最新更新日:2024/12/19
本日:count up2
昨日:6
総数:10955
2024年度のセミナーを募集しております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。2025年1月の学習講座の申し込みができます。右「行事予定」のバナーからGoogleフォームで申し込みをお願いします。

5月27日(土)13:30より第2回セミナーを実施しました。

 5月27日(土)13:30〜15:30に、第2回セミナーを愛知文教大学201教室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 倉知 雪春先生、実践発表者に、みよし市立三好丘中学校学 佐々 祐資先生をお招きし、「全員が主体的に学びに向かう学校づくり・授業づくり」をテーマに行いました。

 セミナーには、遠方からの参加者も含め29名の申し込みをいただき、以下の内容で進行しました。
1⃣ 研究実践についての提案
2⃣ 授業ビデオからの学び
  ― 休 憩 ―
3⃣ コミュニケーショントレーニング、環境整備から学ぶ
4⃣ 学校づくりの方略

1.研究実践についての提案 佐々先生より
□ 研究主題設定の理由
 成長や課題を自覚し、学びを探究する生徒の育成
□ めざす生徒像
 学びに向かうために自分や相手の状況を理解できる生徒
 分からないことを分かりたいことに変えて自分から授業に参加する生徒
 仲間とともに協働的に活動しながら探り、究めることができる生徒
□ 研究の内容
 研究仮説を「主体的・対話的な活動の中で、自覚と探究を繰り返しながら学ぶことで、生徒たちはともに学び合い、ともに学びを深めることができるだろう」として取り組み、「自覚」と「探究」のそれぞれについて授業づくりの手立てを以下の4点として実践した。
  自 覚             探 究
〇めざす姿を知る自覚      〇思いや考えを表現するための探究
〇自分の姿を知る自覚      〇味わうための探究
〇自分の考えを持つ自覚     〇解明するための探究
〇視点を持つ自覚        〇技能が向上するための探究
 更に、生徒の学びに向かう姿勢を支えるために「三好丘中スタンダード」を作成し、全校で実施してきた。
 授業における生徒の活動は、「話し合う」ではなく「聴き合う」を大切にしながら、探究するためのジャンプ課題を設定しグループで協同し学び合っている。
単元を通して、見通しを持ち学び続けるために「振り返り」を毎時間実施している。

 コミュニケーショントレーニング「Think&Talk」を生徒会や人権委員会の生徒が主導して、計画・実施・改善しており、日々の授業や振り返りに活かされている。
 学びを自覚や探究へつなげるために、掲示物や学びの足跡を環境整備として研究してきた。その実際の掲示物が紹介された。
□ 研究の成果
生徒の変化として
自覚と探究を繰り返すことで ➡ 自分たちの力で学びに向かうになった
学びの振り返りの充実    ➡ 学びを見通す生徒が増えた
人間関係や掲示物を整えた  ➡ 聴き合い支え合う関係が深まった
□ 今後の課題
単元や教科をこえた「考えたい」をどう支えるか
一緒に考えよう、協力して考えたいという学び合う姿を三好丘中の伝統にする。

2.授業ビデオから学ぶ
□ 3年生理科「力の合成、力の分解はどのように役立つのだろう」
二つの力の合力とロープウェイのひものたるみを結び付けて探究する姿

■ 研究実践の提案と授業ビデオの視聴をうけて、各グループで聴き合う(10分)

■ 全体共有
〇私自身も授業者として、同じ単元の見えない力について授業をしたことがあるが、具体物などで見える化しながら授業をすると、生徒の思考が深まった。この授業では、どんな学習課題で行ったのか。ロープウェイがどういう状況で使用されたのか。
●実は、授業者は本日参加していないが、理科部会ではロープウェイは難しいとの論議があったが、教科外の自分からすると、現実の現象を見せたことで生徒の考えたいという自覚が生まれやすいという議論を経て、授業者は挑戦した。私はロープウェイを考えることから、力の分力や合力の理解につながるのではないかと考えている。
〇授業記録の2枚目では、トークスキルが身についていることから、生まれた生徒の発言が見られた。「あっ、いいね」などの応答が生まれることも研究の成果ではないか。
〇「しばらく悩む姿」があったが、早くわかるよりも、こうした学びこそが大切である。授業者から、バケツによる足場架けがあり生徒は探究へと向かった。生徒の対話が、一問一答ではなく、「どうして」と問い直されている。これはなかなかできないことである。
〇私は、授業開きで生徒自身が学びのルールを作り出す時間を保障している。こうした、生徒の姿が大切にされている授業である。

