まりのためにどのように活用するか➡結果の共有ではなく思考過程の共有に活用したい。
〇生成AIなど新しい技術が出て、学校現場で何を学ばせていけばいいのか。➡AIに問いかける能力は非常に難しい。問いかける能力を鍛えたい。
〇情報の取捨選択をどのように学ばせていけばいいのか。情報の信頼性は。➡教師が情報を与えるのではなく、子どもたちが情報を取りに行くことが大切である。
 
□ 教師は、いままでICT機器を使った授業の経験が少ない。だから、授業活用のイメージが持てない。そこで、教師間で日常の校務活動にICTを使い、メリット・ディメリットを見極め、授業に活かしていけるといい。職員会議や学年・教科部会などでぜひ活用してほしい。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、1人1台の端末で何につながっているか?です。子ども同士がつながるICTになるのは、結構大変なハードルがあることがわかりました。後半の実習では、教師とのつながり、ペアのつながり、子ども同士のつながりが、実際の授業ではどういうイメージなのかが、よくわかりました。
まだまだICTが、よそいきでしかない現実を思い知らされました。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、ICTをただ使うのではなく、生徒同士が協働して課題解決するために活用するのが大切だということです。ICTがない場合は、近くの仲間数人としか話し合えませんが、ICTの活用によって、共有された全員の考えをもとにして話し合えるようになることが分かりました。普段ICTを使っていても、生徒のための使い方ができているのか疑問でした。今日のセミナーで、やはり生徒のための使い方にはなっていなかったことが分かりました。そして、どのような使い方が良いのか、そのヒントをいただくことができました。今日の学びをもとに、授業づくりを見直していきたいです。ありがとうございました。

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6月10日(土)13:30より第3回セミナーを実施しました。

 6月10日(土)13:30〜15:30に、第3回セミナーを愛知文教大学201教室において実施しました。
講師には、東海学園大学 講師 埜嵜 志保先生、実践発表者に刈谷市立朝日中学校 伊倉 剛先生をお招きし、「問題解決学習の実践から考える主体的な学び」をテーマに行いました。

 セミナーには、北海道からの参加者も含め26名の申し込みをいただき、以下の内容で進行しました。
第1部
〇実践の概要の説明:伊倉先生
〇本時の展開(分節)の説明:埜嵜先生
〇グループでの授業記録の読み合い、意見交流
  ― 休 憩 ―
第2部
〇全体での意見交流
〇単元づくりの想い、願い:伊倉先生
〇本実践から考える主体的な学び:埜嵜先生

第1部
□ 本日のスケジュール:埜嵜先生
□ 本実践の概要の説明(15時間完了):伊倉先生
 授業テーマ:日本の農業は「強い農業」になり得るのか。を設定した背景が語られました。テーマは、第6時までの追求で共有された問題であり、この問題の解決を目指して、第7・8時に取材を行った。本時(11/15時)の授業記録は、取材を通して考えたことをもとに作成した「追究まとめ」を読み合った後の、話し合いの授業です。
総発言数:103(教師:43[ほぼ指名]、生徒:60)
□ 本時の展開(分節)の説明:埜嵜先生
 本時までの流れの確認、共有されたテーマ:日本の農業は「強い農業」になり得るのか。をもとに取材し、生徒一人ひとりがノートにまとめた「追究まとめ」をお互いに読み合い、それをもとに子どもたちが話し合う内容になっている。
話し合いで進んでいく授業の構造を全体的にとらえるために、活動や内容のまとまりで区切ったものを「分節」と呼んでいます。

分節  発言番号   分節の概要
1.  1C〜22T  新規就農者の獲得
2.  23〜30T   耕作放棄地の活用の難しさ
3.  31〜40T   農業の進化
4.  41〜51   国による支援と就業のコスト
5.  56T〜80T  藤井さんの有機栽培
6.  81〜95   ICT活用と販売方法
7.  96T〜103C 多様な農家の共存

 授業記録を見てもらうと、子どもたち一人ひとりの発言が非常に長いことに驚かれると思います。今日は、分節4・5を中止として授業記録を読み合いましょう。

■ 授業記録の読み合いをして、授業記録で気になったことをグループで共有(25分)

