最新更新日:2024/12/19 | |
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2024年度セミナー予定が決まりました。
2024年度学び合う学び研究所セミナーの予定が決まりました。
小・中・高・大学、学生と共に学びましょう。 ● 4月〜12月の毎月土曜日に月例セミナーを13:30〜15:30に実施します。 ● 6月は中部教育学会を開催します。午後はシンポジウムを開催します。 ● 9月は講師を招聘し、道徳の授業づくりについて学び合います。 ● 2024年度より、月例セミナーの午前中に論文講座を複数回行います。 2025年1月・2月には、少経験者の実践的な研究会を新設しました。 複数回継続して、じっくり学び合います。 会場:愛知文教大学の教室を使用します。 ◆詳しくは、配布文章をご覧ください。 <参加申し込み> 学び合う学び研究所ホームページ: 行事予定 Googleフォームから。 4月から、申し込みが可能になります。 ■ 後 援 ■ 愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・小牧市教育委員会・春日井市教育委員会・岩倉市教育委員会・犬山市教育委員会・豊明市教育委員会・北名古屋市教育委員会・ 豊山町教育委員会・清須市教育委員会・江南市教育委員会・みよし市教育委員会・瀬戸市教育委員会 3月16日(土)13:30より林 文通先生によるセミナーを実施しました。
3月16日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
講師に学び合う学び研究所フェロー林 文通先生をお招きし、「学びを楽しむ授業づくり・学校づくり2」をテーマに行いました。 今回16名の方の申し込みがありました。魅力的な実践と授業分析に対する学び合いが深まる会となり、本年度最後にふさわしいセミナーとなりました。スケジュールは以下の通りです。 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 自己紹介と協同の学びの協同とはなにか?を聴き合う 〇 中学校3年理科授業ビデオ(前半)の視聴と授業記録から学ぶ 視聴後に学びを共有する 〇 中学校3年理科授業ビデオ(後半)の視聴と授業記録から学ぶ 視聴後に学びを共有する − 休 憩 − 第2部 協同的な学びにおける「深い学び」の探究 最初に、林先生が訪問されているある学校の先生から「協同的な学びの“協同”とは何ですか」という純粋な問いが出されたとの出来事が紹介されました。参加者が各テーブルで自己紹介をし、同時にこの問いに対する各自の考えを聴き合いました。 第1部 授業ビデオから学ぶ 〇 中学校3年理科授業ビデオ(前半)の視聴と授業記録から学ぶ 単元:酸・アルカリとイオン 本時の課題:中和反応を正しく伝えるためには、どのように表したらよいか(モデル化) ある四人グループの対話的学びに注目したビデオを11分視聴 林先生からは視聴後の協議では感覚的な話ではなく、発言のどこから何を気づいたかを話し合ってほしいとの前置きがありました。 〇 視聴後にグループで学びを共有する(8分) 〇 林先生ファシリテートによる全体共有 ●林先生 □参加者 ●感想交流しましょう。どうですか。 □Aさんが学習内容に詳しそうで発言が多い、周りの生徒も関わり考えがつながっている。 ●四人とも学習内容が分かっているわけではないですよね。 □今、勤務校では「わからない」ことから授業をはじめようと研究していますが、Aさんの分からなさを聴いてBさんから「なるほどね」につながったことがすごいなと感じた。 □40番での反応、49番の発言では指差しがあった。93番では、モデルを書きはじめた。 ●僕は一か月間このビデオを見続けた結果様々なことが分かってきましたが、参加者のみなさんは一瞬の視聴にもかかわらず多くの気づきがあったことに驚いています。 □Aさんの「わからん」発言が素直でいいと思った。一番思ったのは、なんでいつまでも四人グループでやっているのか疑問だった。今、目指す授業とはどうあるべきか考えています。 ●授業者としてはどうですか。 □本当にギャグコントのように、会話がかみ合わず展開していた。ところが、ときどきパズルのピースがかみ合うように思考がハマっていく様子があったので感心している。授業をしている自分にはグループ内の会話が聴きとれていないので、こんな学びがあったと新鮮でした。 ●授業者として、どうしてこんな長時間(11分間)グループ活動をしたのか。 □途中、生徒に「もう少し時間が必要か」と尋ね、必要との反応があった。できるかぎり生徒に学びを委ねたかったのでこうしました。 ●この11分の間、グループの四人は教師から出された課題「モデル化をする」にたどりついていません。しかし、関係ないことを話し合っているわけではありません。今まで学んできた既習事項を学び直す大切な時間になっていたのです。この時間を通して子どもたちはやっとモデル化について考えるためのスタートラインに立つことができたのです。 〇 中学校3年理科授業ビデオ(後半)の視聴と授業記録から学ぶ 林先生からは、教室の子どもたちが考え出した2つの代表的なモデル図を示しながら、後半の映像が始まるまでの授業の様子が説明されました。グループ内に表出してきた四人の考え方の違い(ずれ)を確認したうえで、後半の学び映像を8分ほど視聴しました。 〇 視聴後にグループで学びを共有する(5分) 〇 林先生ファシリテートによる全体共有 ●林先生 □参加者 ●ご覧になった四人グループの様子から、みなさんは何を感じられましたか。 □深い学びを進めるためには、分かっている生徒に投げかけ発言させることで、分からない生徒に考えがつながってゆき、自分の知識を再構成していくことになるのではないかと感じました。 □Cさんが話し合いから離れていったように見えましたが、実は一人で考えたかったのではないかと見ました。 □授業者は、「イオンがくっついているか、いないか」について気づかせるために、別の実験動画をヒントとして見せたことに感動しました。私にはこの発想がなく、素晴らしいリデザインです。 □この四人グループの生徒が、よくこんなに言葉を重ね続けることができることに感心しました。会話が絡み合っていますね。 □Cさんの話がありましたが、この生徒だけだが、テキストに戻り根拠を探そうと考えていることが素晴らしい姿でした。他の生徒は、ただ話し合っているだけに見えますが、Cさんの存在は大きいですね。 ●107番で、電離について資料集から見つけてきます。Cさんは絶えず根拠を探しながら活動しています。 □Aさんがわからなさを出してくれるから、それを受けてCさんの探索がはじまるので貴重な関係性ですね。 ●改めて、授業者としてどうですか。 □Cさんの役割について、自分は全く見ていませんでした。この動画をみて初めて気づきました。普段は黙っている生徒とだとの認識でしたが、改めにて生徒を見ることの難しさを感じています。 林先生から、後半のビデオを観察していると、この四人のグループの考え方には、対話を通して変化が起きていると指摘されました。一人一人の考え方をまとめた表をみせながら、ここで起きている思考の流れを以下のように説明されました。 ・他者の考えに触れることで、自分の考えがクリアになる。 ➡ 他者の考えとの違いに気づく ➡ 自分の考えが再構築される ➡ 深い学びの扉をひらける 『子どもの教室の事実から学ぶ』(佐藤雅彰、斎藤英介著)を引用しながら、ペアやグループ学習は、個の学びを確立させるための重要な活動であることを確認されました。 − 休 憩 − 第2部 協同的な学びにおける「深い学び」の探究 林先生が2年間にわたる研究の内容をぎゅっとコンパクトにしてお話しいただきました。 まず、授業分析の視点と方法について確認し、分節分けと分節構造図が示されました。そのうえで、以下の3点について研究内容が説明されました。 1「深い学び」をどうやってとらえるか? 2「深い学び」を生み出す環境とは? 3「深い学び」で表出する量的変化はあるか? 林先生の学校現場における実践者、指導者としての視点に加え、科学的量的な分析研究の成果に触れることで、改めにて林先生の授業づくりへの真摯で崇高な姿勢に感動し、多くを学ぶことができました。ありがとうございました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、子どもたちの具体的な学びの姿や声に真摯に向き合うこと。改めてその大切さと面白さを学ぶことができました。学び直しです。 子どもたちの声をひろうのは本当に難しいですね。教科内容がよく理解できていないこともありますが。発言の記録を見せていただいたことや感想交流、林先生のお話が聞けてとても楽しい時間になりました。学びをあきらめない子どもたちを育ててみえる授業者の先生が素敵です。ありがとうございました。 3月9日(土)13:30より中川行弘先生による継続講座2回目を実施しました。
3月9日(土)13:30〜15:30に、201教室において継続講座2回目を実施しました。