― 休 憩 ―

3.コミュニケーショントレーニング「Think&Talk」のビデオ視聴
■ 何をどう見たかをグループで共有(5分)
■ 全体共有 
〇春日井市では、ソーシャルトレーニングを実施している。まず、型を身につけることに、賛否が分かれている。三好丘中の実施方法は自由度があり、生徒が進めている。こうしたトレーニングによる効果を、今では私自身も感じている。
〇思春期の生徒にとって、普段の会話では見られない内容「うれしかったこと」について楽しそうに話している。普段遣いの言葉であり、週一回の実施は効果を出している。
〇高校の教師ですが、外国籍の生徒や発達障害の生徒に対して、取り出しを行ってきたが、このビデオのように対面によるトレーニングはいいと感じている。

□環境整備から学ぶ 全体での意見交流
〇環境整備は大切なことで、こうした掲示物が見られることは大変にいい。しかし、自分たちの教室でしか見られない。これを、ICTの活用により、ほかの教室でも見られる。先輩の教室の掲示もみられる。さらに、家に帰ってからもみられることで、より学びが広がる。

4.三好丘中における学校づくりの方略 倉知先生より講演
□何が問題か ➡ 三好丘中では、以下の問題に対して研究してきた
自分が受けてきた授業スタイルから抜け出せない
形式的な研究になっている
子どもたちが何を学んだかを見ていない
□学校づくりの7つの方略
(1) 学校づくりは3本柱で取り組む
 ケアリング  学校づくり  校内研修
(2) 専門家として育ち合う同僚性を築く
 教師が相互に学び合う関係を築く  授業研究を通して同僚性を築く
(3) 担当者任せにしないで全員で取り組む
校長がビジョンを語り、率先した振る舞いが大切。 できるものがやるのではなく全員で取り組む
(4) 最初の研究授業は早い時期に行う
 4月に最初の授業研究をする 分かりやすい教科の授業からはじめる
(5) 夏休みの研修で再確認をする
 4月の取り組みの疑問や課題を整理して夏休みに共有する ビデオ研修を計画する
(6) 他校(先進校)の研修へ参加する
 めざす授業のイメージをつくるために実際を見る いろいろな研究会へ参加 
(7) 保護者や教育委員会と連携する
 集会や朝会で話しをする 保護者にも伝える アンケートの活用 教育委員会の支援を得る

□ 都築校長先生からの挨拶
倉知先生、水野先生にはお世話になりました。コロナ下で研究を受けての取り組みであったが、まずは、普段の授業を大切にしようとはじめ、試行錯誤で作り上げてきた研究であり、昨年度発表ができた。これからも教育実践の日常化が大切であり、続けていこうと考えている。本日はありがとうございました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学校づくりの7つの方略です。
授業実践に関しては、いろいろな取り組みがされており参考になる部分があった。工夫して学校を変革しようとしているところは、子どもたちの表情も良い。
学校づくりの7つの方略に関しては、毎年確認すべき内容がわかりやすくまとめられていると感じた。年月が経つと忘れがちな内容だけに、とても貴重な話を聞くことができた。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、研究は全員でやる!です。
三好ヶ丘中学校の研究を見て、その後の倉知先生のお話から、少しずつ研究についてみえてきたように思います。全員で同じ方向を向いて、納得してやっていけるようにしていきたいです。つい、焦ってしまい、早くテーマをと考えてしまうのですが、まずは生徒の、そして教師の困り感によりそいながら、今本校に必要なことを、ずっとやっていけることをやっていきたいです。ありがとうございました。

画像1 画像1
画像2 画像2
画像3 画像3

5月20日(土)13:30より第2回 継続講座1−2を実施しました。

5月20日(土)13:30〜15:30に、を愛知文教大学 共同研究室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 木村 芳博先生をお招きし、<授業づくりの“道標”とは?>をテーマに行いました。