― 休 憩 ―

第2部
■ 全体共有 各グループでどんなお話が出ましたか。〇参加者●伊倉先生△埜嵜先生
〇多面的な学びだった。発言の最後には、自分の考えが入っていておもしろい。72Tの発言で疑問に思ったことがありました。
●どう疑問に思ったのか聞かせてください
〇自分の授業の中で、おもしろい発言があると、反射的に訊いてしまうのですが、72Tでは、伊倉先生の意図が何だったのか訊いてみたかった。
●めちゃめちゃ気になることがあるんだけど
〇俊哉くんの好感度が高いです。71、63教材に入り込み、何とか伝えようとしている姿が尊いと感じました。具体物を見せながらの発言も素晴らしい。51の発言により授業の雰囲気が、大きく変わったのではないか、その時の子どもの表情やノンバーバルなことを知りたいと思いました。
〇子どもたちが自分ごとになっている。調べた知識を持って発表しているが、それでも足りないので友達の考えから学んでいる。91教師の焦点化。この生徒の姿は、1単元や1時間では培えない。どうしたらこんな生徒になるのかとても気になる。
〇自分ごとになっているとの発言に近いことを感じた。子どもたちの発言には、自分の発言を言っているだけでなく友達の発言につながっていてすごいなと思いました。
〇自分の分かったことを話したくなるのが自然だが、前の人の考えをつなぎながら発言している。63の発言の具体物を出すところでも、先生のファシリティートがあったと感じる。先生が子どもたちの考えをよく理解している。
●49の発言が長すぎると思っている。他の生徒は、長すぎて聴けない。他の生徒の発言も長いが私は聞けました。実は、前の時間に全員の「追求まとめ」を読んでいるので、一人ひとりがわきまえて発言できている。
〇こんな授業記録を拝見したのは初めてです。一冊の本のようです。子どもたちの発言は、言いたいことだけでなく、友達の考えをちゃんと聞いている。そこがすごいなと感じました。41、45、47の発言は何とか支援したいという立場での発言だった。49の発言は支援の方法になっている。これは、取材をしたからこそ、農家を何とかしたいという想いが生まれたことではないか。39の発言では、お金の話が出ているが、子どもたちにとって、お金は重要なファクターであり、その後の話し合いに影響している。55の需要と供給の発言があるが、この生徒はどこまで深く考えて発言しているのか、考えさせられた。
△伊倉先生、生徒の姿は端的にできるものではない。という点に関心があったが。
●みなさんの意見から、焦点化していければいい。
△63の彼だけが、具体物を持っていた。どういう意図があったのか。
〇訊きたいことがいっぱいあるが、お金のことがずうっと気になっていた。お金の話になって、子どもたちは変わってきた。先生の発言にも変化があった、ここが教師の出場なのではないか。51、55と63は同じところに取材に行っているが、発言が違うのが気になる。
●藤井さんの農家には、3人と一緒に行きました。54の発言で、このお金で農家がやっていける。と発言したが、教師としては、大丈夫かと感じ、立ち止まりの発問をした。
〇42Tの先生の発言は、あおっていると感じた。先生の願いというか当事者意識をもってほしいと感じ、その後子どもたちが取材に出かけ、願いまで述べている。49までそうした発言が続いている。
●たぶん、72も同じです。農家がやっていけるかどうか、どうして藤井さんが苦しんでいるのかを明らかにしていきたかったからです。
△ナスを持っていた俊哉さんの発言をだすのに、ここだなとタイミングを考えていたように思いました。ここで登場させた想いは?
●俊哉さんの発言が、この授業の中心になるだろうなと考えていた。この発言をみんなで考えることで、強い農業を深めていきたい。怜音さんの後にしようと決めていた。この3人には、農家に一緒に行っていたのでいいのかなと。
〇俊哉さんの示したナスは、机の上にあったのか、隠していたのですか。
●袋の中に持っていた。
〇ということは、ここぞという時に出そうとしたんですね。
●俊哉さんは、純粋な子です。
△私は、この授業を直接拝見したのですが、俊哉さんの印象は控えめだったんです。ナスを出すのも、ほかの子に促されながらが。授業記録に文字起こしをしてみて、発言がこんなに力強いことに驚きました。
〇なんかモヤモヤしているのでお聞きしますが、グループの中での発言を聴きとると発言内容に驚きます。ましてや、発言の少ない生徒が振り返り書いたことで、こんなことを考えていたんだと知ることがあります。今日の授業記録を読ませていただき、どうしたら、どの子どもも発言できるような教室に指導してみえるのか教えてほしい。
●<笑い>いや、褒めてもらいましたが、附属中学校ですから、生徒に助けられています。
確かに、テーマに向けて学びを楽しんでいるようですが、3年の最後だから頑張っている姿を見せたいと思ってくれたのではないか。
△伊倉先生は謙遜されているなと感じます。子どもたちが自分の考えを持つまで、待ちつづける。これを大切にされていると感じます。授業記録の冒頭のところでも、子どもから手が挙がるまで待って見える。「イメージが悪いから新3Kを若者に広めることが大事だ」との生徒の発言があるが、先生は「誰が広めるの」と、自分の考えを持たせるために、問いを出されます。私はそう理解しています。