講師は先月に続き中川行弘先生です。「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」をテーマに行いました。 今回のセミナーには、4名の方の申し込みがあり参加者の本音が聴き合える和気藹々とした雰囲気の中で進みました。セミナーのスケジュールは以下の通りです。 第1部 前回のビデオについて(コンセプトなど) 〇資料をもとに対話 協 議:「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」 〇本日の授業ビデオについて ― 休 憩 ― 第2部 ビデオ視聴、対話、協同探究 第1部 前回のビデオについて(コンセプトなど) 2月の講座で視聴したビデオ(6月)と同じ教室(2月)の国語「初雪がふる日」の授業ビデオを視聴しました。 中川先生は初任者指導を担当されています。ビデオ教室の担任の先生を含めた複数の初任者と共有された授業づくり、学級づくりのコンセプト、環境構成、授業デザインについて説明を受けました。 ○コンセプト 学ぶのも、準備も、読むのも子どもがすすめる。あえて、子どもたちからの要請を待つ。子どもたちにとっては、初めての○歳であり、○年生である。出会いを大切にする。わからなさを大切にし、誰もが有能な学び手であることを前提とする。 ○だれもが学びやすい環境構成 ペア・グループ、学びの作法、(物質的にも・心にも)壁をつくらない、魔法の紙(思考や学びのまとめを考えるときに一枚の紙を与えたところ、子どもたちは絵や表など考えの断片を書きはじめた)、ICT、教師が手本、おせっかいしない(先回りしない) ○だれもが学びやすい授業デザイン 刻まない(ショートステップですすめると待つ子どもを育てることになる)、振り返りが軸、いきなり、珠玉の数分(振り返りを軸にいきなり学びへ誘う)、ざっくり、シンプル、活動的、協同的、表現的な学び、単元で学習○/○(子どもたちが学習の見通しを持てるように)、着想(早食い<早く解ければいい>?大食い<多くの問題を解く>?早飯<先取り学習>?) 〇資料をもとに対話 協 議:「子どもの発達障がいを疑う前に」「まずは応用行動分析の手立てで」 中川先生◆ 参加者● ●先ほど見せてもらった授業ビデオの中で、グループによる音読の仕方が子どもたちに任されていました。子どもたちが選ぶことが、特別の支援が必要な子どもにとっても必要で、とてもいい学び方だとおもいました。中川先生のおっしゃった「着想」とは学び方を学ぶということでしょうか。みなさん、どうですか。 ●私の学校では「探究」では、ある程度知識を伝達しないと調べ学習が進んでいかないですね。 ●先生の担当教科は英語ですよね。英語の授業で生徒が学びのプランを発見する学びは難しいと感じていますがいかがでしょうか。 ●英語は、大学の学生に模擬授業を考えさせるとき授業プランには、単語指導からはじまって教科書の英文を訳す授業になってしまい、ほかに方法が見つかりません。 ●自分たちが受けてきた英語学習が文法訳文式の授業だったので、コミュニケーション力を身につける授業法は難しい、なかなか語学では難しいと感じています。 ●私が以前見た東大附属中学校3年の英語では、A4両面に書かれた「環境問題」の英文を短時間に読み合い討論していました。課題解決的な授業でしたね。 ●私も中学校の英語を担当していますが、最近単元学習のなかで、「学んだ文法を使ってプレゼンしよう」という課題をゴールに設定すると生徒は意欲的になります。ゴールの設定が難しいのですが、単元で身につけたスキルを使えるようなプランを考えています。最後にどのようにアウトプットできるかという授業計画を年間計画で考える見通しを持ちたいですね。 ●僕の授業では、なかなかアウトプットする授業になっていません。はじめからグループにして20〜30分取り組んでいます。だいぶ横道にそれましたね、中川先生お願いします。 ◆いいですよ、すてきな聴き合いで授業みたいでたのしいです。ある小学校の1年生の「たぬきの糸車」の授業を拝見しましたが、子どもたちはよく音読をして物語をすべて覚えているんですよ。中には教科書の違うページを開いている子どもが何人もいました。先生は足を運んでていねいに読んでいるページを開き、読んでいる本文を指し示していました。文字が先と思ってしまいますが、幼児などは文字があとです。英語の授業でも、三単現のSについても、指導していない国もあることを聴きました。 〇本日の授業ビデオについて ◆本日二つ目の授業に入りましょう。中学3年生の社会の授業ビデオを見ていただきますが、事前に子どもたちの様子をお話しします。クラスの生徒は非常にまじめです。