 セミナーは以下の流れで進みました。
1⃣ プロローグ
2⃣ 授業づくりでのその意味と視点 〜場面とねらい
  ― 休 憩 ―
3⃣ 授業ビデオから学ぶ 〜教師が描いているのは
4⃣ エピローグ

1.はじめに
参加者の自己紹介
プロローグ 〜あれこれ
前時の振り返り 授業づくりの土台とは
前回の参加者からのリフレクションの紹介・道標と道導(みちしるべ)について
道標(あれこれ)を映像から確認し、以下の三点に整理されました。
・方向や距離などを指し示す標識、看板、道案内
・いくつかの行程から、選定するための表示
・遭難させないため、進むべき道を教え示す

2.授業づくりでのその意味と視点 〜場面とねらい
□子どもの学びを中心に据えての 教師の視点で
下記の三視点の( )に当てはまる言葉を、参加者全員が考え交流しました。
・学びの道に(全員向かわせる)ための案内
・学びを深める道を(選定させる)ための標識
・学びの道から(遭難させない)ための看板
□学び合う学びの授業づくりのためにどんな“道標”を立てますか。
参加者全員が自分の考えを持ち、交流しました。

― 休 憩 ―

3.ビデオを見て、どんなことを感じたのか、近くの方と交流
 〇小5年算数/速さ「時間を求める公式をいかして考えよう」
 授業を見る視点 ➡ 授業者の描いている“道標”は?
 ビデオ視聴

□ペアや近くの方との意見交換、全体での共有
・遭難させないための看板との視点が、自分にはよくわからなかったが、ビデオを見せてもらい、なんとなくそういうことだと思い返しています。
・速さの公式が、実際にどうなるかやってみよう。
・共有の課題ができていない子どものために、子どもの思考を見ながら留まり、確認することができていた。道標としては、わからなさ、困っていることを子どもの力で解決させているということだった。
・子どもの考え分かり方が様々であるが、教師はけっして急がないでゆっくりと、子どもの言葉をつなぎながら授業が進んでいく。子どもたちの脳みそをつなげる道標が立っていた。
・子どもの学び方が実にスローであり、自然な学びができている。
□学び合う学びの理念に基づいて、木村先生の考え方
・子ども全員が参加する学び を保障する ➡ 課題提示
・対話でつながり合う学び において協同する ➡ グループで
・課題の質を高めて聴き合う深い学び を探究する ➡ 全体共有で

4.エピローグ
□学び合う学びの授業づくりの良さは?
保障 協同 探究 の道標を立てるとどうなるのか
 ・(学習態度)が改善する!
・(学習内容)がよく記憶に残る!
 ・(思考能力)能力が伸びる!
 以上、本日の学びを締めくくっていただきました。

 
参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学び合う学びを中心据えた教師の視点での道標です。
学び合う学びの授業実践をすると、学習態度が改善し学習内容が長く記憶に残り、問題解決能力が伸びることがよく分かりました。日々、授業を頑張りたいと思います。
◆今日の講座で学んだ中で重要だと思ったことは、学び合う学びを中心据えた教師の視点での道標です。「目的と手段(方法)と目標を考えた上で授業をすることが大切だ」と初任者研修の時に教わったことを思い出しました。今日のセミナーで、「どんな場面で何をねらうか(できるようになるのか)」がまさしく、初任者研修の時の内容だったのかと結びつきました。
英語教員として、道標のことについて当てはめるのであれば、目標を示すという側面において、can-doリストの作成及び提示や必要に応じて振り返りをすることなどが挙げられると感じます。

画像1 画像1
画像2 画像2
画像3 画像3

第4回 7月セミナーのご案内

2023年7月8日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 201教室・305教室  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 学び合う学び:学習指導要領:GIGAスクール構想
講 師 学び合う学び研究所フェロー 神戸 和敏 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定
    7月予定GOOGLE フォームより

画像1 画像1

第3回 6月セミナーのご案内

2023年6月10日(土) 13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 ABUラウンジ  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 「問題解決学習の実践から考える主体的な学び」
講 師 東海学園大学 講師 埜嵜 志保 先生
    刈谷市立朝日中学校 伊倉  剛 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定
6月予定GOOGLE フォームより