□ 本実践から考える主体的な学び:埜嵜先生
(1)  教室談話の特徴
〇主要語の形成 談話の中で、子どもたちは言葉をつないでいるだけではなく、主要になる言葉(耕作放棄地など)をみつけ、共有している。
〇批判的な吟味 自分の言いたいことを言っているが、つなぎで聴いている。そのことで、この言葉は可能性が高そうだよねと吟味しながら聴いている。
〇語の継承 自分の意見に近い言葉は、自分も話はじめる。しかし、話が進むと場面をこえて継承されて、やがて消えていく。しかし、ぷつっと消えるわけではなく、自分の言っている意味がつながっていく。
(2)  生徒の願いの表出
〇71の発言では、有機栽培にこだわる藤井さんの想いに共感があり、藤井さんの声を教室で代弁している。さらに、藤井さんのような農家が認められる社会の実現の願いが生まれている。安全な野菜がもっと売れてほしいという、教室(疑似的な社会)への価値承認の要求と解釈できる
(3)  本実践から考える主体的な学び
〇問題解決を目指す話し合いを通して「みんなにも、わかってほしい」「自分が言わなければ、埋もれてします」主体としての自己の存在をかけた学びとしての談話空間になっていた。
・意志や願いをもつ主体
・他者とのかかわりの中で立ち現れる、関係概念としての主体

□ ふりかえり・単元づくりの想い、願い:伊倉先生
 授業記録をよむ学びの中で、今思うと嫌なところがたくさんある。そこで、この授業記録の中で、私の発言だけを取り出して、いったい自分は何をしたかったのかを調べてみた。それが、この論文です。そしたら、私のやっていることは、次の四つです。具体化させよう。確認する。つなげる。整理する。授業では、なんとかして切実な学び、リアルな学びをしたいと思い取り組んできました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、教室(=擬似的な社会)への価値の承認の要求・・・学びの場である教室の捉え方の拡張と転換であると感じました。
伊倉先生の、事前にある程度用意されていた調べたことの発表から、その場で考えたことの発言への転換。恐らく教師の立ち止まりに加えて板書の活用による追究への転換が、相変わらず見事です。それを分析する埜嵜先生の切り口の確かさと鋭さ。
それぞれが1つのセミナーを構成できる内容があり、内容過多かもしれません。それだけ内容豊富なセミナーになりました。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、生徒の活動を教師が遮らないことです。課題解決学習というと、教師のファシリテーション能力が重要だと思って臨んだ。大人の会議のファシリテーションは、実は持って行きたい方向があったりして、確かにそうではあるが、生徒の課題解決学習の場合、教師があまり仕切ってしまうと、生徒は次第に仕切られたり、誘導されたりすることを待つようになってしまう。自分で考え、発言しなければならない状況にさせるために、そうならないようにしたい。とは言っても、議論が停滞してしまったり、ずれていったりしたときに、適切に働きかけることが必要で、予想外の状況にもとっさに対応しなければならず、やはり教員にはかなりの力量が必要だと思った。

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的場正美先生 シニアフェロー就任記念 シンポジウム のご案内

2023年8月20日(日) 13:30〜15:30
会 場  ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 小会議室  
   〒450−0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4−38
テーマ 世界から見た日本の教育
司会・報告   学び合う学び研究所シニアフェロー  的場 正美先生
対 談 者    名古屋大学大学院   講 師    草薙佳奈子先生
コメンテーター 名古屋大学教授 Sarkar Arani Mohammad Reza 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定8月予定GOOGLE フォームより
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第2回 継続講座2を開催します。

2023年8月 5日(土) 13:30〜15:30
     8月19日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 404教室  
テーマ 8/ 5(土)オリジナル鳥獣戯画に挑戦
    8/19(土)絵具遊びから造形活動
講 師 学び合う学び研究所事務長 永井 勝彦 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定8月予定GOOGLEフォームよりお願いします。

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5月27日(土)13:30より第2回セミナーを実施しました。

 5月27日(土)13:30〜15:30に、第2回セミナーを愛知文教大学201教室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 倉知 雪春先生、実践発表者に、みよし市立三好丘中学校学 佐々 祐資先生をお招きし、「全員が主体的に学びに向かう学校づくり・授業づくり」をテーマに行いました。

 セミナーには、遠方からの参加者も含め29名の申し込みをいただき、以下の内容で進行しました。
1⃣ 研究実践についての提案
2⃣ 授業ビデオからの学び
  ― 休 憩 ―
3⃣ コミュニケーショントレーニング、環境整備から学ぶ
4⃣ 学校づくりの方略