私の授業は生徒が「え?」といろいろ引っかかって、わからなさを大切にして、「何を言ってもいい」という雰囲気でグループ中心に進めます。授業は徐々に生徒自身ですすめていけるようになってきました。ある教室の9月の授業「国民全体のための政治」と12月の授業「ヤップ島の石貨はお金なの?」を見比べていただきたいと思います。その中で、なかなか授業内容に入っていけない特別の支援が必要な生徒が4名います。その生徒にどんな変化があったかを皆さんと共有したいと思います。 ― 休 憩 ― 第2部 ビデオ視聴 ◆生徒Aは小学校では通級に通っていました。生徒Bは母語も日本語も概念が築けていない。生徒Cは学習性無力感に陥っている。生徒Dは姿勢はいいが同じく学習性無力感に陥っている。12月の授業では、グループ活動の中で変化しています。ご覧ください。 ◆これは経済分野の授業です。生徒Cがこの授業から前向きに参加するようになりました。 〇ビデオからの学びを対話・協同探究する 中川先生◆ 参加者● ◆学力が違う生徒が、その学力差を感じさせないほどに自由に違う発言をしはじめました。やはり探究の授業はいいなと思いました。三か月経過すると何かが変わると感じています。まずは、お隣とお話しください。 ●「三か月の変化」というキーワードは何だろうね。グループの仲間からの話を聞いていると、友だちからの問いや支援に対して生徒が断れないのではないか。教師と友達が同じ問いを投げたときに、きっと友達からの問いが断れないのではないですかね。 ●女の子から例えば厳しく言われても関係性が崩れませんよね。なぜか、支援をしてくれる子は女の子が多いようですね。 ◆このグループの構成は、担任の先生の配慮です。日頃から見ている関係性への配慮だと感じます。 ●この教室の生徒は、一人ひとりの発言のセンテンスが長いですよね。これは驚きです。 ●知識があるから話せるし、素晴らしい生徒たちだと思います。 ●先週、拝見した国語の授業において、ある生徒がテキストとは関係ない発言をしてしまいました。それは教科言語が理解できていないのが原因でしょうか、彼は生活言語で友だちの気を引こうとしていたように感じました。 ◆この場面を見ると、「グループの仲間の状況を見て子どもたち自身の考えで始めた音読」が鍵だと思います。社会科においてもグループで教科書や資料集を音読して理解しようとしていることが分かります。社会科の教科書を日常的に大切にしてきた「音読」で読み描き、自身の経験や資料集・ニュースなどを媒介に、社会につながったのだと思います。 ●私の経験ですが、漢字が書けない小学校6年生の子どもが、9月になって漢字を練習して満点を取ることがありました。その子どもの変化について紹介され、子どもの「わからなさ」には多様な背景があることを学びました。 ●生徒Cの生徒が学びに向かうようになった背景には、中川先生から配布された資料の「つまずきの背景を踏まえたアプローチ」にある(学習性無力感に対する自己有用感)(エネルギーが生まれない生徒に対する安全基地)がグループに見られたと感じています。中川先生が意識して進められたのかを訊いてみたい。 ◆学校全体が同じビジョンを持って進めています。私も同じ思いで進めているところですかね。 ●うまく学ぶことができない生徒に焦点を当てて研究協議をする機会は初めてでした。私にとっては、初めての経験で参加して価値がありました。 ◆今日は参加していただきありがとうございました。ぜひ、リフレクションをお願いします。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、特別支援教育を標準装備にということです。本日はありがとうございました。 中川先生と初任者の先生方との対話からのコンセプト、環境構成、授業デザインから、教員としてもっておきたいエキスをたくさん教えていただきました。 特別な支援が必要な子どもはたくさんいますが、その子に特化するのではなく、誰にでも同じように指導していくことが大切だと思いました。また、その環境を教室全体で作っていくことも大切だと思いました。全ての子どもが安心して学べる環境を作ることを大切にしていきたいと思いました。 2月17日(土)13:30より副島 孝先生によるセミナーを実施しました。
2月17日(土) 13:30〜15:30に、201教室において実施しました。