画像1 画像1

4月22日(土)13:30より第1回 セミナーを実施しました。

 4月22日(土)13:30〜15:30に、第1回のセミナーを愛知文教大学 201教室において実施しました。講師には、名古屋大学大学院 教授 柴田 好章先生をお招きし、<子どもの学びをどうとらえるか?〜授業記録による授業分析の方法〜>をテーマに行いました。
 今回は、29名の申し込みをいただき、参加いただきありがとうございました。

1.授業研究の目的と今日的課題
〇時代をこえた授業研究の目的として3点を、さらに
〇特に、今日的な状況において大切にしたいこととして、3点を示されました。
・研究授業は、観察 ➡ 討論 ➡ 成果 ➡ 計画 のサイクルを回すこと
・授業とは教材を介した、子ども同士の学び合いだとすると、授業研究とは、子どもの姿を介した、教師同士の学び合いである。
・ここ30年間の世界における教師教育の課題、教師の発達の二つのキーワードは、
Reflection=子供の姿に照らして、教師の行為を振り返る・価値づける
Collaboration=実現したい価値(ビジョン)の共有・追及 ← 対話を通して
 学校における授業研究の大切さは、子どもの名前がわかり、同じものを見て語り合えること。
 学校の授業研究で使われる言葉が重要で、その言葉を共有することが大切である。

2.授業研究の改善
〇分離型モデル ➡ 参加型モデル
・「授業者へ質問をしない」➡「発言者が、私はこう思うと発言してから、授業者へ訊ねる」へ変えていくことで、対等・平等な学びの実現をしていくのではないか。
〇授業研究では、How?を明らかにするために、まずWhat?やWhy?を問い合うことから始める。
〇名古屋大学における授業分析の歴史の紹介、授業の逐語記録
・研究はわからないから始める。授業を観察し、その後の授業研究は、同じツールを使い、子どもの姿を語り合うことを大切にしていき合い
〇授業研究では、事実と解釈を往復させることが大切
〇成果の累積、手法の発展、理論の構成、現場への貢献
〇授業記録を読む3段階 知る・捉える・捉えなおす(自分の授業像を豊かにする)
〇授業分析には、固有の役割がある
・授業における子供の可能性を明らかにする
・子どもはどう学んでいるのか
・生きている子どもをどうとらえるか
 教師は、子どもをよく見ているが、研究では、子どもの見方を変える必要がある。授業中いつも意思決定を迫られている主体者としての教師は、子どもの内側に入ってみることが重要である。そのために、子どもの捉え方を、(ありのままの姿―なりつつある姿―ありたい姿)という幅でとらえる見方が生まれる。

ここまでの講義に対して、それぞれの立場からグループで共有してください。10分
グループで学び合う

全体共有

授業研究を推進する立場からの学び
・<小学校担当>校内の授業研究の推進するために、共通のツールとして逐語記録を作成してくださいということが負担だろうし、自分の学校では付箋による授業記録を実施したこともある。付箋に記入されるポイントにもバラつきがみられる。同じ授業を見て、共通なものを見ていないという難しさを感じる。
・<小学校担当>研究指定を受けており、授業研究をどうやっていこうかと考えている。授業分析を作っていくこと自体が楽しいことだと思えたので、これから頑張っていきたい。
・<高等学校担当>学校では、教科の中で授業研究を進めているが、教科をこえると言葉が通じない。授業を語る共通の言葉がないというのが現状である。
・<中学校担当>今年になり校長から言われたことは、持続可能な教員になるために、外部に頼りすぎず、自分たちで学べるような教師集団にしていくことを考えてみようでした。4月に提案される学校が育てたい生徒像にたいして、教員一人一人にイメージができていない。今日の話をお聞きして、学校でどう伝えようか考えている。

― 休 憩 ― 歓談

授業者の立場から:
・<少学校6年担任>本校でも学び合いを行っているが、個々の教師のビジョンはばらばらであり、授業研究がつながっていかない。授業検討会では、子どもの名前が出てくるが、「この子だからしょうがないね」で終わってしまう。授業に消極的な子どもたちに、私たち教師がどうして行ったらいいのかの議論までに至っていない。子どもたちは教師の指示をよく聞き、きちっとしている。一方で、自分たちで考えたことを言葉にすることが苦手な子どもたちであり、どう接していったらいいのかが課題です。