1.研究実践についての提案 佐々先生より
□ 研究主題設定の理由
 成長や課題を自覚し、学びを探究する生徒の育成
□ めざす生徒像
 学びに向かうために自分や相手の状況を理解できる生徒
 分からないことを分かりたいことに変えて自分から授業に参加する生徒
 仲間とともに協働的に活動しながら探り、究めることができる生徒
□ 研究の内容
 研究仮説を「主体的・対話的な活動の中で、自覚と探究を繰り返しながら学ぶことで、生徒たちはともに学び合い、ともに学びを深めることができるだろう」として取り組み、「自覚」と「探究」のそれぞれについて授業づくりの手立てを以下の4点として実践した。
  自 覚             探 究
〇めざす姿を知る自覚      〇思いや考えを表現するための探究
〇自分の姿を知る自覚      〇味わうための探究
〇自分の考えを持つ自覚     〇解明するための探究
〇視点を持つ自覚        〇技能が向上するための探究
 更に、生徒の学びに向かう姿勢を支えるために「三好丘中スタンダード」を作成し、全校で実施してきた。
 授業における生徒の活動は、「話し合う」ではなく「聴き合う」を大切にしながら、探究するためのジャンプ課題を設定しグループで協同し学び合っている。
単元を通して、見通しを持ち学び続けるために「振り返り」を毎時間実施している。

 コミュニケーショントレーニング「Think&Talk」を生徒会や人権委員会の生徒が主導して、計画・実施・改善しており、日々の授業や振り返りに活かされている。
 学びを自覚や探究へつなげるために、掲示物や学びの足跡を環境整備として研究してきた。その実際の掲示物が紹介された。
□ 研究の成果
生徒の変化として
自覚と探究を繰り返すことで ➡ 自分たちの力で学びに向かうになった
学びの振り返りの充実    ➡ 学びを見通す生徒が増えた
人間関係や掲示物を整えた  ➡ 聴き合い支え合う関係が深まった
□ 今後の課題
単元や教科をこえた「考えたい」をどう支えるか
一緒に考えよう、協力して考えたいという学び合う姿を三好丘中の伝統にする。

2.授業ビデオから学ぶ
□ 3年生理科「力の合成、力の分解はどのように役立つのだろう」
二つの力の合力とロープウェイのひものたるみを結び付けて探究する姿

■ 研究実践の提案と授業ビデオの視聴をうけて、各グループで聴き合う(10分)

■ 全体共有
〇私自身も授業者として、同じ単元の見えない力について授業をしたことがあるが、具体物などで見える化しながら授業をすると、生徒の思考が深まった。この授業では、どんな学習課題で行ったのか。ロープウェイがどういう状況で使用されたのか。
●実は、授業者は本日参加していないが、理科部会ではロープウェイは難しいとの論議があったが、教科外の自分からすると、現実の現象を見せたことで生徒の考えたいという自覚が生まれやすいという議論を経て、授業者は挑戦した。私はロープウェイを考えることから、力の分力や合力の理解につながるのではないかと考えている。
〇授業記録の2枚目では、トークスキルが身についていることから、生まれた生徒の発言が見られた。「あっ、いいね」などの応答が生まれることも研究の成果ではないか。
〇「しばらく悩む姿」があったが、早くわかるよりも、こうした学びこそが大切である。授業者から、バケツによる足場架けがあり生徒は探究へと向かった。生徒の対話が、一問一答ではなく、「どうして」と問い直されている。これはなかなかできないことである。
〇私は、授業開きで生徒自身が学びのルールを作り出す時間を保障している。こうした、生徒の姿が大切にされている授業である。

― 休 憩 ―

3.コミュニケーショントレーニング「Think&Talk」のビデオ視聴
■ 何をどう見たかをグループで共有(5分)
■ 全体共有 
〇春日井市では、ソーシャルトレーニングを実施している。まず、型を身につけることに、賛否が分かれている。三好丘中の実施方法は自由度があり、生徒が進めている。こうしたトレーニングによる効果を、今では私自身も感じている。
〇思春期の生徒にとって、普段の会話では見られない内容「うれしかったこと」について楽しそうに話している。普段遣いの言葉であり、週一回の実施は効果を出している。
〇高校の教師ですが、外国籍の生徒や発達障害の生徒に対して、取り出しを行ってきたが、このビデオのように対面によるトレーニングはいいと感じている。

□環境整備から学ぶ 全体での意見交流
〇環境整備は大切なことで、こうした掲示物が見られることは大変にいい。しかし、自分たちの教室でしか見られない。これを、ICTの活用により、ほかの教室でも見られる。先輩の教室の掲示もみられる。さらに、家に帰ってからもみられることで、より学びが広がる。

4.三好丘中における学校づくりの方略 倉知先生より講演
□何が問題か ➡ 三好丘中では、以下の問題に対して研究してきた
自分が受けてきた授業スタイルから抜け出せない
形式的な研究になっている
子どもたちが何を学んだかを見ていない
□学校づくりの7つの方略
(1) 学校づくりは3本柱で取り組む
 ケアリング  学校づくり  校内研修
(2) 専門家として育ち合う同僚性を築く
 教師が相互に学び合う関係を築く  授業研究を通して同僚性を築く
(3) 担当者任せにしないで全員で取り組む
校長がビジョンを語り、率先した振る舞いが大切。 できるものがやるのではなく全員で取り組む
(4) 最初の研究授業は早い時期に行う
 4月に最初の授業研究をする 分かりやすい教科の授業からはじめる
(5) 夏休みの研修で再確認をする
 4月の取り組みの疑問や課題を整理して夏休みに共有する ビデオ研修を計画する
(6) 他校(先進校)の研修へ参加する
 めざす授業のイメージをつくるために実際を見る いろいろな研究会へ参加 
(7) 保護者や教育委員会と連携する
 集会や朝会で話しをする 保護者にも伝える アンケートの活用 教育委員会の支援を得る