講師に学び合う学び研究所シニアフェロー副島 孝先生をお招きし、〜授業のための社会的構成主義〜 − なぜ私たちは一斉授業から抜け出せないのか?−をテーマに行いました。 今回のセミナーには、13名の方の申し込みがあり和気藹々とした雰囲気の中で実施できました。セミナーのスケジュールは以下の通りです。 第1部 今日考えたいこと 〇 自己紹介と今日の話題をテーブルで聴き合う 〇 授業研究会で出会った授業からの学び 〇 大きな影響を受けた3つの実践から テーブルでの協議 〇 社会構成主義および関連する理論を学ぶ − 休 憩 − 第2部 社会構成主義をどう学んできたのか 〇 テーブルでの協議と共有 最初に、副島先生より、スーパーバイザーとして訪問されている学校の様子をお話いただきました。その中で「なぜ私たちは一斉授業から抜け出せないのか?」という問いが示されました。 第1部 今日考えたいこと 〇 私自身のテーマへの考え方が変化した ・社会的構成主義を知らないから、いつまでも一斉授業をやっているのだ ・「構成主義を知れば授業が変わる」という考え方自体が、間違いの元なのか ・「なぜ一斉授業が変わらないのか」を考えなければ、授業は変わらない! ・果たして、私たちは授業を変えることができるのか? 上記のテーマに込めた思いとして、教育学者の常識となっている「社会的構成主義」を理解してもらいたいと考えていたが、よく考えると、大学の教育学の授業でも、説明が多く、せいぜいグループ討議やリフレクション・シートでお茶をにごす授業が一般的であるのではないか。 〇 自己紹介と今日考えたいテーマについて各テーブルで聴き合う 〇 授業研究会で出会った授業からの学び K小学校3年生の道徳の授業について内容を紹介いただきました。 資料・板書(登場人物、発問、子どもの発言が見やすく書かれたもの)の映像を確認しながら、子どもの学びの様子を話されました。学び合いのパイロットスクールであるその学校においても「やはり一斉授業になっていた」という印象を語られました。 〇 大きな影響を受けた3つの実践から □斎藤喜博の「出口論争(ゆさぶり発問)」「そんなところは出口ではない」と斎藤の介入に、子どもたちは自分の正当性を主張し、激しく反論する。斎藤はそれを受け、「同じことばでも解釈は一つだけではない」自分は正しいと言う。自己否定された子どもたちは一時的にしょんぼりするが、真実を求めて必死に考え、様々な角度から議論する授業。 □板倉聖宣の「授業書」〈力と運動〉〈慣性の法則と放物運動〉 〈問題〉 走っている電車の中でビー玉を落とすとどこに落ちるか? 〈予想〉 ア 真下よりうしろ イ 真下より前 ウ 真下 〈意見・討論〉ある子どもの発言「あの・・・、地球はものすごい速さで動いているから・・・、たとえば、校庭でジャンプしても、またもとの場におりてきます。だから電車の中でも同じだと思います。」という子どもの発想のおもしろさを紹介 □有田和正の「教材開発ネタ論」授業「一寸法師」の授業記録から(『子どもの生きる社会科授業の創造』) 教師 (あらすじの確認の後)一寸法師は都へ何をしに行ったんだろうね」 子ども1…「姫をめとる」ということは「天下をとった」ということだと思います。 子ども2「小さな体」というのは「貧しかった」ということで、 …秀吉じゃないかと思います。 子ども3 「わたしはね、信長とか秀吉とか家康とか、みんなだと思うんですね。一寸法師というのは、武士とかによってつくられたお話じゃなくて、庶民の間でつくられたお話だと思います。信長とか秀吉とか家康とか、そういう立派な人というか、選ばれた人というより、みんなまとめて夢みたいなお話をつくったんだと思います。」 子ども4「 話は変わるけど、なぜ一寸法師というのは京都へ行くのに、ちゃんと地面を行かないで川をのぼって行ったのか?」(笑い) 以上、私が授業づくりで影響を受けてきた代表的な3つの実践を紹介しましたが、今から「優れた授業は昔から子どもが作る授業だったのに、気がつくと一斉授業に陥っていることが多いのはなぜだろうか?」テーブルで話し合ってください。 〇 テーブルでの協議 10分 〇 社会的構成主義の「知識観」 従来の学習における「知識」から「深い学び」における「知識」へ転換が必要 ・自らの活動から新しく生まれるもの ・学びによって創造し再構成されるもの ・生きて働くもの 〇 きちんと「社会的構成主義」の理論に触れたのは、2009年の柴田ゼミの英語論文講読のとき “Methods in Educational Research”:No Child Left Behind Act(NCLB落ちこぼれゼロ法)2001 後の教育の説明責任運動後の状況の中で、教育研究の方法を書いた書籍から ― 休 憩 ― 第2部 社会構成主義をどう学んできたのか 〇 