学校アドバイザーの立場から:
・自分が研究者になろうと思ったのは、実践をしてきたことの背景にある理論を知りたいと思いこの道を選んだ。授業研究には、その拠り所がいるだろうと感じている。今まで参加者の言葉を聞いていて、現場で悩んでいる教師は独りで悩みをかかえているが、みんなの悩みになることが大事で、授業のことを語り合える文化をつくることを大切にしていきたい。

3.授業のデザインと評価の視点
〇子どもと教室(教室の中にいる子ども)
・教室に一人一人の居場所があるか・自分の思いを素直に表現できているか・失敗を恐れずに挑戦しようとしているか
・日比裕(1978)の発言にみる授業の5段階から、子どもの発言が深まっていく教室へ
・居場所づくりの難しさ
〇子どもと子ども(関係性)
・他者の思いを素直に受け止める
・意思表示しやすい気遣い・他者の言葉に耳を澄ませる
〇子どもと考え(思考)
・思考に論理的な深まりがみられるか
・よい発問は、子どもの中に問いが生まれる。主体的な思考には欠かせない。
・深い学びをもたらす学習形態 個 → グループ → 全体 → 個
<三つの授業事例>から
・子ども同士の違いを活かす(予選―決勝)トーナメント方式の授業に陥っていないか
〇リズム・間・雰囲気
・落ち着いた雰囲気・真剣さとユーモア・温かい雰囲気・リズムと間
・教師がモデル・二つの沈黙
〇集団的な思考
・多様な考えが表現されているか・考えが構造的に整理されているか・考えの多様性が学習の発展に寄与しているか。

4.授業分析演習「この幼虫は、ガかチョウか?」から考える
 授業の概要 少学校2年 生活科:生き物を持ち寄って、順番に発表し、質問し合う授業。
幼虫を持参した子どもYとクラスの子どもたちの、対話記録を読む。

Y49発言:ガでもチョウみたいに糸はついているけど
〇この発言を、特にけどをどうとらえるか? 省略されているものは何か?Yの気持ちは?
C52発言:もし、ガとチョウで、この幼虫が、ガだったらどうしますか?
Y53発言:ガでも、育てて大きくなったら、別にガでもチョウでもどっちでもいい。
〇Y53発言の意味を考えてみることは、いい研究になる。

働き方改革の提唱以来、授業記録を読むことは、部の悪い状況に置かれたが、授業記録を教材にして教師が学び合うことは、有効になると結ばれました。

参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、学校における授業研究の「参加型モデル」の構築と授業分析のあり方です。
目指すべき授業研究の方向性を示していただけたような時間でした。この職員にしかできない学び、この子どもたちにしかできない学びを、追求していきたいと強く感じました。
こんなにも近くで、こんな素晴らしい講義を聴く事ができ、とても心強く感じました。次回は本校職員も連れて、参加したいと思います。ありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いします。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、教師自身の専門職としての自立です。
とかく授業者の力量向上のために授業研究が行わる傾向がある中、「授業研究は子ども理解である」というメッセージには、心を打たれました。また、名古屋大学における授業分析の歴史を改めて振り返った時、重松先生が言われた「教育における民主化の一つの鍵が、教師が行う研究活動であり、それは教師自身に専門職としての自立をもたらすことができる」という言葉の意味が、今の自分にすごく勇気を与えてくれるような気がしました。教師のプロフェッショナルとしての専門性は、教師同士の学び合い無くして高まりません。そのことを、現場の皆さんと共有していきたいと思いました。

画像1 画像1
画像2 画像2
画像3 画像3

4月15日(土)13:30より第1回 継続講座1−1を実施しました。

 4月15日(土)13:30〜15:30に、第1回の継続講座1−1を愛知文教大学 共同研究室において実施しました。講師には、学び合う学び研究所フェロー 木村 芳博先生をお招きし、<授業づくりの“土台”とは?>をテーマに行いました。