□ 都築校長先生からの挨拶
倉知先生、水野先生にはお世話になりました。コロナ下で研究を受けての取り組みであったが、まずは、普段の授業を大切にしようとはじめ、試行錯誤で作り上げてきた研究であり、昨年度発表ができた。これからも教育実践の日常化が大切であり、続けていこうと考えている。本日はありがとうございました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学校づくりの7つの方略です。
授業実践に関しては、いろいろな取り組みがされており参考になる部分があった。工夫して学校を変革しようとしているところは、子どもたちの表情も良い。
学校づくりの7つの方略に関しては、毎年確認すべき内容がわかりやすくまとめられていると感じた。年月が経つと忘れがちな内容だけに、とても貴重な話を聞くことができた。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、研究は全員でやる!です。
三好ヶ丘中学校の研究を見て、その後の倉知先生のお話から、少しずつ研究についてみえてきたように思います。全員で同じ方向を向いて、納得してやっていけるようにしていきたいです。つい、焦ってしまい、早くテーマをと考えてしまうのですが、まずは生徒の、そして教師の困り感によりそいながら、今本校に必要なことを、ずっとやっていけることをやっていきたいです。ありがとうございました。

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5月20日(土)13:30より第2回 継続講座1−2を実施しました。

5月20日(土)13:30〜15:30に、を愛知文教大学 共同研究室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 木村 芳博先生をお招きし、<授業づくりの“道標”とは?>をテーマに行いました。

 セミナーは以下の流れで進みました。
1⃣ プロローグ
2⃣ 授業づくりでのその意味と視点 〜場面とねらい
  ― 休 憩 ―
3⃣ 授業ビデオから学ぶ 〜教師が描いているのは
4⃣ エピローグ

1.はじめに
参加者の自己紹介
プロローグ 〜あれこれ
前時の振り返り 授業づくりの土台とは
前回の参加者からのリフレクションの紹介・道標と道導(みちしるべ)について
道標(あれこれ)を映像から確認し、以下の三点に整理されました。
・方向や距離などを指し示す標識、看板、道案内
・いくつかの行程から、選定するための表示
・遭難させないため、進むべき道を教え示す

2.授業づくりでのその意味と視点 〜場面とねらい
□子どもの学びを中心に据えての 教師の視点で
下記の三視点の( )に当てはまる言葉を、参加者全員が考え交流しました。
・学びの道に(全員向かわせる)ための案内
・学びを深める道を(選定させる)ための標識
・学びの道から(遭難させない)ための看板
□学び合う学びの授業づくりのためにどんな“道標”を立てますか。
参加者全員が自分の考えを持ち、交流しました。

― 休 憩 ―

3.ビデオを見て、どんなことを感じたのか、近くの方と交流
 〇小5年算数/速さ「時間を求める公式をいかして考えよう」
 授業を見る視点 ➡ 授業者の描いている“道標”は?
 ビデオ視聴

□ペアや近くの方との意見交換、全体での共有
・遭難させないための看板との視点が、自分にはよくわからなかったが、ビデオを見せてもらい、なんとなくそういうことだと思い返しています。
・速さの公式が、実際にどうなるかやってみよう。
・共有の課題ができていない子どものために、子どもの思考を見ながら留まり、確認することができていた。道標としては、わからなさ、困っていることを子どもの力で解決させているということだった。
・子どもの考え分かり方が様々であるが、教師はけっして急がないでゆっくりと、子どもの言葉をつなぎながら授業が進んでいく。子どもたちの脳みそをつなげる道標が立っていた。
・子どもの学び方が実にスローであり、自然な学びができている。
□学び合う学びの理念に基づいて、木村先生の考え方
・子ども全員が参加する学び を保障する ➡ 課題提示
・対話でつながり合う学び において協同する ➡ グループで
・課題の質を高めて聴き合う深い学び を探究する ➡ 全体共有で

4.エピローグ
□学び合う学びの授業づくりの良さは?
保障 協同 探究 の道標を立てるとどうなるのか
 ・(学習態度)が改善する!
・(学習内容)がよく記憶に残る!
 ・(思考能力)能力が伸びる!
 以上、本日の学びを締めくくっていただきました。