佐藤学「学習論の批判ー構成主義とその後ー」(『学びの快楽』世織書房、1999、所収)学び合う学びに生かすヒント ・構成主義学習論の系譜 ・構成主義学習論の課題 〇 2つの構成主義 ・心理的構成主義 ・社会的構成主義 〇 「因果性」で説明される授業 〇 「相互性」の場としての授業 〇 「知識」=「事実」という思い込み 今井むつみ『学びとは何か』 2016 岩波新書 〇 知識観の発達 〇 科学的思考・批判的思考 〇 「学び」に関する5つの考え方 『協働する探究のデザイン』藤原さと,平凡社,2023,p42 〇 人は一つの主義だけで生きているわけではない 〇 真正の学びをデザインする:デザイン思考へのイノベーション「技術的実践」と「文化的社会的実践」 〇 テーブルでの協議と共有 社会的構成主義および関連する理論を(いくつか)学びました。次の点について、話し合ってみましょう! ・納得できる点は何だったでしょうか? ・納得できない点はどこだったでしょうか? ・自分の授業(授業研究)に生かせると感じましたか? ・理論として納得できても、実践(自分の授業)には生かせないと感じましたか? 〇 まとめにかえて −社会的構成主義を知った後の私自身の学び− ・21世紀の教師は、教えの専門家から学びの専門家へ ・授業プランの作成と検証から、学びのデザインとリフレクション ・話し合いではなく、聴き合い。教え合いではなく、学び合い。 ・授業研究・実践の中心は全国規模の研究会ではなく、それぞれの教室 〇 「個別最適化」に思うこと ・朝日新聞(2024.1.27土曜be)で、「カスハラをしない」という記事を見た。 私流にまとめると、「マウントを取る」タイプが多いということ。 ・そこで感じた「新聞の一覧性」:ネットでのニュースや記事は、自分がよく見る傾向中心の独自なもの。つまり、他の人が見ているものとは違うもの。 ・「個別最適化」は50年前の教育研究の課題だった。 〇 「啓蒙」というキーワード 〇 私が授業を観る視点 −協同的学びにおける探索的会話(exploratory talk)と援助要請(help seeking)− 〇 「『助けて』が言えない 子ども編」日本評論社2023生越照幸より ・本当に助けが必要なのは、実は大人だですね。教師は学校内で学んでいるだけでは十分学ぶことができない。先生方は学校外で困っていることを共有できる場とつながりが大切です。副島先生からの最後のメッセージは「孤立しないで、つながろう!」の言葉で締め括られました。 参加された方からの振り返りを紹介します。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、知識観の転換です。 自分は数学なので、社会的構成主義で他者の意見に触れることで理解を深めていくよりも、正しい論理構成を理解させることに重要性を感じている。数学での学び合いは教え合いになりがちだが、論理の理解や解法への疑問について探索的会話を行わせるとよいとヒントを得た。個別最適な学びは、問題が解けなかったり間違えたりした原因を確認させるように誘導したり、できるようになったら一段難しい問題を与えたりすることや、(代数や幾何などの)それぞれが興味深い分野を深めさせること、と解釈していたが、興味に基づく個別最適と捉えると、インターネットで履歴に基づいて偏ったレコメンドが来ることに近くなるというのは、自分が持っていない発想だった。 ◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、深い学びにおける知識です。 これまで知識というと、決められた語句の意味を理解し覚えておくべきものとか、テストや質問に対し分かりやすく説明できるものと思っていました。よって、きちんと説明できなくては知識とは言えないという概念を持っていました。実際、そういう授業を目指してきたように思います。しかし、お話しの中で、知識は与えられたものではなく、自他との深い学びの中で、新たに生まれるもの、再構成される、生きて働くものということを学びました。そこに、授業の意味があることを改めて気付くことが出来ました。知識をそのように考えると、デザインは「状況との対話」から生まれるとか、今、考えたこと、聴いて考えたことで生まれる「探索的会話」や「援助要請」の意味や大切さがストンと落ちました。教師主導の知識伝達型授業が岩盤のようにある自分にとって、授業をデザインする上で重要な、心がけるべきことを学ばせていただきました。ありがとうございました。 |
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