 セミナーは以下の流れで進みました。
1⃣ 授業づくりの原点を探る
2⃣ 学びあう学びの授業の基本姿勢
3⃣ 授業づくりのキーワード
  ― 休 憩 ―
4⃣ 授業ビデオから学ぶ
5⃣ 授業づくりで心しておきたいこと

1.はじめに
参加者の自己紹介
ウォーミングアップ〜詩歌の待ち伏せ(北村 薫著より)3才と小学4年の子どもが書いた詩を読み味わいながら、柔らかな雰囲気づくりをしました。

2.授業づくりの原点・学び合う学びの基本姿勢から考える
□実践研究者、名人の言葉から
斎藤喜博、大村はま、有田和正の三名の実践研究者の言葉が紹介され、近くの方と聴き合いをしました。三者に共通する言葉として、“引き出す”というキーワードが浮かび上がってきました。
□「教師花伝書」佐藤 学著から、学び合う学びを考える
著書の中から、仲間と協同的に学び合う、子供を中心に据えるための記述を読みながら、“聴き取る”というキーワードが浮かび上がってきました。
更に、聴き方の三つの関係を認識することから、“つなげる”というキーワードが確認されました。
□授業づくりのキーワード
 子どもの発言・思考・呟きを“引き出す”“聴き取る”“つなげる”の大切さを確認しました。

― 休 憩 ―

□ビデオを見て、どんなことを感じたのか、近くの方と交流
 〇小2年道徳「うまれるということ」資料:ぞうさんの歌(まどみちお)、いのちのまつり(絵本)
 〇中2道徳「国境なき医師団・貫戸朋子」
□小2の授業についてペアで聴き合った後に、全員から1点ずつの考えを聴き合う。
・自分も、同じような授業をしたが、資料の絵本はすばらしい。
・黄色い服を着た子どもが気になり見ていたが、授業の後半で発言の機会があり、授業者には、この子への特別な思いがあったように感じられた。
・木村先生が、つなぐをキーワードに示された。授業記録からハルさんの発言から、授業者がつながるを取り上げている。ここが教師の出場になっていたなと感じた。
・つながるをキーワードにしているが、子どもたちが親子関係のつながりが持てていない子どもがいると、配慮が必要になる感じた。
・子どもの多様な発言があった。さらに、教師が子どもの発言を否定しない。コメントもしていないことで、子ども同士の考えがつながっていくことになると学ぶことができた。
□中2の授業についてペアで聴き合った後に、全員から1点ずつの考えを聴き合う。
・高校では道徳はやらないが、正解のない価値を考えていくことが面白い。
・サワさんの発言が、切りたいと思う。から、行動では切れない。に変容している。これは、授業者からの助からないとは決まっていないんだよとの、揺さぶり発問から生まれたことであり、生徒が価値に迫っていくための大切なポイントになっていた。
・授業者の発言に重みがある。授業者の「助からないとは決まっていないよ」という言葉が重いなと感じた。
・自分でも同じ教材で授業をしましたが、貫戸さんの置かれている場所や状況を掘り下げると、いっそう意見が出てくるのではないか。
・指一本で切るんだよという具体的な行動として考えさせる臨場感がすごいなと思った。生徒からは、どちらの判断をしたとしても震えますね。という発言が本音として出されている。
・板書が気にかかった。この授業者は、発言をつないだり指示をあたえたりするだけではなく、板書により問題の葛藤を構造化していることで、子どもたちを考えるように追い込んでいるように感じた。
〇木村先生からは、板書は学びの道標だとの指摘が出されました。教師が悩みながら、つなげながら、いろいろな場面で引き出す工夫をしていると感じていると語られました。

3.授業づくりの土台として教師の指導・対応
□学びを深めるために、以下のような指導・対応について確認されました。
子どもへの基礎指導   三つの視点  教師の基本対応
 表出行動       引き出す   把握分析
 傾聴姿勢       聴き取る   周辺視聴
 同異思考       つなげる   返戻発話