 
参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学び合う学びを中心据えた教師の視点での道標です。
学び合う学びの授業実践をすると、学習態度が改善し学習内容が長く記憶に残り、問題解決能力が伸びることがよく分かりました。日々、授業を頑張りたいと思います。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学び合う学びを中心据えた教師の視点での道標です。「目的と手段(方法)と目標を考えた上で授業をすることが大切だ」と初任者研修の時に教わったことを思い出しました。今日のセミナーで、「どんな場面で何をねらうか(できるようになるのか)」がまさしく、初任者研修の時の内容だったのかと結びつきました。
英語教員として、道標のことについて当てはめるのであれば、目標を示すという側面において、can-doリストの作成及び提示や必要に応じて振り返りをすることなどが挙げられると感じます。

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第4回 7月セミナーのご案内

2023年7月8日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室・305教室  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 学び合う学び:学習指導要領:GIGAスクール構想
講 師 学び合う学び研究所フェロー 神戸 和敏 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定
    7月予定GOOGLE フォームより

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第3回 6月セミナーのご案内

2023年6月10日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 ABUラウンジ  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 「問題解決学習の実践から考える主体的な学び」
講 師 東海学園大学 講師 埜嵜 志保 先生
    刈谷市立朝日中学校 伊倉  剛 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定
6月予定GOOGLE フォームより

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4月22日(土)13:30より第1回 セミナーを実施しました。

 4月22日(土)13:30〜15:30に、第1回のセミナーを愛知文教大学 201教室において実施しました。講師には、名古屋大学大学院 教授 柴田 好章先生をお招きし、<子どもの学びをどうとらえるか?〜授業記録による授業分析の方法〜>をテーマに行いました。
 今回は、29名の申し込みをいただき、参加いただきありがとうございました。

1.授業研究の目的と今日的課題
〇時代をこえた授業研究の目的として3点を、さらに
〇特に、今日的な状況において大切にしたいこととして、3点を示されました。
・研究授業は、観察 ➡ 討論 ➡ 成果 ➡ 計画 のサイクルを回すこと
・授業とは教材を介した、子ども同士の学び合いだとすると、授業研究とは、子どもの姿を介した、教師同士の学び合いである。
・ここ30年間の世界における教師教育の課題、教師の発達の二つのキーワードは、
Reflection=子供の姿に照らして、教師の行為を振り返る・価値づける
Collaboration=実現したい価値(ビジョン)の共有・追及 ← 対話を通して
 学校における授業研究の大切さは、子どもの名前がわかり、同じものを見て語り合えること。
 学校の授業研究で使われる言葉が重要で、その言葉を共有することが大切である。

2.授業研究の改善
〇分離型モデル ➡ 参加型モデル
・「授業者へ質問をしない」➡「発言者が、私はこう思うと発言してから、授業者へ訊ねる」へ変えていくことで、対等・平等な学びの実現をしていくのではないか。
〇授業研究では、How?を明らかにするために、まずWhat?やWhy?を問い合うことから始める。
〇名古屋大学における授業分析の歴史の紹介、授業の逐語記録
・研究はわからないから始める。授業を観察し、その後の授業研究は、同じツールを使い、子どもの姿を語り合うことを大切にしていき合い
〇授業研究では、事実と解釈を往復させることが大切
〇成果の累積、手法の発展、理論の構成、現場への貢献
〇授業記録を読む3段階 知る・捉える・捉えなおす(自分の授業像を豊かにする)
〇授業分析には、固有の役割がある
・授業における子供の可能性を明らかにする
・子どもはどう学んでいるのか
・生きている子どもをどうとらえるか
 教師は、子どもをよく見ているが、研究では、子どもの見方を変える必要がある。授業中いつも意思決定を迫られている主体者としての教師は、子どもの内側に入ってみることが重要である。そのために、子どもの捉え方を、(ありのままの姿―なりつつある姿―ありたい姿)という幅でとらえる見方が生まれる。

ここまでの講義に対して、それぞれの立場からグループで共有してください。10分
グループで学び合う

全体共有

授業研究を推進する立場からの学び
・<小学校担当>校内の授業研究の推進するために、共通のツールとして逐語記録を作成してくださいということが負担だろうし、自分の学校では付箋による授業記録を実施したこともある。付箋に記入されるポイントにもバラつきがみられる。同じ授業を見て、共通なものを見ていないという難しさを感じる。
・<小学校担当>研究指定を受けており、授業研究をどうやっていこうかと考えている。授業分析を作っていくこと自体が楽しいことだと思えたので、これから頑張っていきたい。
・<高等学校担当>学校では、教科の中で授業研究を進めているが、教科をこえると言葉が通じない。授業を語る共通の言葉がないというのが現状である。
・<中学校担当>今年になり校長から言われたことは、持続可能な教員になるために、外部に頼りすぎず、自分たちで学べるような教師集団にしていくことを考えてみようでした。4月に提案される学校が育てたい生徒像にたいして、教員一人一人にイメージができていない。今日の話をお聞きして、学校でどう伝えようか考えている。

― 休 憩 ― 歓談

授業者の立場から:
・<少学校6年担任>本校でも学び合いを行っているが、個々の教師のビジョンはばらばらであり、授業研究がつながっていかない。授業検討会では、子どもの名前が出てくるが、「この子だからしょうがないね」で終わってしまう。授業に消極的な子どもたちに、私たち教師がどうして行ったらいいのかの議論までに至っていない。子どもたちは教師の指示をよく聞き、きちっとしている。一方で、自分たちで考えたことを言葉にすることが苦手な子どもたちであり、どう接していったらいいのかが課題です。

学校アドバイザーの立場から:
・自分が研究者になろうと思ったのは、実践をしてきたことの背景にある理論を知りたいと思いこの道を選んだ。授業研究には、その拠り所がいるだろうと感じている。今まで参加者の言葉を聞いていて、現場で悩んでいる教師は独りで悩みをかかえているが、みんなの悩みになることが大事で、授業のことを語り合える文化をつくることを大切にしていきたい。

3.授業のデザインと評価の視点
〇子どもと教室(教室の中にいる子ども)
・教室に一人一人の居場所があるか・自分の思いを素直に表現できているか・失敗を恐れずに挑戦しようとしているか
・日比裕(1978)の発言にみる授業の5段階から、子どもの発言が深まっていく教室へ
・居場所づくりの難しさ
〇子どもと子ども(関係性)
・他者の思いを素直に受け止める
・意思表示しやすい気遣い・他者の言葉に耳を澄ませる
〇子どもと考え(思考)
・思考に論理的な深まりがみられるか
・よい発問は、子どもの中に問いが生まれる。主体的な思考には欠かせない。
・深い学びをもたらす学習形態 個 → グループ → 全体 → 個
<三つの授業事例>から
・子ども同士の違いを活かす(予選―決勝)トーナメント方式の授業に陥っていないか
〇リズム・間・雰囲気
・落ち着いた雰囲気・真剣さとユーモア・温かい雰囲気・リズムと間
・教師がモデル・二つの沈黙
〇集団的な思考
・多様な考えが表現されているか・考えが構造的に整理されているか・考えの多様性が学習の発展に寄与しているか。

4.授業分析演習「この幼虫は、ガかチョウか?」から考える
 授業の概要 少学校2年 生活科:生き物を持ち寄って、順番に発表し、質問し合う授業。
幼虫を持参した子どもYとクラスの子どもたちの、対話記録を読む。

Y49発言:ガでもチョウみたいに糸はついているけど
〇この発言を、特にけどをどうとらえるか? 省略されているものは何か?Yの気持ちは?
C52発言:もし、ガとチョウで、この幼虫が、ガだったらどうしますか?
Y53発言:ガでも、育てて大きくなったら、別にガでもチョウでもどっちでもいい。
〇Y53発言の意味を考えてみることは、いい研究になる。

働き方改革の提唱以来、授業記録を読むことは、部の悪い状況に置かれたが、授業記録を教材にして教師が学び合うことは、有効になると結ばれました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、学校における授業研究の「参加型モデル」の構築と授業分析のあり方です。
目指すべき授業研究の方向性を示していただけたような時間でした。この職員にしかできない学び、この子どもたちにしかできない学びを、追求していきたいと強く感じました。
こんなにも近くで、こんな素晴らしい講義を聴く事ができ、とても心強く感じました。次回は本校職員も連れて、参加したいと思います。ありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いします。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、教師自身の専門職としての自立です。
とかく授業者の力量向上のために授業研究が行わる傾向がある中、「授業研究は子ども理解である」というメッセージには、心を打たれました。また、名古屋大学における授業分析の歴史を改めて振り返った時、重松先生が言われた「教育における民主化の一つの鍵が、教師が行う研究活動であり、それは教師自身に専門職としての自立をもたらすことができる」という言葉の意味が、今の自分にすごく勇気を与えてくれるような気がしました。教師のプロフェッショナルとしての専門性は、教師同士の学び合い無くして高まりません。そのことを、現場の皆さんと共有していきたいと思いました。

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4月15日(土)13:30より第1回 継続講座1−1を実施しました。

 4月15日(土)13:30〜15:30に、第1回の継続講座1−1を愛知文教大学 共同研究室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 木村 芳博先生をお招きし、<授業づくりの“土台”とは?>をテーマに行いました。

 セミナーは以下の流れで進みました。
1⃣ 授業づくりの原点を探る
2⃣ 学びあう学びの授業の基本姿勢
3⃣ 授業づくりのキーワード
  ― 休 憩 ―
4⃣ 授業ビデオから学ぶ
5⃣ 授業づくりで心しておきたいこと

1.はじめに
参加者の自己紹介
ウォーミングアップ〜詩歌の待ち伏せ(北村 薫著より)3才と小学4年の子どもが書いた詩を読み味わいながら、柔らかな雰囲気づくりをしました。