□授業づくりで“心しておきたいこと”
 “〜してもいいですか”“〜します”などの「公的話法」を基本としたい。

□次回は、5月20日に“授業づくりの道標とは?”の予告をされて終了しました。
 
参加された方からの振り返りを紹介します。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、先生が生徒の間をつなぐことの大切さで、これは橋をつくることだと思いました。
小学校2年生の授業と中学生2年生の授業を通して生徒に指導するときに3つポイント「引き出す」「聴き取る」「つなげる」をよく理解して、今後もそれを授業実習の中に行きたいです。
◆今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、「引き出す」「聴きとる」「つなげる」です。
新年度の忙しい時期だからかもしれないが、初任者のみなさんが参加できなかったことが残念でならない(ただし、大学生が2名参加してくれたことは素晴らしいと思った)。それぐらい、年度初めに学びたい内容であったと思う。
講師の木村先生が、「引き出す」「聴きとる」「つなげる」の3点に絞って授業づくりの土台を語られたことは、大変分かりやすく納得のいくものだった。この視点で授業ビデオを見てみると、教師が子どもの言葉に基づき授業をデザインしている様子が見えてくる。今回見せていただいたビデオに登場した2名の先生方は、どちらも「聴きとる」力が素晴らしかった。たった1度きりの授業だからこそ、子どもの言葉を丁寧に聴きとることの難しさと面白さがあると思う。そこに気づかせていた木村先生に改めて感謝したいと思う。ありがとうございました。

画像1 画像1
画像2 画像2
画像3 画像3

継続講座・セミナー参加の皆様へ スクールバスのご案内です。

<スクールバス利用のお知らせ>
 公共交通機関をご利用の方に、スクールバス(JR高蔵寺駅発13:00一便のみ)を準備しました。乗り場案内も添付いたします。ご利用ください。
画像1 画像1

第2回 5月セミナーのご案内

2023年5月27日(土)13:30〜15:30
会 場  愛知文教大学 ABUラウンジ  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 全員が主体的に学びに向かう学校づくり・授業づくり
講 師   学び合う学び研究所フェロー 倉知 雪春先生
実践発表者 みよし市立三好丘中学校   佐々 祐資先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定           5月予定GOOGLE フォームよりお願いします。

画像1 画像1

第1回 継続講座1を開催します。

 2023年4月15日(土)13:30〜15:30に第1回 継続講座1前半を開催します。
会 場  愛知文教大学 ABUラウンジ  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 授業づくりの”土台”とは?
講 師 学び合う学び研究所フェロー 木村 芳博 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定4月予定GOOGLEフォームよりお願いします。
 尚、5/20(土)は2回目の(授業づくりの”道標”とは?)を予定しています。
画像1 画像1

2023年度 4月セミナーのご案内

2023年4月22日(土)13:30〜15:30に第1回セミナーを開催します。
会 場  愛知文教大学 ABUラウンジ  
〒485-8565 愛知県小牧市大草5969-3
テーマ 「子どもの学びをどうとらえるか?〜授業記録による授業分析の方法〜」
講 師 名古屋大学大学院 教授 柴田 好章 先生
申 込 学び合う学び研究所ホームページ 行事予定4月予定GOOGLE フォームよりお願いします。
画像1 画像1

2023年度セミナーへのご参加をお待ちしております。

2023年度学び合う学び研究所セミナーを下記のとおり計画しております。

小・中・高・大学みんなで共に学びましょう。
 ● 毎月土曜日に月例セミナーを13:30〜15:30に実施します。
 ● 2023年度より、継続講座1⃣〜4⃣を新設しました。
  同じテーマで、複数回継続し、じっくり学び合います。
 会場:愛知文教大学の教室を使用します。

 ◆詳しくは、配布文章をご覧ください。

<参加申し込み>
 学び合う学び研究所ホームページ: 行事予定 Googleフォームから申し込みが可能になります。

■ 後 援 ■
愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・小牧市教育委員会・春日井市教育委員会・岩倉市教育委員会・犬山市教育委員会・豊明市教育委員会・北名古屋市教育委員会・ 豊山町教育委員会・清須市教育委員会・江南市教育委員会・みよし市教育委員会
画像1 画像1
画像2 画像2
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

配布文書

愛知文教大学 学び合う学び研究所
〒485-0802
住所:小牧市大草5969-3
TEL:0568-68-6161