2.授業づくりの原点・学び合う学びの基本姿勢から考える
□実践研究者、名人の言葉から
斎藤喜博、大村はま、有田和正の三名の実践研究者の言葉が紹介され、近くの方と聴き合いをしました。三者に共通する言葉として、“引き出す”というキーワードが浮かび上がってきました。
□「教師花伝書」佐藤 学著から、学び合う学びを考える
著書の中から、仲間と協同的に学び合う、子供を中心に据えるための記述を読みながら、“聴き取る”というキーワードが浮かび上がってきました。
更に、聴き方の三つの関係を認識することから、“つなげる”というキーワードが確認されました。
□授業づくりのキーワード
 子どもの発言・思考・呟きを“引き出す”“聴き取る”“つなげる”の大切さを確認しました。

― 休 憩 ―

□ビデオを見て、どんなことを感じたのか、近くの方と交流
 〇小2年道徳「うまれるということ」資料:ぞうさんの歌(まどみちお)、いのちのまつり(絵本)
 〇中2道徳「国境なき医師団・貫戸朋子」
□小2の授業についてペアで聴き合った後に、全員から1点ずつの考えを聴き合う。
・自分も、同じような授業をしたが、資料の絵本はすばらしい。
・黄色い服を着た子どもが気になり見ていたが、授業の後半で発言の機会があり、授業者には、この子への特別な思いがあったように感じられた。
・木村先生が、つなぐをキーワードに示された。授業記録からハルさんの発言から、授業者がつながるを取り上げている。ここが教師の出場になっていたなと感じた。
・つながるをキーワードにしているが、子どもたちが親子関係のつながりが持てていない子どもがいると、配慮が必要になる感じた。
・子どもの多様な発言があった。さらに、教師が子どもの発言を否定しない。コメントもしていないことで、子ども同士の考えがつながっていくことになると学ぶことができた。
□中2の授業についてペアで聴き合った後に、全員から1点ずつの考えを聴き合う。
・高校では道徳はやらないが、正解のない価値を考えていくことが面白い。
・サワさんの発言が、切りたいと思う。から、行動では切れない。に変容している。これは、授業者からの助からないとは決まっていないんだよとの、揺さぶり発問から生まれたことであり、生徒が価値に迫っていくための大切なポイントになっていた。
・授業者の発言に重みがある。授業者の「助からないとは決まっていないよ」という言葉が重いなと感じた。
・自分でも同じ教材で授業をしましたが、貫戸さんの置かれている場所や状況を掘り下げると、いっそう意見が出てくるのではないか。
・指一本で切るんだよという具体的な行動として考えさせる臨場感がすごいなと思った。生徒からは、どちらの判断をしたとしても震えますね。という発言が本音として出されている。
・板書が気にかかった。この授業者は、発言をつないだり指示をあたえたりするだけではなく、板書により問題の葛藤を構造化していることで、子どもたちを考えるように追い込んでいるように感じた。
〇木村先生からは、板書は学びの道標だとの指摘が出されました。教師が悩みながら、つなげながら、いろいろな場面で引き出す工夫をしていると感じていると語られました。

3.授業づくりの土台として教師の指導・対応
□学びを深めるために、以下のような指導・対応について確認されました。
子どもへの基礎指導   三つの視点  教師の基本対応
 表出行動       引き出す   把握分析
 傾聴姿勢       聴き取る   周辺視聴
 同異思考       つなげる   返戻発話

□授業づくりで“心しておきたいこと”
 “〜してもいいですか”“〜します”などの「公的話法」を基本としたい。

□次回は、5月20日に“授業づくりの道標とは?”の予告をされて終了しました。
 
参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、先生が生徒の間をつなぐことの大切さで、これは橋をつくることだと思いました。
小学校2年生の授業と中学生2年生の授業を通して生徒に指導するときに3つポイント「引き出す」「聴き取る」「つなげる」をよく理解して、今後もそれを授業実習の中に行きたいです。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、「引き出す」「聴きとる」「つなげる」です。
新年度の忙しい時期だからかもしれないが、初任者のみなさんが参加できなかったことが残念でならない(ただし、大学生が2名参加してくれたことは素晴らしいと思った)。それぐらい、年度初めに学びたい内容であったと思う。
講師の木村先生が、「引き出す」「聴きとる」「つなげる」の3点に絞って授業づくりの土台を語られたことは、大変分かりやすく納得のいくものだった。この視点で授業ビデオを見てみると、教師が子どもの言葉に基づき授業をデザインしている様子が見えてくる。今回見せていただいたビデオに登場した2名の先生方は、どちらも「聴きとる」力が素晴らしかった。たった1度きりの授業だからこそ、子どもの言葉を丁寧に聴きとることの難しさと面白さがあると思う。そこに気づかせていた木村先生に改めて感謝したいと思う。ありがとうございました。

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